理系院卒のネットワークなブログ

意外なところに「つながり」ってありますよね

研究発表への添削・アドバイスは聞き比べると良い

 もうすぐ研究室の学部4年生の卒研発表会があります。先日、先生が彼らの発表をチェックする場が設けられ、そこに僕も立ち会っていました。2年前の僕と同様、研究室に入りたての4年生の発表は拙く、先生から大量のダメ出しをもらっていました。

 けっこう辛いんですよね、ダメ出しを受けるというのは。先生チェックの場でのダメ出しとの付き合い方を間違えると、研究室生活が辛いものになってしまうだろうなと思います。もちろん、先生方は僕らの発表がより良いものになるようにチェックをしてくださっているのは重々承知ですが、学生側も上手く付き合っていくように心掛けないと下らないことでストレスを貯めてしまうことになります。

 2つ書きたいことが見つかったので、前編後編として分けることにしました。後編はこちらです。よかったら目を通してみてください。

研究原稿やスライドを添削でぶち壊されたときに考えるべきこと - 大学院生のネットワークなブログ

分かっているけど辛いものは辛い

 先生は学生のスライドをよりよくしようと、様々な視点からアドバイスをしてくださいます。今まで数十年に渡って研究発表を幾度と無くこなしてきた経験がありますから、先生の指摘は真摯に受け止めなければなりません。

 僕自身がアドバイスする側になって感じるようになったことですが、練習の場ではアドバイスをしないとその時間は無駄です。何かを伝えなければ、練習に付き合ったとしても後輩が得られるものはほぼゼロなのです。練習の時間が有意義なものになるように、後輩のスライドの隅々まで見渡して指摘できるポイントを探します。

 時に容赦なく厳しい指摘になったり、細か過ぎるツッコミになったりしてしまうのですが、それは練習なのだからむしろプラスとして捉えてほしいなと思います。なにもアドバイスが無いほうがよっぽど虚しいではありませんか。

 ですが、あれもダメこれもダメと言われ続けるのは辛いです。ダメ出しを受ける側の気持ちもわかるので言いますが、自分なりに工夫をこらして作ったスライドを修正されるのはどんな場合であっても辛いです。優しい口調だったとしても、「こんな説明じゃ全然わからないよ」と言われたらとても悲しいです。先生がこちらのためを思って指摘してくれているのだと分かっていても、言われたその場ではグサッときます。

 加えて学部4年生は、自分の制作物を添削されるということにあまり慣れていません。僕も当時はけっこう辛かったです。こんなに滅茶苦茶言われるのかと凹みました。

発言のブレとコアなポリシー

 さてここで、「慣れるしかないよ」と後輩に声をかけるのはあまり慰めになりません。僕から1つ助言として、「先生が他の学生にどういうアドバイスをするかを意識して聞いてみるといいのではないか」ということを書こうと思います。

 先生の指摘の中には、「そこまで大事だとは思っていないけどとりあえず目についたから指摘する」というケースもけっこう含まれていると僕は思っています。たとえば、単語の微妙なニュアンスの違いとか、図形の配置の仕方とか。もちろん見栄えをよくするために指摘してくれていることではありますが、先生の気分や好き嫌いにも影響されることだろうと思うのです。

 先生自身がそこまで重要ではないと思っている些細な事柄についてのアドバイスは、対象が変わるとけっこうブレるものです。とりあえず目についたものを指摘しているので、自分の発表と別の学生の発表のときで、指摘した内容同士が矛盾していることがあります。こういう「発言のブレ」を見つけたら、自分に言われたことはそこまで大事なことではなかったのだという理解で大体の場合は問題ありません。「言ってることが全然違うじゃないか!」と怒るのはあんまり意味がないことです。

 一方で、アイツにもコイツにも自分にも同じ指摘をしている場合は要注意です。それは先生が持っているコアな考え方であり、真摯に受け止めて慎重に配慮すべきポイントなのです。

 例えばうちの先生が卒研発表会のスライドで重視するのはイントロの部分です。卒研発表の場合は他の研究室の先生と学生が聴衆になります。異なるバックグラウンドを持っているため、イントロが上手く伝わらなかったら「この研究そもそも意味あるのか?」と疑問を持たれてしまいます。イントロの部分を詳しく説明し、「自分の研究が持つ意義」をきちんと語らねばなりません。

 何が先生のコアなのかを発見するためには、複数の学生に対するアドバイスを聞き比べるのが一番です。自分以外の人の発表内容に興味がなくても、どんなアドバイスを受けているかをチェックしてみましょう。

 特に卒研発表会は研究室に入って最初の発表になる人が多いので、僕の研究室では大体みんなイントロの不備を指摘されます。研究室生活を快適に暮らしていくためには、先生のコアなポリシーを把握することはすごく大事なことです。

 どうしても先生の指摘が受け入れらない時、それが些細な問題だったら無視してしまってもいいかもしれません。コアではない指摘は先生自身もあまり覚えていないこともあるのです。逆に、コアな部分の指摘を無視し続けると、温厚な先生であってもいつかは怒られてしまうかもしれません。そういう見極めが大事だと僕は思います。

 

 

 研究スライドを作るときは研究室に置いてあったこの本を参考にしました。かなり具体的なことが書いてあるのでおすすめです。

学生・研究者のための 使える!PowerPointスライドデザイン 伝わるプレゼン1つの原理と3つの技術

学生・研究者のための 使える!PowerPointスライドデザイン 伝わるプレゼン1つの原理と3つの技術

 

 

 

その他、研究室について書いたことを紹介します。 

修士論文発表会について。

 

色んな研究室があるよ、って話。 

 

理系大学院生の休日について。

 

 

 

 

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