理系院卒のネットワークなブログ

意外なところに「つながり」ってありますよね

アクチュアリーや銀行の融資担当者の仕事は50年で消えるらしい

 就活の一環であるIT企業の社員さんとお話をさせていただきました。その中で最もおもしろかった話がこれ。アクチュアリー(ビジネスにおける将来のリスクや不確実性の分析、評価等を専門とする専門職(Wikipediaより))や銀行の融資担当者の仕事は、しばらくするとなくなってしまうそうです。

 原因はずばり人工知能。ざっくりとした言葉なのでもう少し丁寧に説明するなら、巨大なデータベースを持ち、その中をゴリゴリと探索してそれらしい結果を導き出す情報システムのことです。金融の世界で実際に取れた過去何十年にわたるデータをこのシステムに与えてしまえば、人の手で計算せずとも、リスクの比較的少ない投資先を決定することができるようになるそうです。だからアクチュアリー等の職業が消えてなくなってしまう、と。

 このお話は、僕がお会いした方が考え出した話ではなくて、人工知能の界隈にいる人ならだれでも知っている話のようで、以前オックスフォード大学の教授が発表した「あと10年で消える仕事」の中にも銀行の融資担当者は入っていました。

gendai.ismedia.jp

 

ITはすべての支配者か

 僕はIT技術全般が好きなのでこういう話をしてもらったときには目を輝かせるタイプです。その一方で、恐怖がないわけではありません。過去の法則に基づいて未来がすべて良い方向に動かせるなら、どんな未来が待っているでしょうか。金融の世界だけに限定されているならまだしも、もっと人間的な部分にまでこの技術が取り入れられてきたら、人間がコンピュータに支配されてしまうこともあるのでしょうか。こうやってすぐに議論を極限にまで発散させてしまうのは悪い癖だとは思いますが、映画マトリックスが僕らに見せた未来はあまりにも凄惨でした。

 話を現在に戻しますと、僕ら就活性が選択する業界が、20年後に衰退しているかもしれない。50年後になくなっているかもしれない。そんな中、他の職業をむしゃむしゃと食べてしまうであろうITの分野に進むのが最強の勝ち組の選択に思えてきます。もちろんIT業界の中でも勝ち負けはあると思いますが、仮に最先端のITに携わる一流の研究者、または巨大IT企業のトップ経営者になれたら、世界を支配した気分になってしまうのかもしれません。そこまでいかなくても、一社員であっても、どこか傲慢な気持ちが生まれてきてもおかしくないのではないでしょうか。

 傲慢と言う名の悪魔に心を奪われた科学者は、寓話の中ではやっつけられておしまいです。しかし、僕がしたいのはそんな単純な話ではありません。この傲慢さは、自分の仕事に誇りを持つということと表裏一体です。俺がITで世界を良い方に導いているんだというやりがいと、俺がITで世界を支配してやるんだという傲慢に、本質的な違いはあるでしょうか。

 僕はIT業界に進むつもりでここまで勉強してきましたし、それを変えるつもりはありません。企業から、世の中から必要とされているという感覚も多少は味わっています。それでいいと、間違っていないと思っています。でも、僕がこなした仕事がどういう結果を生むかというのは、IT業界にいるとわかりにくいこともあるのだろうと思いました。自分が実現したいと思った未来は、果たして万人が幸せになれる世界なのでしょうか。

 

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