理系院卒のネットワークなブログ

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2泊3日入院して親知らずを抜いた体験記

 親知らずを抜くために2泊3日で入院してきました。入院する人は多くても、2泊もする人は少ないと思うので、書き残しておくことで誰かの参考になれば幸いです。治療の模様を淡々と書いていこうと思います。気になるところだけ読んでいただければ幸いです。

2泊するのはなぜ?

 まず初めに、なんで2泊もしたのかについて簡単に説明しておこうと思います。一言で言ってしまえば、病院の方針です。親知らずを一度に2本以上抜く場合は入院を勧められます。理由は大きく分けて2つ。

 1つ目は、全身麻酔(正確には違うかも)を使用することで意識のないうちに治療を済ませてしまえることです。実際、手術中は意識が飛んだり戻ったりしたのですが、口内の局部麻酔をされたことに気づかないぐらい効いていました。

 2つ目は、手術後に連続して鎮静剤や抗生剤を投与できるので、炎症を起こしたりする危険性を下げられることです。痛みや出血は避けられませんが、そのまま抜くよりもだいぶ楽になるというわけです。1泊ではなく2泊するのはこちらにウェイトがありますね。1日よりも2日やっておくと安心なのでしょう。

治療の流れ

1.親知らず発見

 親知らずが良くない生え方をしていることが発覚したのは実はだいぶ前で、手術を受ける1年も前です。別件で近所の歯医者さんに行ったときにわかったのです。ご存知の通り親知らずは「抜けるなら抜いておいた方が良い歯」です。僕の場合、上の親知らずは生えていなかったのですが、下の2本が真横に生えていました。近所の歯医者さんでは抜けない生え方だったので、市民病院で抜歯するように紹介状を書いてもらいました。

 しかし親知らずを発見した当時は就活解禁直前でした。まさか入院することになるとは思っていなかったのですが、歯を抜いた痛みをこらえながら面接するのは嫌だと思ったので市民病院にはいきませんでした。単純に、親知らずがまったく痛くなかったのもあります。

 ですが最近、親知らず周辺がじんじんするようになりました。我慢できないほどではなかったのですが、僕は就職して街を離れることが決まっていたので、学生のうちに抜いておいた方がいいだろうなと思ったのです。しかし抜こうと思ってから実際に行動するまでに1か月ほどかかりました。単純に面倒だったからです。だって、痛くもない歯を抜いて、抜いた後は痛いのが分かっているなんて、全然乗り気がしませんからね。でも、奥歯のじんじんが日に日に強くなってきて、やっぱり抜くかあと決意し、紹介状を携えて市民病院に行きました。

2.手術前検査

 市民病院の口腔外科の先生に歯を見てもらいます。親知らずは歯茎の中に完全に埋没しているらしく、歯茎を切ってから歯を砕いて取り出し、もう一度歯茎を縫い直すことになりました。だから、抜糸のために施術1週間後にもう一度見てもらう必要がありました。

 たとえ歯を抜くためとはいっても、入院するためには検査が必要でした。血液検査、尿検査、心電図検査などをしました。大げさだなあと思いましたが、安心感がちょっと出ますね。

3.手術

 手術は入院1日目にあります。10時に病院へ行き、入院に関するレクチャーを受けます。11時からは絶食、13時からは絶飲食、13時半から点滴が始まりました。僕は手術を受けたことがありませんでした。点滴を受けるのも人生で数回しかなかったです。歯を抜くだけだとは思っても、ちょっと緊張してきました。

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 手術室までは車いすで移動しました。術後は麻酔がかかっていて歩けないからだそうです。別に帰りだけ車いすでいいじゃないかとは思ったのですが、それも決まりだったようです。まったくもって健康なのに、手術着をはおり、点滴を繋がれ、車いすに乗せられていくのです。なんだか笑えてきました。

 手術室に入って診察台に乗るとさらに大げさなことをされました。鼻チューブから酸素を吸入し、脈拍を測る機械に繋がれるとピコーンピコーンと僕の脈が表示され、腕がずり落ちないように椅子に固定されました。そして繋がれている点滴に、麻酔薬が加えられます。「痛みがあるかもしれませんが大丈夫ですからね」と先生に声をかけられ、身を固くする僕。実際、点滴の針が刺さった腕から何かが侵入してくる気配を感じ、さらに首のあたりにびりびりと熱を持った痛みが走りました。正確には、走ったような気がしました。この時点でけっこう意識は飛びかけていて、さながら泥酔したような感じでした。

 その後おそらく歯茎に局部麻酔を撃たれたのだと思いますが(別の方法かもしれませんが)覚えていません。手術の終盤になって意識が戻りました。先生と助手がなにか言葉を交わしているのが聞こえてくるのですが、全然意味が分かりませんでした。専門用語だったのか自分の頭が動いていなかったのかはわかりません。意識が戻ったことで、僕はちょっとパニックになりました。口に麻酔をかけられていることを知らなかったので、もしかして激痛が襲ってくるのではないかと思ったのです。しかし、ドリルが回るような機械音が聞こえてくるにも関わらず、僕の痛覚、もっというと触覚すらまったく反応していませんでした。

 意識があるんだかないんだか判別しがたい状況で、「終わりましたよ」と肩を叩かれて少し覚醒しました。乗ってきた車いすに手を借りて移動し、病室に帰りました。途中の意識もあんまりありません。ベッドに乗り移り、しばらく寝ててくださいと看護師さんから言われたのは覚えています。そこからまたしばらく眠りに落ちました。

 14時からの手術は30分ほどかかったらしいです。その後、16時過ぎに目覚めました。朝に眠りから覚めるのとはちょっと違って、目が開くとすぐに頭が動き出しました。17時に口内に知らぬ間に詰め込まれたガーゼをとりました。血みどろでした。こんな感じで、僕の初めての手術が終わりました。

4.入院

 手術が終わって入院生活に移ります。「歯を抜いた後の入院ってどんな治療を受けるんだ?どんな様子なんだ?」と気になった方はご覧ください。簡単に言うと、点滴以外はなにもしません。点滴を受けていない時間帯もけっこうあります。かなり暇です。暇を潰せるものを絶対持っていきましょう。

1日目

 手術の様子は上に書いた通りです。16時に目が覚めましたが、この日は夜までずっと点滴に繋がれっぱなしでした。本を読んだりして時間を潰していましたが、眠くなってきたのでもう一度寝ました。

 19時ぐらいに夕食。きざみ食と呼ばれる食事でした。ご飯は全粥。おかずも細かく刻まれていました。おかずは刻まれている以外は味付けも普通でおいしかったのですが、おかゆにはまったく味付けがありませんでした。これがけっこうつらかったです。塩をちょっとでも振ってくれれば全然違っていたのではないかと思いました。この日はまだ下あごが麻酔でしびれていたので、食べるのに時間を要しました。

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 夕食を食べた後も点滴に繋がれているのでちょっと不自由でした。お風呂はダメ。本を読んだりスマホを見たりしていました。点滴が外れたのは22時ごろ。眠かったのでそのまま寝ました。

2日目

 朝は7時に起床。病院食が運ばれてきました。麻酔によるしびれはとれましたが、歯が抜けたことによる歯茎の痛みを前日よりも強く感じました。奥歯で噛めないので食事をとるのには苦労しました。

 10時に点滴で抗生剤を投与されました。30分ほどで終了。お昼まで暇でした。

 12時にお昼ご飯を食べました。歯茎は相変わらず痛かったのですが、全粥にもう飽き飽き。夕食からは普通のごはんに変えてもらえるように頼みました。口を動かさなければ痛みはまったくなくて、違和感がある程度。腫れてもいませんでした。歯茎を縫った糸に米粒がひっかかるぐらい。快適な入院生活です。前日お風呂に入っていなかったのでシャワーを浴びてさっぱりしました。

 17時から2回目の点滴、18時から夕食でした。前日の朝以来の普通の白米。主菜は鮭でした。特に固いわけではなかったのですが、奥歯で噛むと痛かったので前歯で噛むしかありませんでした。普通のごはんが食べられないわけではないのでおかゆに戻すつもりはなかったですが、いつまで食事に難儀するのだろうかとちょっとブルーな気持ちになりました。もういちどシャワーを浴びようかと思ったのですが、20時以降は使えないようであきらめました。

3日目

 この日はお昼で退院します。病院を出るまでに2回の点滴があります。1回目は朝7時から。朝飯前の点滴とは乙ですね。点滴が終わって8時から朝食。昨日よりも歯茎の痛みが増していました。腫れも出てきているようです。食後に口腔外科の先生に診察してもらいました。先生によれば、術後2日後の今日が最も腫れがひどくなりやすいのだとか。

 前日あきらめたシャワーに入りました。10時半になったら退院する前にお会計を済ませました。最後に抗生剤を点滴して治療はすべて終了。家に帰りました。

5.退院後から抜糸まで

 手術からちょうど一週間後に抜糸をしました。それまでは薬を飲みながら過ごしました。薬は1日3回毎食後に服用しました。痛み止めと胃薬のセットでした。歯茎の痛みは入院中とあまり変わらず、何かが当たれば痛いですが、安静にしていれば痛みはありませんでした。食事は少し不自由ですが、いつも通りの食事をとっていました。友達は痛みがひどくて何も食べられず、野菜ジュースで命を繋いだと言っていたのでビビっていたのですが、大したことなくてよかったです。

 黒い糸が口の奥に見えるのはあまり気持のよい状態ではありませんでした。大したことではないのですがピロピロ動くので舌に当たって気になります。何より厄介だったのは食べかすが歯茎に挟まることで、歯ブラシで強くこするのは怖いのでなかなか取り出せませんでした。そのうち不快な匂いがしてきて大変でした。というかこれは今も治っていないので悩んでいます。固いものはすぐに平気になるのですが、挟まりやすいものは困ります。なんとか歯茎を傷つけないように歯ブラシで取っています。しばらくは辛抱です。

6.抜糸

 手術を担当してくれた先生に抜糸もしていただきました。痛いのかなと少しビビっていましたが、先生からはコメントがなかったのでさっぱり想像がつきませんでした。結論としてはほとんど痛みはなく、一瞬で抜いてもらいました。一体どうやって縫合してあったのやら。傷はキレイにふさがっているらしく、これで晴れて治療終了となりました。

 親知らずがあった部分が徐々に埋まっていくという説明を受けました。完璧に元通りになるまでは3ヶ月ぐらいかかるそうで、その間は食べ物のカスが入りやすいから注意してねとのことでした。歯を抜いた直後の1週間ぐらいは食べカスが尋常じゃなく挟まりましたが、すこしずつマシになってきました。早く元通りなって欲しいです。

おわりに

 いろんな人に話を聞きましたが、僕の場合はほとんど苦しむことがなく、幸運だったなと思います。2泊3日の入院が必要と聞いて最初はげんなりしましたが、丁寧な治療のお陰で歯茎の炎症は最小限に食い止められたのでしょう。人生初めての手術でしたが、こういうリスクのない形で経験できてよかったなと思いました。 

 

 

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