周回ゲームというフォーマットがソシャゲによく導入されます。”同じステージを何度も繰り返しプレイさせる動機を用意したゲーム”とでも定義されるでしょうか。ソシャゲ特有のスタミナ制度ととても相性が良く、細切れの時間に遊ばせることができるのでぴったりのシステムです。(もちろんソシャゲでないゲームにも取り入れられていることは多々あります)
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最近僕が面白いなと思ったのは、(数年前から出ているのですが)オート周回機能がついたソシャゲをたくさん目にするようになったことです。オート周回している間、プレイヤーはほとんど操作をしません。もはやこれはゲームなのかと思ってしまうのですが、じっくり考えてみるとこれも立派なゲームなのだなと思いました。それが今回のトピックの1つ。
そしてオート機能は徐々に高度なAIが搭載されていくと予想していて、AIとの付き合い方を考える材料になりそうだなと思ったのが2つ目のトピックです。(AIは意味が広い言葉なので適切な用法かは自信がないですが)
Brown Dustというゲームの周回補助機能。
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一口に周回ゲームといっても、ソシャゲにはいろいろなジャンルがあります。例えばシューティングゲームのアズールレーン。
アズールレーンでは自機を勝手に動かしてくれるオート機能があります。コンピュータが操作を代行してくれるのですが、人が普段行っているように、敵の位置から敵弾の起動を予測するような操作はしてくれません。敵の攻撃を避けるときもありますが逆に当たりにいくこともあります。一定時間ごとに使える強力な攻撃は、チャージがたまった瞬間に発射するという雑な設定になっています。
端的に言ってオートは下手くそです。しかしプレイヤーたちはオート機能と上手く付き合っています。その付き合い方が、実はけっこう未来的な事象なのではと思いました。
第一に、オート機能の特性を理解してお膳立てをしてあげるという視点が生まれることが新しいなと思います。アズールレーンで言えば、オート周回用の装備を選ぶのです。追尾弾を装備すれば、狙いを付けるのが下手なオート操作中でも弾がヒットしやすくなります。自機は勝手に相手の弾に当たりにいってしまうことがあるため、スピードを速くするのはあまり効果的ではありません。それよりも、被弾してしまうことを前提にして防御力を高めるのが良いという発想になります。
上記をカッコよく解釈すると、オート機能を司っているシステム(まだAIと呼べない代物なのでシステムとしておきます)を理解し、使いこなすという考え方が必要だということになります。いかにシステムを飼いならして周回を快適に行うか、という点が1つの立派なゲーム性になっていて、既存のゲームにはない新しい要素に見えるのです。
第二に、そもそもプレイヤーはオート機能に周回をさせるか自分で操作するかを選ぶことができます。ロボットに仕事を任せるか、自分で手を下すかの判断をするわけです。システムの能力を正しく理解し、任せられることと任せられないことの見極めを行う必要があります。
オート機能を使っている間、プレイヤーは他のことに時間を使えます。そのシステムをどのぐらい監督しておく必要があるかは、ゲームの性質やシステムの性能によって変わります。そういう見極めを行うというのも、今までにない新しい要素だなと捉えています。
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AIがこれからどんどん身近になってくるでしょう。AIとの上手な付き合い方を身に着けておくべき時代になると僕は思います。AIのお膳立てをしてあげるという視点、AIに任せられる仕事を見極めるという視点は重要なものになるはずです。(もっとAIらしいオート機能があるゲームを僕がプレイできていれば、わかりやすい例を提示できたなあと思います。。。)
AIは得体のしれないものではありません。ベースになっている機械学習の仕組みを知っていれば、意外と単純な原則のもとに動いているシステムだということがわかります。私は情報系の専攻だったので大学で勉強したのですが、多くの人はそうではないと思います。そこで、ゲームが貢献できる余地があるのかなと思いました。
ゲームの中ではすでにシステムとして出来上がったAIのようなものに触れるわけで、仕組みに意識が向くわけではありません。しかしアズールレーンの例のように、実際の挙動に触れながらAIの得意不得意を掴むきっかけにできるのではないかと僕は思っています。
幼少期からソシャゲに触れてきた次世代の人たちは、僕らとは違う感覚を持っているのかもしれません。とても面白い時代だなと思います。
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