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無料アプリ対決「ポケモンvsパズドラ」 - ポケとるスマホ版はヒットするか考えてみる

 2015年8月25日、スマホ向けパズルゲーム「ポケとる」がリリースされました。北米版も9月2日からサービスを開始しています。ポケモンスマホアプリ界でどれぐらい戦えるでしょうか。パズドラを引き合いに出して考えてみました。両者の優越を決めたいわけではないので誤解なきよう。

ポケとるのゲームシステム

 後半の議論のためにポケとるのシステムを簡単に紹介します。知っている人は飛ばしてください。3DSバージョンと全部同じだと思います。

 6×6の盤面に並んだピースを入れ替えるマッチ3パズルです。2つのピースを入れ替えて縦横3つ以上並んだら消えるという極めてシンプルなゲームです。絵面が似ているのでパズドラのパクリだという気持ちもわかりますが、枚挙にいとまがない古典的なパズルでしょう。

 4匹のポケモンを選抜して野生のポケモンと対決します。ポケモンのタイプ相性が導入されています。それぞれのポケモンは1つスキルを持っており、3つ揃った際に確率で発動します。ゲーム本編と同様に特定のポケモンメガシンカします。メガシンカさせたいポケモンを消すとゲージが貯まり、閾値を超えると進化します。メガシンカしたポケモンを揃えると他のピースも巻き込んで消し去る強力なエフェクトが発動します。

 決められた手数が尽きるまでに体力をゼロにできたら勝ちです。野生のポケモンたちはパズルを様々な手段で邪魔をしてきます。なるだけ多くのピースが消えるような動かし方を模索していくところに頭を使います。クリアしたらそのポケモンモンスターボールを投げます。投げるボールは1個だけ。失敗したら再びパズルで倒さないとボールを投げられません。残り手数が多いほど捕まえやすくなります。

 ポケモンを倒すとパーティに経験値が入ります。ポケモンゲーム本編では一定のレベルに達したポケモンは進化しますが、このゲームでは進化システムはありません。単純にパワーが上がるだけです。進化後のポケモンも野生でそのまま登場します。

ポケモン vs パズドラ

 気になった点を比較していきます。

1.ゲーム性 ⇒ プレイヤー層

 入れ替えられるピースが2箇所だけのポケとるはパズドラよりも操作が単純です。頑張っても4コンボぐらいしか読めません。決められた手数の中で相手を負かす必要があり、体力の続く限り戦えるパズドラよりも制約が強めです。ポケモンにはスキルが備わっていますが確定で発動するわけではありません。任意のタイミングでスキルを使用できるパズドラと違って操作性が低いですが、余計なことに頭を使わなくてもいいという言い方もできます。

 違いはメインとするターゲット層なのかなと思います。パズドラよりも一回りライトな層を狙っているのではないかと。パズドラは修練度を重要視しているゲームですが、ポケとるは必ずしも上達を求めていないのではないと感じます。例えばステージ120のメガオニゴーリはかなり難しかったですが、アイテムを使えばなんとかなるレベルでした。ゲーム本編で四天王と戦うときに、努力値などをいじらなくても回復アイテムをたくさん使えば勝てることと重なります。こどもから大人まで、誰もが楽しめる難易度に調整してくる当たりはさすがです。

 ゲーム本編では特定の強いポケモンばかりが対戦で活躍していますが、ポケとるのポケモンに大きな能力差はありません。まったく同じステータスのポケモンもいます。「好きなポケモンで勝つ」が実現しやすくなっており、ここからもライト層を狙っているという印象を受けます。

 大切にしてきた「育成・収集」の要素をきちんと取り込み、単調なパズルゲームに奥行きを出しています。キャラクターの扱い方に関してはポケモンに一日の長があると言えるでしょう。ストーリー性があるともっとポケモンらしさが出たかなというのが個人的な感想です。

2.3DSバージョンの存在 ⇒ リスクヘッジ

 このゲームは3DSの配信ゲームとして開発しており、難易度調整もその時点で終わっていると言えます。たとえ子どもが泣き出すぐらい難しくなってしまっていても3DSの時点で修正できるため、低リスクでスマホ向けにリリースできました。開発予算も少なくて済みますし、3DS版との連携も可能。別媒体を持っているからこそできる手堅い戦法です。

 3DS版の反応を見て「いける!」と思ったからスマホに乗り込んできたわけで、大赤字になることはないのでしょう。ゲームシステムは似ていますが、強振でホームランを狙うベンチャーのアプリとは状況が違います。ミートカーソルでヒットを狙えばいいのです。そもそも後追いのこのゲームが大ヒットするわけもないので目標設定も低めなのではないでしょうか。

3.課金要素 ⇒ 危険要素かも

 スタミナを回復させたり負けてしまった対戦をコンティニューできる課金アイテムが売られているのはパズドラと同じです。モンスターBOXやフレンド枠というものはポケとるには存在しないので課金対象ではありません。議論を呼ぶのはモンスターを手に入れるために費やすお金です。

 パズドラのガチャシステムに対して、ポケとるではスーパーボールという課金対象があります。通常のモンスターボールでお目当てのポケモンが捕まえられなかった場合、魔法石を消費してスーパーボールを投げられます。もちろんモンスターボールよりも確率は高くなります。ゲーム内で手に入るコインを使っても投げられますが、コインを集めるのはなかなか大変です。

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 同じポケモンに何度も挑むことができるのでスーパーボールを使うメリットは時間短縮でしかないのですが、せっかく倒したポケモンを捕まえられるチャンスをみすみす逃したくないという心理が働くのも分かります。さらにイヤラシイのが、スーパーゲットチャンスと称して偶発的な確率上昇が起きることです。これはモンスターボールで失敗したときのみに発生するので、「スーパーボールを使うなら今しかない!」という煽りです。モンスターボールで30%ぐらいだった成功確率がスーパーゲットチャンスで80%を超えたりするので、「せっかくチャンスが来たから課金しようかな」ってひともいるのかなと思います。

 一昔前、確率が操作されたガチャを使って大量のお金を巻き上げていたソシャゲに鉄槌が下りました。未だにガチャのシステムに嫌悪感を抱いている人は一定数いるでしょうから、ポケモンはそこを回避したのでしょう。「射幸心を煽る」という言葉が流行りましたが、ポケとるは他ユーザがほとんど見えないゲームなのでその点に関しても予防線があります。

 しかしポケとるのスーパーボールシステムが完璧にクリーンな方法かと言われると疑問で、難癖のつけようはあると思います。「逃げちゃうよ?いいの?お金出せばゲットできるんだよ?」という脅しと捉える人がいるかもしれません。「モンスターボール1個100円の時代到来か?」とネットで揶揄される状態に近いです。課金したのにゲットできなかったプレイヤーから逆恨みされそうだなと感じます。考え抜かれた課金方法だと思うので、クレーム対処法もきちんとマニュアル化されていそうではありますが、一抹の不安が残ります。任天堂がソシャゲ課金に足を踏み入れた時点で嫌悪感を示した人も多かったので、多少叩かれることは覚悟の上ですかね。任天堂信者たちは時代が変わったということを受け入れ、あんまり大声で騒がないでほしいというのが個人的な願いです。 

4.展開 ⇒ 海外に注目

 ポケとるは収益の柱になることを期待されてはいませんが、スマホアプリを使ってポケモンのプレゼンスを示すという大事な役割を持っているはずです。他のメディアと積極的にコラボレーションしていくのではないでしょうか。ポケモンゲーム本編で「攻略本を買った人限定プレゼント」をやったときはちょっとがっかりしましたが、「スマホゲームを遊んだ人限定」なら僕はまだ許せます。ゲームや映画の宣伝にも一役買うことでしょう。

 注目しているのが海外での評判です。ポケモンがすでに浸透している韓国や北米でポケとるはヒットするでしょうか。パズドラはスキル上げがめんどくさがられて海外では微妙だという噂が聞こえてきましたが、ポケとるはその辺をゆるく作ってあります。海外展開も意識していたのでしょうか。パズルゲームは外国にもあるのでポケモンというブランドが今どれぐらいの力を持っているかの指標になりそうですね。

終わりに

 無難にまとまっているゲームですし、収益も堅調となれば話題になることは少ないのかもしれません。「今後の展開に要注目です」と言いたいところですが、無難過ぎてあんまり面白いことにならないかもしれませんね。それよりも、スマホを使ったまったく新しいポケモンのゲームで遊んでみたいと思うのは僕だけではないはずです。

 

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ポケとる スマホ版

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