理系院卒のネットワークなブログ

意外なところに「つながり」ってありますよね

中国の旧正月(春節)を身近に感じるようになってきた

 最近、僕の中で中国の旧正月春節)が身近な存在になってきました。ちょうど旧正月が始まったタイミングなので軽く書き残しておこうかなと思います。

 中国の経済的な影響度が高まる中で、文化の部分もリンクしていくようになるのかなとぼんやり考えています。政治的・軍事的な緊張感は依然あるものの、ビジネスをするにあたって中国を無視することはできません。旧正月という大きなイベントがあるということを我々が知っておいても損はないのかなと思っています。

 大きくわけて3つ、旧正月を身近に感じるようになった理由があります。

 

1.会社の同僚

 中国人の同僚が何人かいますが、彼らはみな中国に帰省します。自分の会社は長期休暇の日程が固定されておらず、個々人が好きなときに5日間休めるという制度になっています。そのため、日本のお正月に休みはとらず、中国の旧正月に合わせて長期休暇を消化しています。

 旧正月には絶対に帰ってこいと厳しく言われている人もいて、もしかしたら一人っ子政策の影響なのかなとも思ったり。中国への航空券がとても高くなるらしく、日本にたくさんの中国人が来ていることがうかがえます。

2.自分の仕事

 現在グッズ制作の仕事をしており、中国の工場を使うことが多いです。旧正月中は工場が休みになるのはもちろんのこと、帰省したまま工場に帰ってこない工員が多数いるらしく、工場の再稼働にはかなりの時間がかかります。そのため旧正月中は自分の仕事も止まりがちになり、この時期は割と暇です。

 自分の仕事のペースに影響が出るということで、かなり身近に感じるようになりました。

3.アプリゲーム

 中国を運営母体とするアプリゲームがどんどん日本に進出するようになりました。おそらく、どのゲームも旧正月中に大きなゲーム内イベントが開催されていると思います。

 日本では1月1日が1年で一番課金が集まる日です。仕事が休み、実家でやることがない、落とし玉という臨時収入、おみくじ気分、初売り福袋という文化、などなどいろいろな文化的背景があると思いますが、中国でもたぶん同じようなものなのでしょう。

 日本では若者ほどアプリゲームをプレイしている割合が高いわけですから、若い人にとっても旧正月は身近なイベントになってくるのかもしれませんね。

 僕がプレイしているアズールレーンというゲームでも旧正月のイベントがあります。世界中の空母や戦艦が擬人化して戦うシューティングゲームなのですが、日本やアメリカの船が中国の旧正月に合わせて、中国の伝統的な衣装を身にまとって登場しています。

 第3次ソロモン海戦ですさまじい武勲をあげた駆逐艦綾波」や、終戦まで戦いぬき多数の従軍星章を獲得した空母「エンタープライズ」が中華風の衣装を着ているのをみると、空想上ではありますがなんだか世界平和だなとしみじみ思います。

 

 

レゴ(LEGO) アジアンフェスティバル 旧正月の大晦日のごちそう 80101

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テンタライブ@闘会議2019現地レポ - ヒメとイイダが作る新時代

 今年も現地参戦してきました、スプラトゥーンの音楽ライブイベント。2018年のタイトルは「ハイカライブ」でしたが、2019年のタイトルは「テンタライブ」。今年も最高に楽しかったです。現地で見てきた感想をいろいろな角度から書いていきたいなと思います。

 

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公式動画(https://youtu.be/ZbmAW-gYVdM)のキャプション

 

セットリスト

テンタクルズなし

1. Inkoming!

2. Chip Damage

3. エントロピカル

 

テンタクルズ登場

4. ナスティ・マジェスティ

5. リップル・リフレイン

6. ウルトラ・カラーパルス

7. レッド・ホット・エゴイスト

8. ミッドナイト・ボルテージ

9. フレンド・フロム・ファラウェイ

10. フライ・オクト・フライ

11. フルスロットル・テンタクル(Octo)

一曲ずつ振り返り

 今回はカウントダウンからスタートしました。これがあると徐々にボルテージが高まって、ライブが始まるぞ~!というモードに入りましたね。特に合図があったわけではありませんが、客席からは自然と声が出ていたのも印象的。

 そしてお決まりのハイカラニュースのフォーマットからスタート。テンタクルズのライブは今後もこの始まり方をしていくんですかね。今回はテンタクルズがまだハイカラスクエアにいて、マクハリまでスーパージャンプで飛んでいくとのこと。

 その間は”仲間”たちが間をつないでくれるということでバックバンドの面々がアップで映されます。ヒメが”仲間”と言ったときに「どのキャラが出るのだろう?」と思ったのですが、バックバンドが仲間とはちょっと驚きました。

 そこからバンドアレンジの演奏が始まります。バンドアレンジは3曲。バンドの方がみんなめちゃくちゃ楽しそうにノリノリに演奏していて、こちらもそれにつられてヒートアップしていきました。

1. Inkoming

 スプラ2のメインテーマからスタート!一発目にぴったり。実は前回のハイカライブでは演奏がなかった楽曲。バトルBGMでもあるのでみんなが何十回も何百回も聞いた一曲ですね。

 バンドのみの演奏ってどんな感じになるのだろうという疑問を一発でねじ伏せる圧巻の始まり方でした。バンド風にアレンジされた楽曲はただただカッコイイの一言。度肝を抜かれました。

2. Chip Damage

 Inkomingからそのまま繋いでChip Damageにイン。スプラ2のバトルBGMで、2018年4月に追加された楽曲です。

 ノリノリの楽曲で、客席からは自然と「オイ!オイ!」の合いの手が。オリジナルはサビで鳴り響く電子音が印象的ですが、バンドアレンジではキーボードが効果的に効いていました。

3. エントロピカル

 Chip Damageは短めに終わり、全く音楽を止めずにエントロピカルへとつないでいきます。繋ぎのアレンジが神がかっていました。2018年10月に追加されたかなり新しめの楽曲ですね。アップデートお知らせビデオのBGMになっていたので、僕はその印象が強い一曲です。

 オリジナル楽曲では女性ボーカル+だみ声が特徴的な楽曲です。サビの「オーオオーオー・・・」がめちゃくちゃ盛り上がりました。ドラムの方が笑顔で思いっきり口を開けていたのが印象的。

4. ナスティ・マジェスティ

 オクトエキスパンションのテーマ曲に乗ってテンタクルズの二人が登場!今回のライブにふさわしい一曲。合図などはまったくなかったのですが、最初の「Na Na Na…」のあとの「ぷらすてぃ!」を観客が全力で叫ぶ!素晴らしく統率が取れて感動しました。

 そして下からゆっくり上がってくるテンタクルズの二人。そう、「上がってくる」んですよね。ARライブなので映像でそう見せているだけなのですが、完全に上がってきているようにしか見えない。素晴らしい。

 そして上がってきてからヒメとイイダの見た目がいつもと違うことに気付きます。ヒメの髪の毛とタイツは青色、イイダの触手とタイツは赤色でした。それをみて、ヒメのピンクとイイダの緑でペンライトを振っていた観客が、急いで青と赤にペンライトの色を変えて、徐々に客席の色が変わっていくのが素敵でした。僕も急いで色を変えました。

 バンド演奏のときも音声によるコーラスが入っていたのですが、やっぱり二人が踊りながら歌うと迫力が違うなあという感じです。後半は二人から煽りがあって、サビの部分はNa Na Na…の合唱タイム。自分らが歌うNa Na Naにヒメがラップを被せてくれるのがまた大興奮の体験です。この楽曲はとにかくヒメのラップが最高でした。スーパーカッコよかったです。シメのキメポーズまでバッチリ!

5. リップル・リフレイン

 ナスティ・マジェスティの最後でしれっとヒメとイイダの色が戻ったので、2人が挨拶をしている間に急いでペンライトを修正(笑)。このリップル・リフレインはフェス戦のBGMで、前回のハイカライブでも演奏された楽曲です。全く同じだったとしても盛り上がること間違いなしなのですが、アレンジが少し変わっていて素晴らしいファンサービスだなと思いました。

 テンタクルズの楽曲に珍しく、二人でお揃いのダンスを踊るのがめちゃくちゃ可愛い。前回も演奏されたお馴染の曲なので、振り付けまで覚えている人も多かった印象です。途中で入る、イイダがヒメをサポートするような演出が尊い

6. ウルトラ・カラーパルス

 フェス時のハイカラスクエアのBGMです。こちらも前回のハイカライブからの続投。入り方が本当にカッコイイ。

 観客はサビの「Hey Hey」に一発目から合わせていきます。ぴょんぴょんするのがとっても楽しい!毎回やってほしい一曲ですね。ヒメの王冠ぴょんぴょんがずる過ぎる…。

 イイダのDJプレイも盛り上がります。後ろに立っているイイダと目を合わせるヒメも尊い。最後はイイダが掃けて肩掛けのキーボードを装着。次の曲の準備にかかります。もう次に何が来るかわかる観客たち。

7. レッド・ホット・エゴイスト

 イイダが準備をしていたので、間髪入れず演奏がスタート!フェスマッチのBGMです。前回もやったので二回目の演奏。観客からかかる「オイ!オイ!」のコールと、サビ前の「タン、タン、タン!タンタン!」のリズムをペンライトで合わせにいくのが楽しい。

 イイダがキーボードを弾けるというのは前回で明かしていたので驚きは少ないものの、ヒメの高音ボイスとイイダの演奏のマッチがカッコいい。

 そしてここで驚きだったのが、楽曲の途中でバンドのメンバー紹介がありました。今回のライブを象徴する一場面だったと思います。これについては後半詳しく書きます。

ドラム:小島”じんぼちゃん”億洋さんhttps://twitter.com/jimbo_chan

ベース:安達さとしさんhttps://twitter.com/daaaatchi

キーボード:鈴木栄奈さんhttps://twitter.com/apple_na_chi

ギター:高慶CO-K卓史さんhttps://twitter.com/kokei_takafumi

  紹介されるタイミングで4人はそれぞれパフォーマンスを見せてくれました。その演奏にヒメとイイダが合わせているのも最高でした。

 そしてこのあとヒメがイイダを紹介するのが最高なんですよね、2人と4人を分け隔てなく紹介して、6人で作っているライブなのだと示したこと。素晴らしい演出でした

 イイダが紹介されるときに、レッド・ホット・エゴイストのメロディーラインを演奏し、自然に曲に戻っていくところもカッコよすぎでした。前回と同じ楽曲をこのような使い方をすることで活かしていくという工夫が鬼アツでした。

8. ミッドナイト・ボルテージ

 ここでヒメが「ちょっとフンイキ変えてくぜ!」と宣言。イイダも「新境地ですね♪」と返します。

 二人が一旦掃けます。バックバンドがイントロを演奏している間に、まずは着替えたイイダが下から登場。イイダのソロボーカルが艶めかしくて美しい…!

 そしてヒメが下から思いっきり大の字で飛んできてステージへ登場。悶絶する可愛いさ。新衣装もとんでもなく可愛い!新曲なので初めてみるダンスだったのですが、ヒメが今までとは違った雰囲気のダンスを繰り出していてひたすら可愛かったです。まさに新境地という感じ。

 曲自体はオクトエキスパンションのラスボスへの道でかかるBGMです。サビの「オーオーオーオーオオオ」の大合唱。そこにヒメがラップを被せるのですが、ヒメが手を振って「もっとこいよ!」みたいな煽りを入れてくるのが最高。「オーオーオーオーオオオ」は意外と高音で原キーの声は出せませんでした。でもめちゃくちゃ楽しかったので毎回やりたい!一発で大好きになりました。

 コーラスをするイイダと、ラップをするヒメという構成がとても活きる楽曲でした。僕の中では今回のベストバウトです。2人が揃って踊るパートがところどころあったのも痺れました。ちょいちょい入れてくるのがずるいんですよねぇ。

9. フレンド・フロム・ファラウェイ

 イントロのキーボードが数音なった時点で大歓声。オクトエキスパンションのED曲です。テンタライブ初のしっとり楽曲ということでまさにまさに新境地。うっとりと聞き入ってしまいました。

 サビのペンライト横振りもまた新しい。とってもぴったりで感動しました。ヒメが足まで上げて体全体を使って手を振ってくれていたのがとても尊かったです。しかも二人はサビの間中手を振ってくれていたので観客席が逆に振ってしまう心配がないのも良かったです。手を振っている間も細かいパフォーマンスを入れてくれて完璧。

 一回目のサビの終わりから始まるヒメの優しいラップも新境地。こんなラップもできたのねセンパイ…。シオカラーズのあさってColorもしっとりとした曲なのですが、また違う方向性なんですよね。そして二回目のサビが終わった間奏の時間は二人の今日一番のイチャイチャタイム。あー尊い。だけどこの2人ってこんなことするんだっけというのはちょっと思いました。

 「この曲歌ってっと、はじめてイイダと出会ったときのこと思い出しちゃうんだよな・・・」「エッ!?なんですかそれ、やめてください!泣いちゃうじゃないですか……!」あー尊い。全てが尊い

10. フライ・オクト・フライ

 曲に入る前に「オッオッオー!オーオオーオー!」の練習タイム。こういうところが本当に親切で優しいです。優しいけどヒメちゃんがめちゃくちゃ煽ってくる(笑)「ネットのみんなも!」と煽ってきたのも、全方位への配慮があって優しいですよね~。

 ラスボス戦のBGMで、かつ「オッオッオー!オーオオーオー!」はオクトのステージクリアのジングルで毎回聞いていた部分でもあります。誰もが歌えて、ペンライトも合わせて振りやすい、素晴らしい設計でした。オクトのラスボスは何度もやり直してルートを掴んでいくステージだったので、曲が自分の記憶に刷り込まれていました。この曲もめちゃくちゃ楽しかったので毎回やりたい!と思いました。

 ほぼ全パート二人揃ったダンスが見れる一曲。手と足を同時に上にあげる仕草がペンライトを合わせやすく、とにかく可愛い。そして曲の最後でヒメが反復横跳びをしていて「あっ」となります。

11. フルスロットル・テンタクル(Octo)

 イントロが流れたところでヒメが「次が最後の曲だ!」と宣言。「このノドオマエラにくれてやるぜ!」というセリフにはクラクラです。そしてさらに反復横跳び。来るぞ~という予感が高まります。

 このとき今までになかった演出が入りました。ARスクリーンの上に普通のスクリーンがあって、ここまではカメラを通した映像が流れていたのですが、初めてARスクリーンと連動した表現になりました。ヒメのバズーカは観客席の方を向いていたので、ヒメの顔が見えません。そこを上のスクリーンで補っていました。「マ〃―――」に会わせて客席に放たれる煙幕。仮装と現実がリンクする演出に鳥肌です。

 撃ち終わったらすぐにフルスロットル・テンタクルへ移行。これはラスボス戦のBGM遷移の流れと一緒。そして曲名にテンタクルと入っているので二人のライブの締めにピッタリ。フェスマッチのBGMとして前回は流れたのですが、今回はまた違った想いでこの曲を聞けました。アレンジも全然違いましたしね。

 前回と同じく、サビで二人が手を回す動作をするので、観客も全力でペンライトを回します。腕が限界に近かったのですが、気合いだけで回し続けました。

 途中で二人が全力でハイタッチ!あー尊い。そのあと、「まだまだいくぞ!」というセリフが入り、金銀のテープが飛んで、最後の大サビ。最後の最後まで腕を回すことを要求されてもうパンパン。だけど周りのみんなも全力でついていっていたので僕も回し続けることができました。

 2人が退場するシーンで後ろを向いたふたりが拳をコツンとやるのが、最後の最後までニクイ!「やってやったぜ」みたいな感じでしょうか。あー尊い

 最後ヒメとイイダの挨拶が入ったので終わりだったわけですが、イマ・ヌラネバー!をやっていないのでアンコールがあるのではとみんな期待していたのですが、願い届かずでした(笑)

考察

 ここからライブの構造的なところを考察してみます。

①テンタクルズの”単独”ライブ

 去年のライブの名称は「ハイカライブ」で、シオカラーズとテンタクルズが出演することはほのめかされていました。対する今年は「テンタライブ」。名前だけみれば、テンタクルズの単独ライブということになります。そして本人たちも初っ端で「あたしらのライブ」と言っていました。

 始まる前は、テンタクルズだけでライブはやらないのではないかと思っていました。助っ人としてシオカラーズや8号やアタリメが出るのかななんて一緒に参戦した友達と話していたほどです。しかしその予想を鮮やかに裏切られました。テンタクルズは単独でライブをやりきりました。いや、正確にはバックバンドの4人との組み合わせでしたね。それは後ほどまた語ります。

 スプラ1から圧倒的な人気を誇るシオカラーズ。スプラ2のヒーローモードにも登場したので、まだまだ固い基盤を持っています。どのように世代交代を演出していくかはすごく興味がありました。

 前回のハイカライブでは、テンタクルズはシオカラーズの前座でした。先輩に対するあこがれをところどころで覗かせていました。しかし今回はシオカラーズのシの字も出さず、徹底的に「アタシらのライブ」というところにこだわっていた印象があります。オクトエキスパンションの楽曲をひっさげ、バラード楽曲にも手を出すなど、テンタクルズの全力というものを見せてもらった気分です。

 左右対称感のあるシオカラーズに対して、デコボコなテンタクルズの二人。ヒメとイイダだからこそできる演出にこだわり、世代交代をやってのけた印象がありました。ヒメとイイダの魅力をものすごく深めるライブだったと思います。

②ARライブの技術追求

 前回のハイカライブと違って、今回は最初にバックバンドのみの演奏が入りました。演出的に必須ではなかったと思います。今回バックバンドが演奏した曲目を、テンタクルズがやってもよかったわけです。

 見ているときは深く考えていなかったのですが、バックバンドの存在感をアピールし、ARライブの新たな境地を探っていく演出を試していたのかなといまは思います。最初にバンドのみの演奏があったからこそ、バンドのメンバーが目立ち、ヒメが途中でメンバー紹介をやってみたのが自然な流れになりました。あのメンバー紹介、さらっとやっていたように見えたのですが、少しのズレも許されない高度な演出だと思いました。バーチャルとリアルの融合。あれは今回のライブでのチャレンジの1つだったのではないでしょうか。

 また、ヒメがオクトエキスパンションのラストで放った声のキャノン(正式名称は…?)。現実世界と仮想世界を繋ぐ面白い演出でした。技術を常に追求し続ける姿勢を見せてくれました。

 僕の個人的な話をするならば、2回目の参戦だったということで、「ヒメとイイダが目の前にいる…!」という感動は去年よりは薄れていました。しかし、今後も現地ならではの新しい経験ができることを期待して、ライブに足を運ぶことになるのだと思います。ARライブのジャンルには初音ミクという先駆者もいますが、スプラトゥーンはこれからもこの舞台で新しい表現を追求し続けてくれるのだろうと確信しています。

③一度きりの特別感

 スプラトゥーンの音楽ライブは毎回ゲームの内容とリンクしています。今回はオクトエキスパンションの追加後ということで、オクトのBGMや演出をふんだんに取り込んでいました。ヒメの必殺技の演出を入れられるのも今回ならではですよね。

 前回のハイカライブから1年が経ちました。その間、あの演目が使い回されることはありませんでした。舞台と機材とバックバンドが準備できれば、ソフトウェア自体は再利用可能で、使い回すことで経済的に得をするという戦略も採れます。しかし任天堂はそれをしませんでした。

 どういう理由でこの判断に至ったのかはわからないのですが、ファン目線だと1回しかないという特別感を味わえます。「この演目は闘会議2019で行われたものと同じです」というのはやはりチープ感が出てしまう。コンテンツをむやみに安売りさせない。すばらしい姿勢だと思います。今回のお客さんの数は確実に去年よりも増えていました。もはやニコニコの力を借りなくても、単独で人をたくさん集められるコンテンツになっているのではないかと思います。

終わりに

 ライブに行って楽しめるだけでなく、ここまでいろいろ考えさせてくれるとてつもなく良質なコンテンツがスプラトゥーンの音楽ライブです。本当に大好きです。

 前回のハイカライブの感想とときに書きましたが、ベースにはゲーム音楽であるということがやっぱり大きいのだと思います。ゲームで何回も聞いている音楽だからこそ、一発限りのライブでもみんなで一体となって盛り上がれると思うのです。

 

 

去年の現地レポも合わせて是非。 


 

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2018年をプレイしたゲームで振り返る

 まずは2018年のゲーム業界をざっと振り返ってみます。

 コンシューマーゲームでは去年発売したNitendo Switchが好調を維持しています。かといって他のハードが沈んでいるわけでもなく、業界全体が盛り上がっていて嬉しいところです。

 ゲームのジャンルでいうとTPS、FPS、サバイバル系のゲームが流行った印象です。PUBG、荒野行動、フォートナイト、dead by daylight、IdentityⅤあたりですね。ここに国産のゲームメーカーのタイトルがないのが少し残念です。

 スマホゲーム全般を見渡してみると、ユーザ数の多いゲームが引き続き売り上げ上位を占めている状態で、新たに名乗りを上げたヒット作がなかった印象です。1つソシャゲが当たると莫大な利益が出ますし、すぐにゲームの人気が衰えることは考えにくいものの、次のヒット作を出さねばと各メーカーは焦っているのではないでしょうか。 

 次に自分がプレイしたゲームを振り返るわけですが、今年は忙しい部署に異動したこともあり、ゲームになかなか時間を割けない1年でした。 仕事の仕方はだいぶ覚えてきたので、来年はもっとたくさんのゲームで遊びたいなと思います。

シャドウバース

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 2017年に続いて僕が一番プレイしたゲームはシャドウバースでした。結果は振るわなかったものの、3か月に一度の大型大会に欠かさず出場しました。来年こそは良い結果を残せるように頑張ります。

 リリース初期と比べるとユーザ数は減っている印象ですが、ゲームの競技性が非常に高くなり、上手いプレイヤーの上手さが際立つ環境にシフトしてきました。プロリーグが始まり、国内e-sportsトップランナーとして様々な挑戦を行ってくれた一年だったと思います。

 年末に行われた優勝賞金1億円の世界大会は、決勝戦の最終試合が漫画のような熱い展開で、現地で大盛り上がりをしました。e-sportsにはやはり可能性がありますね。

アズールレーン

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 こちらも2017年から引き続きプレイしているゲームです。ゲーム内イベントの開催中に満足にプレイすることができなくなったのをきっかけに一度は引退をしたのですが、やっぱり遊びたくなって再開しました。

 シャドウバース同様プレイヤーの数は減っている印象ですが、相変わらず丁寧で親切な運営に好感が持てます。2018年に米国版をリリースしたので、本国である中国の売り上げも合わさるとそこそこの利益はあがっているのではないでしょうか。

 片手間にプレイできる手軽さと、史実をベースにした世界観展開が好きなので、このままゆるゆるとプレイし続けていきたいなと思っています。

ブラウンダスト

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 アズールレーンを引退しているときに、リリースしたてのソシャゲで遊ぼうと思ってしばらくプレイしていたゲームです。戦略性が高そうなところが自分好みだなと思ってダウンロードしました。

 ゲーム性は予想通り良かったのですが、ガチャの確率が異様に渋く、最高ランクまで強化するためには同じキャラが10体必要という仕様が辛かったです。リリースしたてのゲームを選んだのは、ゲームの先駆者として優越感が味わえることを期待してのことだったのですが、課金してまでやりたいゲームではないなと思ってさっぱりやめました。

ポケモンエス

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 ポケモンのゲームはとりあえず触ってみる人間なのでやってみました。自分のキャラは全自動で動いていき、技を放つときだけ操作をするという極めてライトな触り心地でした。たまにはこういうのもいいかなと癒されました。

 ただ、キャラが上手く揃わないと途中のボスに勝てなくなり、何回やってもダメなステージに行く手を阻まれたので引退しました。

スプラトゥーン2 オクト・エキスパンション 

 スプラ2の追加課金コンテンツです。たくさん楽しませてもらったお礼に、お布施の意味も込めて購入しました。

 中身は難しくなった一人用モード。難易度は高めでした。スプラ歴は長くないので、クリアを諦めるステージもいくつかありました。物語に関わるところは難易度が緩く、任天堂らしい絶妙な難易度設計だなと舌を巻きました。

Cities: Skylines(Nintendo Switch ver.)

 多プラットフォームで提供されている街づくりゲームです。シムシティのようなジャンル。対戦ゲームと並び、こういうシミュレーションゲームも好きなので購入しました。期待以上の面白さでのめり込みました。

 住民一人一人の行動がリアルタイムでトラッキングでき、各住民の行動が積み重なって都市機能が周り、税収を得たり渋滞が発生したりと都市活動が進んでいきます。とても楽しく、それ以上に勉強になります。

 非常に時間泥棒のゲームなのですべてのステージをまだクリアできていません。

ポケットモンスター Let's Go! イーブイ

ポケットモンスター Let's Go! イーブイ- Switch
 

 ポケモンの新作はすべてプレイする人間なのでこちらも購入。

 様々な要素を削って、初めてポケモンを遊ぶ人にとってもわかりやすいゲームを目指したのだなと思いました。僕はメインのターゲット層ではなかったようです。

大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL

大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL - Switch

大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL - Switch

 

 2018年を代表するゲームを1つ挙げるとしたらこのタイトルなのかなと思います。歴代のファイターを全員参戦させるという偉業を成し遂げた、歴史に残るゲームとなりました。

 現在プレイ中ですが、CPUが異様に強くてびっくりしています。ゲームキューブのときはどれだけレベルを高くしてもCPUには負けなかったのに。AIの進化というやつでしょうか。

 すべてのファイターをプレイできる状態にするまでが非常に大変だということでも物議を醸していました。種類が多いわけですし、もうちょっと楽にしてもいいのになと思いました。

 

 来年はキングダムハーツの新作が出るということでPS4を買わなきゃと思っています。2019年もゲーム好きにとって良いとしてありますように!

 

去年の振り返りはこちら。

 

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ベトナムのぬいぐるみ工場を視察してきました

 僕は現在ゲーム会社でグッズ制作の仕事をしています。自分の企画した商品を作ってもらっているぬいぐるみ工場を視察することになり、ハノイホーチミンに出張に行ってきました。

 印象に残っているのは工場のラインで働く工員さんたちの姿です。劣悪な環境で単純労働をさせられている悲惨な姿を見ることになるのかもしれないと不安だったのですが、全くそんなことはなく、むしろ僕よりも幸福度の高い生活を送っているのではないかと感じてとてもびっくりしました。

 

 東京からハノイ空港に飛びました。日本からは6時間ほど。東南アジアに行くのは初めてだったのですが、意外と時間がかかるものですね。ハノイ空港はなかなか近代的な空港でした。

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 工場へ向かう

 この日はそのままホテルに直行し、翌朝工場へ向かいます。

 噂では聞いていたのですが、バイクの多さには本当に驚きました。バイクの川の中を車が泳いでいるような感覚でした。運転の難易度がとても高く、車はつねにクラクションを鳴らして、バイクに自分の位置を教えてあげていました。やはり事故はかなり多いようで、滞在中に事故現場に遭遇することもありました。

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 バイクに乗っている人が全員車に乗り換えたら、渋滞どころの騒ぎではないでしょう。バイクは効率的なんだなと思いました。

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 中学生ぐらいの若者。おそらく通学中なのだと思います。遠くから通っているのでしょうね。

 

 工場はハノイ市街から2時間ほど車で移動した田舎にあります。

 田園の中を車で突き進んでいきます。ハノイ市街には韓国系の企業が多く進出していて、日本の都市でみるのと変わらない光景が広がっていました。しかし、田舎に入ってくるとどんどん様子が変わっていきます。

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 高層ビルなど1つもなく、道路沿には屋台のような商店が立ち並びます。日本の田舎とは全然違う、別世界の風景。車から降りなかったのできちんと写真が撮れなかったのが残念なのですが、まるで映画やアニメの世界に迷い込んだような感覚でした。車の中からシャッターを切りまくっていました。生活で必要なものをお互いが融通しあうことで回っている経済。資本主義にはまだ侵略されていない姿でした。

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 スコールの直後の街。大量の荷物をバイクで運ぶ姿が本当にたくましい。

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工場を見学する

 工場に到着し、実際に稼働中のラインを見学させてもらいました。企業秘密なので写真はなしです。

 製造業の現場はIT化やロボット化が進み、かつてのようにたくさんの工員が働く現場ではなくなっていると聞きます。しかし、ぬいぐるみはオートメーションに向いていません。縫う箇所が商品によって全然違っており、1種につき多くても数万個の単位しか量産しないからです。

 なのでぬいぐるみ工場のメインの部分は、何百台というミシンに向き合う何百人もの工員さんが、手作業でぬいぐるみを作っているところです。生地から型紙通りに部品を抜き出し、その布を縫い合わせ、綿を詰めていきます。

 話には聞いていましたが、実際に自分の目で見るのは初めてでした。自分が普段仕事のなかで、「こんなぬいぐるみを作りたい」をメーカーに依頼をかけたものは、こうやって1つ1つ手作業で作られているのだと。

 遠い異国の地で、このキャラクターが何者なのか知らないであろう工員さんたちが、僕の企画した商品を作っている。ぬいぐるみ生産において、もっとも気を付けねばならないのは折れたミシン針の混入です。工員さんたちは細心の注意を払いつつ、効率的にぬいぐるみを仕上げていました。工場とはそのようなものであるとはいえ、畏敬の念を抱かざるを得ませんでした。

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 2000名の工員さんがみんな原付バイクで出勤するので、駐車スペースが圧巻の見応えでした。

 ベトナム発展途上国にカテゴライズされるのかは知りませんが、東南アジアの工場の現場と聞くと、劣悪な環境で働かされている人々というイメージがどうしてもついて回りました。しかし実際に工場の様子を見てみると、そのイメージは払しょくされました。

 工場のなかはいたって清潔。工員さんたちは完璧にマニュアル化された業務を淡々とこなしていました。休憩時間もしっかりきまっており、お昼ご飯を食べるとお昼寝タイムがありました。残業がないように製造スケジュールが管理されているので、夕方には家路につきます。

 欧米の企業を中心に、CSRの一環として工場の労働環境の改善を図る動きが盛んになっています。ぬいぐるみ業界においても、D社という絶対的なトップ企業がありますから、D社の仕事を受けている工場は徹底されている印象でした。

 もちろん、僕が見に行った工場が恵まれているだけで、ひどい工場はいくらでもあるのかもしれません。少なくとも、視察した工場の工員さんたちは、割と楽しそうに働いていたのが印象的でした。

 ど田舎なので、工場の周りには民家しかありません。工員さんたちは陽が昇るとともに起き出して原付バイクで工場に出勤し、陽が沈む前に家に帰るのです。街頭があまりないので、夜は真っ暗。家でゆっくり過ごすのでしょう。上で書いたように自給自足に近い経済のサイクルですので、ご近所さんと協力しながら日々生活をしているのだと思います。

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水路でものを運搬する人々。

 

 それに比べて僕の暮らしはどうでしょうか。朝から満員電車に詰め込まれ、深夜まで働き詰め。仕事は人間関係のトラブルやお偉いさんに気を使いっぱなしのストレスフルなもの。ベトナムの工員さんたちの方がよっぽど人間的な暮らしをしているのではないかと思いました。

 もちろん、工員さんたちは経済的に貧しいです。先進国ほど文明の利器も活用することなく、あの村から出ることなく一生を終える人も多いのだと思います。日本は経済的に豊かな国です。僕が仕事の一環として飛行機でベトナムに行かせてもらえるぐらいです。しかし、この経済的豊かさが、1人1人の幸福につながっているのかは疑問だなと思いました。

 「世界一周旅行を経て価値観が変わった」「旅行程度で価値観が変わるなんてダサい」みたいな議論をたびたびネットで見ますが、ぬいぐるみ工場は自分の仕事にダイレクトで繋がっている分、考えさせられることが多かったです。いまの自分の働き方を今後40年も続けるつもりなのか、考えねばいけないなと思いました。

ご飯とか

 ここからは余談ですが、ベトナムは料理が日本人の好みに近くて良かったです。アメリカ出張では食べきれないほど大きなステーキが出てくるので。

 フォーです。優しい味わいで、麺もつるっとして本当に美味しかったです。出張中何度か食べましたがハズレがないですね。

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 生春巻きと揚げ春巻き。生の方はパクチーたっぷりなので、パクチーが苦手な方は苦労するかもです。いろいろな料理にパクチーが入っているので、好きな方にはたまらないでしょうね。

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 バインセオというお好み焼きのような食べ物。屋台の料理だそうです。右下のライスペーパーに巻いて食べます。こちらも癖のない味わいでした。

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 こちらは視察も兼ねて訪れたHoàng Thành Saigon Squareというマーケット。大量の偽ブランド品が所狭しと売られていました。昔は中国でこのような偽ブランドの取引が盛んでしたが、取り締まりが厳しくなってきたので、いまはベトナムの方が盛んなのではと現地の人は言っていました。

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余談終わり。楽しくて考えさせられる旅でした。

 

 

 海外の旅行記を書いたのは久しぶりでした。出張でアメリカに行っても書くことがないので。。。

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祖父が亡くなりました

  先日、僕の祖父が亡くなりました。気持ちの整理をつけるために、ここ数日で起きたことを覚えておくために、そして祖父との思い出を記録しておくために、文章を書き残しておきたいと思います。

 

 死因はガンでした。ガンが見つかったのは2年ぐらい前だったと思います。タバコが好きな人でした。タバコを吸う人がよくかかる部位のガンでした。祖父はタバコをやめて、手術をして、ガンはすべて摘出されました。

 しかしガンは転移していました。手術で弱った祖父の体力では、二度目の治療を行うことができず、ゆっくりとガンが体を蝕んでいくのを見守ることになりました。

 

 たまたま友人の結婚式に出席するために実家に帰ったついでに、近所にある祖父の家に顔を出したときのことがあります。祖父は弱っていました。消化器系にガンが転移したということで、気分がすぐれず、食事を全く食べられなくなっていました。

 僕にとって肉親が病に倒れたのは初めてだったので、その姿を見てとてもショックを受けました。人が死に向かっている。自分は何もすることができない。励まし方すらわからなくて、祖母と母が世話をするなかで立ちすくんでいました。自分が情けないのか、弱った祖父を見るのが悲しいのか、涙が出そうになりました。

 祖父は仕事を頑張れと励ましてくれました。いま思えば、なぜ自分の方が励まされていたのでしょう。辛いのは祖父の方だったはずなのに。

 

 数か月後、祖父がいよいよ危ないので週末に一度実家に帰ってくるように母から連絡がありました。土曜日の午前中に用事があって、それが終わってから新幹線に乗りました。

 祖父は病院のベッドで寝ていました。祖父の家の近くにある、あまり大きくない病院の、小さな個室でした。窓からは病院のベランダが見えました。洗濯物が干せるようになっていました。

 結婚式のときに会ったときよりも、祖父はさらに弱っていました。見た目が衰弱するのは、ある意味当然のことなのでそこまでショックではなかったのですが、祖父は声を出せなくなってしまっていました。僕が見舞いに来る1日前までは、普通にしゃべることができていたそうです。致命的な遅刻でした。

 声帯を震わせて発声するエネルギーがなくなってしまったようでした。口を開けて、息をひゅーひゅー言わせながら、しゃべりかけようとしてくれたのですが、何を言っているのか誰にも分りませんでした。

 意識はしっかりしていて、耳の機能は衰えていませんでした。こちらの話は理解してくれて、首を縦に振ったり横に振ったりしてくれるのに、祖父の伝えたいことはほとんど理解できませんでした。そのことを祖父は非常に悲しんでいるように見えました。簡単に解決できそうな問題なのに、解決することができませんでした。

 祖父の口元に耳を思いっきり近づけて、彼が必死にしゃべりかけてくれるのを「うんうん」言いながら聞いていたのですが、何も分からず、でも祖父は僕のことを認識して笑顔で話しかけてきてくれました。いろんな感情が沸き上がってきて、母と父の前でボロボロと泣いてしまいました。

 

 ノートに文字を書いてもらうことを試しました。起き上がることができなくなっていたので、寝たまま手を上げて文字を書くのはとても辛そうでした。

 渾身の力を振り絞ってくれて、少しだけコミュニケーションが成り立った瞬間もありました。僕が一人暮らしをしているという話を祖父に聞かせていたときのことです。たまには自分で料理を作っているのだと言うと嬉しそうにしていました。祖父の得意料理は何かと聞いたところ、直線を重ねた幾何学模様をノートに書いてくれました。その下に、カタカナで「サカナ」とも。直線は、簡略化した魚の絵でした。

 祖父は釣りが好きでした。父が釣りの話を祖父にすると、祖父は満面の笑みを浮かべました。笑顔を作るのにもエネルギーが必要だったのだと思うのですが、積極的にコミュニケーションを取ろうとしてくれました。

 「あいうえお」を表にして、祖父に指さしをしてもらうことで会話をしようと試みましたが、それはできないようでした。なぜだったのかはわかりません。目があまり見えていなかったのかもしれません。

 

 

 

 日曜日には僕よりもさらに遠くに住んでいる僕の弟も帰ってきました。僕らふたりを見たときの祖父の嬉しそうな顔。土曜日よりも少し元気になったようでした。声は相変わらず出なかったのですが、口の動きともれる吐息で、言わんとしていることがわかるときもありました。僕と弟の名前を呼んでくれたのは、とてもはっきりとわかりました。

 祖父はずっと寝たままの姿勢でいるのが辛いらしく、電動ベッドを持ち上げてほしいというジェスチャーをたびたびしました。ゆっくり時間をかけてベッドを起こしました。上半身が起き上がると咳が出てしまうらしく、非常に辛そうだったのですが、姿勢を変えたかったみたいでした。

 のどが渇いたので水を飲みたいというジェスチャーも何度も見せてくれました。しかし、消化器官が弱り切った祖父は水を飲ませてはいけないと看護師さんに言われていて、ジェスチャーをするたびに、ダメと言わなくてはいけませんでした。祖父はとても悲しそうな顔をしました。ささやかな願いを叶えてあげられず、僕らもとても悲しい気分になって、他のことで祖父の気を紛らわそうと必死になりました。

 月曜日には仕事に戻らなければならないので、その日は早めに東京に戻りました。夜遅くまで付き添うこともできたのですが、弱った祖父を見続けるのは正直言って辛くて、逃げるようにして電車に乗りました。情けない。

 

 

 日曜日の時点では、あと2週間から1か月ほどの余命だろうという話を看護師さんから聞きました。いまは点滴で水分と栄養を補給できているが、そのうち点滴の針が入らなくなってしまう。それがカウントダウンの始まりだと。

 しかし祖父は翌日の月曜日に逝ってしまいました。日曜日と同じように意志の疎通を行っていたのですが、あるとき血圧が急激に低下して、そのまま一気に息を引き取ったとのことでした。母と叔母が付き添っていて、叔母が祖母を呼びにいっている間に、亡くなったとのことです。

 大きく大きく、「ふうーっ」と息を吐き出して、呼吸が止まったと母は言っていました。人が死ぬ瞬間を母は見たと言っていました。そのときに感情をすべて吐き出したので、葬儀のときには比較的落ち着いていられたとも言っていました。

 

 月曜日の夜に訃報を聞きました。上長はすでに帰宅していたので、非常識かなとも思ったのですが取り急ぎメールで一報を入れ、火曜日の通夜に間に合うように仕事の算段をつけました。火曜日の朝一番に慶弔届を出し、水曜日は一日休むための準備をして、新幹線で実家に帰りました。

 家に着いたとき、母と父は全く普段通りの様子でした。しばらくすると弟も帰ってきて、みんなで喪服に着替えて通夜へと向かいました。社会人になりたての僕と弟、そして父がそろって黒いネクタイを締めているのを見て、自分も大人になったものだと場違いな感想を抱いたりしました。

 通夜は親戚だけで小さくとり行われました。祖父の娘である僕の母と叔母が中心となって切り盛りされていました。叔母のこども(僕のいとこ)とも久しぶりに会いました。僕と弟も入れて4人だけの孫です。僕より年下の彼らも喪服に身を包んでいて、時間の流れをまた感じました。

 

 次の日が告別式でした。祖母や母は努めて明るく振る舞っていたのですが、別れの瞬間はみんな涙が抑えられていませんでした。孫である僕らも、祖父が大好きだったので、みんなで泣きました。祖母が口うるさいタイプなので、祖父はどちらかと言えば口数は少ない人だったのですが、寡黙なわけではなく、コミュニケーションを取るのは好きな人でした。

 釣り道具を棺に入れてあげました。向こうにいって、存分に釣りを楽しんでくれているといいなと思います。

 火葬場でお骨を拾って、精進落としの料理を食べて、一通りの葬儀が終わりました。

 

 亡くなる直前にお見舞いに行くことができて、今のところとても大きな後悔があるというわけではありません。ただいろいろもっとああすればよかったということはあります。

 僕が孫の中で最年長なのですが、ひ孫の姿はおろか、お付き合いをしている女性すら見せることができなかったのは1つ心残りになりました。祖母が亡くなる前にはなんとかせねばと思います。

 祖父が亡くなって日が浅いため、まだ実感が湧いていない部分もあるのでしょう。ふとしたときに、祖父がもうこの世にいないことを思い出す瞬間がきて、死という別れの遠さを思い知るのかもしれません。

 死にゆく祖父を見ているのは辛かったのですが、周りの人間にできる最上の貢献は、看取ることなのだと思いました。それがわからず、目を背けてしまったのは良くなかった。仕事を言い訳にして帰らないという選択肢も一瞬浮かんだのですが、それだけはいけないとその選択肢が自分の中ですぐに消えたのは、良かったことだと思います。

 自分の両親を見送るとき、そして自分が見送られる側になるとき、自分に家族がいることはとても大事だなと思いました。生涯の伴侶を見つけなければという想いが強くなりました。

 また何か書くと思いますが、とりあえず今日吐き出せるのはここまで。終わり。 

 

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今更ボカロにハマったことがとても嬉しいという話

 年齢を重ねれば重ねるほど、新しいものにハマらなくなり、自分の趣味の幅が広がらなくなるという話をよく聞きます。

 特に音楽に関しては、中学生・高校生ぐらいのときに聞いていたものが自分の中でのスタンダードになり、新しいジャンルにどっぷりハマることはないらしいです(要出典)。それで言うと僕の中でのスタンダードはRADWIMPSであり、BUMP OF CHICKENであり、Mr. Childrenである、ということになります。

 しかし最近、ボーカロイドを使用した楽曲にハマり、好んで聞くようになりました。自分の中に起きた突然のこの変化に、自分のことながらとても驚いています。

 もともとボカロに対してはあまり良いイメージを持っていませんでした。感情のない機械の音声、難解なだけの言葉を連ねた意味不明な歌詞、初音ミクの熱狂的なファン…。

 そのような状態から変化が起きたことが我ながらとても嬉しく、ブログに書いてみたくなりました。

 


【IA】アスノヨゾラ哨戒班【オリジナル】

今一番好きな曲。Orangestar氏のアスノヨゾラ哨戒班。IA(いあ)というソフトを使っています。独特の電子音で作られた疾走感、想うがままに揺さぶられる緩急の付け方、ボカロの澄んだ高音が見事に調和した一曲です。

 

なぜ急にボカロなのか

 音楽を聞く環境の変化、音楽に求めるものの変化が大きな要因だと考えています。

 社会人になって、周りの人が会話をしていたり、電話をしたりしている中で、集中して仕事をしなくてはいけない環境に置かれるようになりました。大学院時代は静かな研究室で黙々と研究に打ち込めていたのですが、職場にそのような場所はありません。

 イヤフォンをつけて音楽を聞きながら仕事をするという対応策を試していましたのですが、普通のJ-POPや洋楽では音楽に気を取られてしまい、思うように集中できませんでした。そこでたまたまボカロ楽曲を聞いた時に、「これは求めていた”答え”では?」とビビっときたのです。

 感情をこめて歌手が放つ歌声は、どうしても僕の感情を揺さぶるパワーがあります。感情を込めて悲しい曲を歌われると、心がざわざわしていまい、集中力が低下してしまいます。しかしボーカロイドの機械音声には、良い意味で感情が込められていません。すーっと耳を通り過ぎていきます。ボカロの良さであり、逆に歌手のすごさを思い知ることにもなりました。

 バンドミュージックをイヤフォンで聞くと、ギターが聞こえ、それを支えるベースが重なり、ドラムのビートが響くわけですが、ボカロはすべてが調和して1つになっているように聞こえるので、受け取る側の自分の中の処理が軽い感じがするのです。脳みそのCPUをあまり使わずに、音楽を認識しているイメージ。バンドミュージックを否定しているのではなく、ボカロがもともと1つの音源だからだと思います。(詳しくないので違うかもしれません。あくまでイメージです)

 仕事が忙しくて疲弊しているときは、カフェで流れているようなピアノミュージックなどを聞くこともあるのですが、普段はボカロの方が元気をもらえて、ノリノリで仕事をこなせます。

 


METEOR / DIVELA feat.初音ミク

とにかくノリノリで元気になれる曲です。2018年のマジカルミライという初音ミクのイベントで、楽曲コンテストのグランプリに輝きました。

 

 


Alice in 冷凍庫 / feat.IA

冒頭で紹介したOrangestar氏の作品で、こちらも大好きな曲です。ボカロならではの息継ぎなしの超連続歌唱と、ラストの超高音ボイスがくせになります。単調に聞こえるのに、なぜか頭から離れません。

 

 

新しいものを求め続けよう

この文章を書こうと思ったきっかけの1つに、聞いていたボカロのコメント欄で、とある投稿を見つけたからです。

 


【Miku Hatsune】SPiCa【VOCALOID 初音ミクPV】

 

この曲についてるコメントの中で、1番高評価のコメント。

「昔の方が良かった」とか「懐古厨嫌い」とか言い争われてるコンテンツあるけど、ボカロに関しては昔の方が良かったと言わざるを得ない

そして2番目。

新しいボカロより昔のSPiCaとかメルトの時代の方が良かったなぁ

 

 ボカロを日常的に聞いている人なので、それなりに若い人が書いたコメントだとは思うのですが、まさに「老害」という言葉がぴったりのコメントではありませんか。こういう考えに囚われてしまう気持ちは良く理解できるのですが、それを思わずコメントしてしまう人がいて、さらにこのコメントが高評価を受けている。その事実に突き動かされ、キーボードを叩いています。

 このSPiCaも、コメントの中にあるメルトという楽曲も、どちらも素晴らしい楽曲で、僕も大好きです。そこを否定するつもりは全くありません。でも、この曲たちも胸に抱き続けたまま、僕は前を向いて手探りで歩いていきたいと思っています。もっともっと良い曲をたくさん探していきたいなと思っています。

 昔は良かったという感情は幻想です。時間が経つにつれて思い出が美化されたこと、そして少年時代の楽しい記憶がくっついて、自分で自分をだましているだけです。常に新しいものを追い求め、受け入れていける人間になりたいと思いました。その一環として、ボカロにハマれたことがとても嬉しかったのです。

 

 

 そういえばイカ語で歌うアイドルのライブに行ったこともありました。

 

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Orangestar氏のアルバムです。音楽活動を停止しているみたいですが、いつか復活してくれることを祈っています。 

未完成エイトビーツ

未完成エイトビーツ

 

 

 

ソシャゲのオート周回機能から未来が垣間見える

周回ゲームというフォーマットがソシャゲによく導入されます。”同じステージを何度も繰り返しプレイさせる動機を用意したゲーム”とでも定義されるでしょうか。ソシャゲ特有のスタミナ制度ととても相性が良く、細切れの時間に遊ばせることができるのでぴったりのシステムです。(もちろんソシャゲでないゲームにも取り入れられていることは多々あります)

 

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 最近僕が面白いなと思ったのは、(数年前から出ているのですが)オート周回機能がついたソシャゲをたくさん目にするようになったことです。オート周回している間、プレイヤーはほとんど操作をしません。もはやこれはゲームなのかと思ってしまうのですが、じっくり考えてみるとこれも立派なゲームなのだなと思いました。それが今回のトピックの1つ。

 そしてオート機能は徐々に高度なAIが搭載されていくと予想していて、AIとの付き合い方を考える材料になりそうだなと思ったのが2つ目のトピックです。(AIは意味が広い言葉なので適切な用法かは自信がないですが)

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 Brown Dustというゲームの周回補助機能。

 

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 一口に周回ゲームといっても、ソシャゲにはいろいろなジャンルがあります。例えばシューティングゲームアズールレーン

 アズールレーンでは自機を勝手に動かしてくれるオート機能があります。コンピュータが操作を代行してくれるのですが、人が普段行っているように、敵の位置から敵弾の起動を予測するような操作はしてくれません。敵の攻撃を避けるときもありますが逆に当たりにいくこともあります。一定時間ごとに使える強力な攻撃は、チャージがたまった瞬間に発射するという雑な設定になっています。

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 端的に言ってオートは下手くそです。しかしプレイヤーたちはオート機能と上手く付き合っています。その付き合い方が、実はけっこう未来的な事象なのではと思いました。

 第一に、オート機能の特性を理解してお膳立てをしてあげるという視点が生まれることが新しいなと思います。アズールレーンで言えば、オート周回用の装備を選ぶのです。追尾弾を装備すれば、狙いを付けるのが下手なオート操作中でも弾がヒットしやすくなります。自機は勝手に相手の弾に当たりにいってしまうことがあるため、スピードを速くするのはあまり効果的ではありません。それよりも、被弾してしまうことを前提にして防御力を高めるのが良いという発想になります。

 上記をカッコよく解釈すると、オート機能を司っているシステム(まだAIと呼べない代物なのでシステムとしておきます)を理解し、使いこなすという考え方が必要だということになります。いかにシステムを飼いならして周回を快適に行うか、という点が1つの立派なゲーム性になっていて、既存のゲームにはない新しい要素に見えるのです。

 第二に、そもそもプレイヤーはオート機能に周回をさせるか自分で操作するかを選ぶことができます。ロボットに仕事を任せるか、自分で手を下すかの判断をするわけです。システムの能力を正しく理解し、任せられることと任せられないことの見極めを行う必要があります。

 オート機能を使っている間、プレイヤーは他のことに時間を使えます。そのシステムをどのぐらい監督しておく必要があるかは、ゲームの性質やシステムの性能によって変わります。そういう見極めを行うというのも、今までにない新しい要素だなと捉えています。

 

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 AIがこれからどんどん身近になってくるでしょう。AIとの上手な付き合い方を身に着けておくべき時代になると僕は思います。AIのお膳立てをしてあげるという視点、AIに任せられる仕事を見極めるという視点は重要なものになるはずです。(もっとAIらしいオート機能があるゲームを僕がプレイできていれば、わかりやすい例を提示できたなあと思います。。。)

 AIは得体のしれないものではありません。ベースになっている機械学習の仕組みを知っていれば、意外と単純な原則のもとに動いているシステムだということがわかります。私は情報系の専攻だったので大学で勉強したのですが、多くの人はそうではないと思います。そこで、ゲームが貢献できる余地があるのかなと思いました。

 ゲームの中ではすでにシステムとして出来上がったAIのようなものに触れるわけで、仕組みに意識が向くわけではありません。しかしアズールレーンの例のように、実際の挙動に触れながらAIの得意不得意を掴むきっかけにできるのではないかと僕は思っています。

 幼少期からソシャゲに触れてきた次世代の人たちは、僕らとは違う感覚を持っているのかもしれません。とても面白い時代だなと思います。

 

 

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