理系院卒のネットワークなブログ

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【就活】理系大学院生の推薦応募の利点と欠点とクソな点を書く

 僕が就職活動をしていたころから1年が経ち、後輩の番がやってきました。僕が実際に体験したこと、友達が困っていたことも交えながら、理系院生の推薦応募について語りたいと思います。

そもそも推薦応募とはどのような制度なのか

 一般応募では学生が企業にエントリーして採用試験が始まります。一方で推薦の場合は企業から大学の学部(または専攻)に何人欲しいと通達がきます。学生は行きたい企業の枠に応募し、その枠を取って採用試験に臨みます。推薦応募の採用試験は内容が簡略化され、合格しやすくなっています。企業はその大学の学生が欲しいということで枠を確保し、学生は苦労せず就職先を決められる制度です。理系院生の就職が強い理由の1つに挙げられます。工学部には枠がたくさんありますが、他の理系学部にはないところもあります。

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 この単純な制度では企業が本当に欲しい人材かどうかの見分けを付けることが難しくなります。ですから企業は事前に学生に接触し、ふるいにかけることが多いです。以下のような手段がとられます。

OB訪問

 学部/専攻のOB・OGが大学にやってきて自社の魅力をアピールする説明会を開きます。その後大学近くのレストランや居酒屋に移動し、懇親会という名目で学生に飲み食いさせてくれることが多かったです。学生を選考する権限を持っている社員が熱意のある(食いつきの良い)学生をチェックし、後日個別にメールなどで接触を図って来ることもあります。後述するリクルーター面談のお誘いだったり、工場見学に来ないかと言われたりします。もちろん、OB訪問がまったく選考に関係ない場合もあります。いずれにせよ学生はアピールしておいて損はないです。

リクルーター面談

 こちらは完全に選考の一部として用いられます。リクルーターと呼ばれる若手社員(多くの場合はOB)が推薦枠を取ろうと考えている学生を面接します。ここでNGが出た場合、推薦枠を取ったとしても面接には合格しないので、リクルーターから受験を諦めるように伝えられます。逆にここで良い評価がもらえれば、後は形だけの最終面接が就職解禁日に行われ、内定となる企業も多かったです。

マッチング面談

 推薦応募は通常学部毎に枠を出すので、学生の専門性を把握できているといえます。なので推薦枠を取る前に「どの部署に行きたいか」までを学生に決めさせて、その部署の偉い人との面談を受けさせる企業もありました。マッチングを行う企業は様々な部署からなる大企業が多かったです。マッチングがNGだった場合でも、どんな部署に配属されることになってもいいなら推薦をくれるというルートを用意している企業もありました。

推薦応募の流れ

 就活のスケジュールが1年で変わってしまった16卒の例で恐縮ですが、ざっくりと推薦応募の流れを示します。

2月~3月 OB訪問
4月~7月 リクルーター面談、マッチング面談、工場見学
7月下旬 学内の推薦枠に申し込み
枠内に収まりきらない企業は先生による面接
その後最終決定
8月 面接

推薦応募の利点

1.合格率が高い

 企業によって合格率はまちまちですが、一般応募で受験するよりははるかに受かりやすくなっているようです。リクルーター面談等を除くと面接が1回しかないので、単純にふるいの数が少ないというのもあります。

2.OBが準備を手伝ってくれる

 合格率が高いことと関連していますが、OB訪問に来た社員は学生(自分の後輩)をなんとか合格させようと、エントリーシートの添削や面接の練習などで就活を手伝ってくれます。その企業に実際に合格した社員なので、面接のツボなどもわかっており、非常に心強い見方だといえます。

3.マッチングがあるところは行きたい部署に配属される

 企業は専門性をみて推薦枠を用意してきてくれているので、こういうことができるわけです。

推薦応募の欠点

1.受かったら必ず入社しなければならない

 推薦は企業と大学の信頼関係の上で成り立っている制度だそうです。学生を雇い入れてあげるから、人数確保のためにも蹴ったらダメだよということで辞退は禁じられています。

 僕の学部では以前こんなことがありました。とあるX先輩がA社に推薦で受かったのにも関わらずその内定を辞退し、別の企業に入社したのです。するとどうなったかというと、その年に僕の大学からA社に内定していたすべての学生が(文理問わずすべて)内定を取り消されるという事態に発展しました。もちろん先生は全力でX先輩を止めたらしいですが、ダメだったようです。X先輩は特に責任を問われることなく自分の行きたかった企業で普通に働いているらしいです。この事件が起きて以来、僕らは誓約書を書かされるようになりました。推薦で受かった企業には必ず入社します、と。

 X先輩の例は特例中の特例です。基本的に学生側は推薦枠を取る時点で他の企業に入ることはひとまず諦めるということになります。 

2.落とす企業がある

 学生は推薦を蹴れません。しかし企業側は学生を蹴る(落とす)ことができます。上で合格率はまちまちだと書きましたが、企業によって全然違います。毎年推薦応募した学生の半分を落とす危険な企業もあれば、数年以内には落ちた学生がいないような安全な企業もあります。

 つまり推薦応募では、学生は応募する企業に縛り付けられているのに、企業は学生を簡単に切ることができます。自由応募の場合は学生は自由に内定を辞退できるのである意味バランスがとれていますが、推薦ではこのバランスが崩れ、学生は企業に絶対服従です。

3.推薦枠があるという理由で一般応募させてくれない企業がある

 推薦をとっても落ちることがある以上、滑り止めを作っておくことは重要です。例えば本命のA社の推薦をとり、B社とC社は自由応募で受験をする、といった受け方を当然考えます。しかしB社とC社からも推薦枠が来ていると「推薦を取らない=第一志望ではない」という図式で足元を見られてしまい、一般応募を断られることがあります。ウチに来たいのなら推薦をとってこいと言われるのです。その結果志望度の低いD社やE社を滑り止めにすることなり、学生の不安は増します。

 推薦で100%受かるのなら滑り止めなど必要ないので別に構わないのですが、そうではないからこのことが問題になるのです。

4.落ちる企業とそうでない企業で大きな差がある

 もちろん、推薦でほぼ100%取ってくれる優良な企業もたくさんあります。そういう情報は長年に渡って蓄積されていて、学生は当然知ることとなります。そうなると、本当に行きたかった企業はA社だけど、A社の推薦は落ちやすいからB社にいこう、というように学生の思考は制限されてしまいます。

 また、企業として魅力が高く、かつ推薦で確実に取ってくれる企業があれば、学生は集中します。同じ釜の飯を食った仲間同士で枠の奪い合いが始まるわけですが、自分の将来がかかっているのでその戦いはシビアなものになります。

 このように、企業の間でもアンバランスが生じており、学生が振り回されることとなります。

クソなところを少しでも解消するための提言

 推薦があるというのは理系院生にとって非常にありがたいことです。この制度を活用できるのなら活用しない手はありません。しかし、上記のように(どこがクソだとは言いませんが)推薦のシステムはいろいろな矛盾をはらみながら回っています。

 推薦応募を取り仕切っているのは持ち回りで選ばれた大学教授です。先生方は自分の研究で滅茶苦茶忙しいのにも関わらず、企業と学生の板挟みになりながら推薦応募の対応に追われます。先生は就職活動のプロではありません。それどころか、企業で働いた経験がない方もいるのです。そして常に忙しい。そんな先生一人に、この推薦のシステムを丸投げしている現状が、改善に向かうとは思えないのです。だから、僕からひとつ提言をするとすれば、推薦応募を取り仕切る権限と知識をもったポストを用意すべきだと僕は思うのです。

 大学はいま、モンスターペアレントからの圧力もあって就職活動に力を入れざるを得なくなってきました。僕の大学でも就職支援室が設置されたり、大学主催のセミナーが開かれたりしています。そういうところにお金を使うのも良いのですが、推薦制度を抜本から見直し、学生も企業もよりハッピーになれるような方向に持っていくための専任者を作るべきです。せっかく今まで培ってきた大学と企業の信頼関係なのですから、これを最大限活かして、もっと理系の人材が輝けるような体制を作っていって欲しいと思います。 

 

 

 ちなみに僕はいろいろ迷って結局推薦は使いませんでした。推薦を取ってしまうともう迷う余地すら与えてもらえませんからね。

 

 研究室の先生に猛反対されたり。

 

 ちょっと内定ブルーになったりもしましたが今は元気です。