理系院卒のネットワークなブログ

意外なところに「つながり」ってありますよね

映画ジョーカーJOKER感想:主人公に共感できないという幸せ

 「すごい映画を見てしまったな」という気持ちが一番強いです。歴史の目撃者になった気分がしました。どちらかと言えば高揚感。「病みそうになった」という感想を抱く方もいると思うのですが、僕は逆でした。もちろん、その高揚感は何かを破壊してやろうという衝動でもありません。

 この「JOKER」という映画が2019年に話題になるということ。それ自体がすごいことだなと思いました。まさに歴史の分岐点に立っている感覚です。映画の内容はそれ自体で素晴らしかったですが、周囲の反応を含めてエンターテインメントになってしまっている気がします。上映に際して、警察による警備が強化される映画なんていままで効いたことがありません。

 社会的弱者の思想に影響を与える可能性があるとされています。その言い分は理解できました。すごいことですよね。たかが一本の映画が、人々の行動に影響を与えるかもしれないと危惧されているのです。主人公のアーサーに共感し、自分を重ね、アーサーのように暴力的手段に訴える人が出てくるかもしれないと言われています。

 

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 これは僕の感想文なので自分の話をしますが、僕はアーサーには共感できませんでした。

 可哀そうだなとは思いました。あんな境遇に陥ってしまったら、自分から抜けだそうと努力する気も起きないでしょう。坂道を転がり落ちるように転落していく様は、見ていて非常に辛かったです。自分ならどこかの時点で耐えられなくなって発狂していたのではと思いました。

 ですが、幸いなことに、アーサーは自分とは違いすぎました。「主人公に共感できなかった」というのは映画を批判的に評するときの常套句ですが、主人公に共感できなくてほっと安堵する映画を見ることになるとは思いませんでした。自分はJOKERじゃない、JOKERになれない。よかった。

 

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 自分は弱者ではない。そういうことでしょう。で、それで終わって良いの?と問いかけられる映画でもあったと思います。アーサーには共感できませんでしたが、あの映画で描かれている虐げられた人の苦しみは、社会的強者への憎しみは、すんなりと理解できるものでした。そりゃあ苦しいし、憎いよね、と。

 なんなら、社会的強者に対する僻みや恨みが、自分の中にはっきりとあるのも認識しました。ゴッサムの街があんな状態になっていて、苦しんでいる人がたくさんいるのに、市長をはじめとする上流階級の人たちは、何もわかっていないのだろうなと。それは現実社会でも同じじゃないかと。

 上流でもなく、底辺でもない普通の人の中にも、JOKER的思想が広まっていることを映像化してしまったのかもしれません。「警鐘を鳴らしているのだ」と言えば聞こえは良いですが、「内なるJOKERの存在を気づかせてしまった」と捉えると、罪深い映画になるかもしれません。未来の歴史の教科書に名を刻んでしまうかも、という予感すらあります。

 

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 各所で言われていてあえて触れる必要はないかもしれませんが、映像作品としての完成度も凄まじかったです。撮影方法、色彩バランス、演出、演技、音楽などすべての要素が圧倒的に素晴らしかったです。

 

 

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Joker (Original Soundtrack)

Joker (Original Soundtrack)

 

 

 

 

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ジョブローテする新卒だからできることを中途の人に教えてもらった話

 中途入社で入ってきた人(Aさんと呼びます)が面白い人で、とても勉強になる話をしてくれたので書き残しておこうと思います。中途と新卒の、会社への貢献方法の違いについて考えさせられました。

自分なりに会社を攻略していくAさんの話

 Aさんは専門的な知識を持ち、前職・前々職での経験を買われて採用されました。僕とは違う部署に配属されたのですが、研修の一環で僕と話したことをきっかけに仲良くなりました。Aさんはそのスキルを活かして全社横断的な仕事をすることになっており、なし崩し的に僕が部署の窓口になって連絡を取るようになりました。

 Aさんは社内のほぼすべての部署に、僕のような窓口を作りました。社内であればSlackで気軽に連絡が取れるような雰囲気の会社なのですが、きちんと対面で話すことを心掛けており、ときには趣味をきっかけにして様々な人とどんどんコミュニケーションを取っていました。

 Aさん曰く、たくさんの人ととりあえず面識を作り、そこから自分の持つスキルをきちんと理解してくれて話が通じる人を見極め、仕事で困ったら相談を持ち掛けているとのことでした。知り合いゼロの中途入社者が、瞬く間に関係部署にコネクションを作り、仕事を効率よく進めていくための人間関係を築いていく様子を目の当たりにしました。もちろん、仕事の面で割り振られた人間関係はあるのですが、自分で作ったサブのコネクションをフル活用し、Aさんが大きなバリューを出していくことが用意に想像できます。

 Aさんはスキルも一級品なのですが、それ以上に会社の中で働くということに対して、自分なりの攻略方法を持っていることがすごいなと思っています。横の連携が必要になるくせにサポート体制が十分に整っていないという今の会社の状況を的確に読み取り(中途入社者が一気に増えたので仕方がないのですが)、自分から積極的に動くことでこの会社を攻略しました。

 Aさんは「入社してすぐが勝負だ」と言っていました。「入社したばかりなんですよね~」と言えばどんな人でも少しは話を聞いてくれますし、間違えても許してくれるでしょう。今はどんどん人を採用しているので、1か月経つとまた新しい中途が入ってきます。いまのうちに覚えてもらわなくていつ顔を覚えてもらうのだと言っていました。

 Aさんがいろんな人にコミュニケーションを取っている様子を見て、入社したばかりで慣れないことも多くて大変なのに、すごいバイタリティだなあと驚いていました。しかし、Aさんはここが一番の勝負どころだと理解しているので、今のうちにコネクションを作っておかねばと考えているとのことでした。これは自分がもし転職することになったらマネしなきゃなと思いました。

初めての転職で少し困っているBさんの話

 Aさんと同月入社で、僕と同じ部署に中途で入ったBさんという方がいます。Bさんは初めての転職ということで緊張しているのだなという様子がうかがえるのですが、部署内でのコミュニケーションにも苦労しているようでした。

 AさんもBさんのことを心配していました。入社してすぐは頑張ってコミュニケーションを取るべきなのに、上手くできていないのではないかと。ただ、こればかりは教えられて学ぶことでも、人から強制されてやることでも、助けてあげられることでもないと言っていました。

新しい貢献方法に気づいた新卒入社の自分の話

 Aさんと話しているうちに思い当たることがありました。Bさんを自然にサポートできる立場にいるのは僕なのではと。

 僕は新卒でこの会社に入って3年。今の部署はジョブローテーションがあるので2部署目です。新卒には全然違う分野の部署を経験させるという方針があるので、この2部署で社内の様々な人と一緒に仕事をすることができました。当然同期も一緒にジョブローテーションをするので、同期のツテを使えば社内のほとんどの人にコミュニケーションを取ることができます。

 ジョブローテーションがあるので1つの分野を極める前に僕らは異動することになります。自社が抱えるコンテンツをいろいろな領域に広げている自分の会社には、この方針が合っていると思います。しかし、中途の人と比べると、自分の持つスキルは浅いなあと、ある種のコンプレックスのように感じていました。

 Aさんと話していくにつれて、今の自分だからこそできることがあるのではないかと考えるようになりました。若いうちから社内の至るところにコネクションを持てている自分は、スキルを持っている中途入社の方がチームに自然に参加できるようにサポートできる立場にあるだろうと思います。

 このように書くと堅苦しいのですが、中途で入ってきた人ととりあえずいろいろ話してみて、困っているようだったら適切な人を紹介してあげられるのではないかということですね。そこまでしなくても、みんなで仲良く気持ちよく働けるような雰囲気を作っていければそれで十分なのかなと。それはまわりまわって、チームのパフォーマンスに影響してくるでしょう。

 それをAさんに話してみたところ、「いいんじゃないの」と笑って言ってくれました。目の前の景色の中で、一部がぱかっと拓けたような感覚です。Aさんに感謝です。

 

 

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 そのほか仕事の話

 

 

 

メンタルローテーション “回転(ローテーション)脳

メンタルローテーション “回転(ローテーション)脳"を鍛える

 

※本文には関係ありません  

 

Shadowverseのプレリリース機能がもたらす影響について

 2019年9月7日にシャドウバースが発表した新カードパックの「プレリリース」というシステムがとても面白くて、Cygamesは課金関係に本当に強い会社だなと思ったので書いてみます。 

 

目次

0.プレリリースでどんなことが起こるか(スキップ可)

1.競技者に与える影響

2.ベータテスト

3.カードゲームの原体験

4.2回のお祭りと課金施策

 

0.プレリリースでどんなことが起こるか(スキップ可)

 シャドウバースを普段プレイしている方には当たり前のことを書きますので飛ばしてください。

 シャドウバースでは3か月に一度、新カードパックがリリースされます。対戦のメインルールは「直近で発売された5つのカードパックに封入されているカードを使う」というものなので、1年前に発売されたカードが引退し、それと同時に新規カードが登場することで、新環境への移行が行われます。

 プレリリースでは新環境が早めに体験できる機能です。 

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https://twitter.com/shadowverse_jp/status/1170292341174718464より

 

 課金をすることで最大100パック分の新カードパックを先んじて手に入れることができ、フレンドとのルームマッチと、CPU対戦のみに使用できます。「100パック」というのがプレリリースというシステムの一番の肝です。ここを詳しく説明していきます。

 新カードパックには97枚の新カードが封入されます。1パックは8枚入りなので、課金することで800枚の新カードを購入することができます。

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注1:1パック8枚のうち1枚はシルバー以上確定枠なので、実際はシルバーの期待値はもう少し高くブロンズの期待値は低いですが、シルバーとブロンズは間違いなく全部揃うので無視できます。

注2:スキン付きレジェンドレアカードが2枚封入されるのですが、新カードではなく、封入率も低いので無視できます。

 表を見てわかる通り、18種あるレジェンドレアカードは12枚ぐらいしか手に入らないので、各1枚が手に入るか入らない程度の期待値しかありません。シャドバにおけるレジェンドは、「デッキに1枚入れておけば試合をひっくり返してくれる切り札的カード」ではなく、「試合中に必ず1枚は引きたいメインシステムカード」であることが多いです。最大枚数(3枚)積み込まれることがほとんどです。

 何が言いたいかというと、プレリリース期間は組みたいデッキが完璧には組めないシステムなのです。これを前提に続けていきます。

1.競技者に与える影響

 シャドバの競技シーンの中心的存在は3か月に1度開かれているRAGEという大会です。優勝賞金400万円+優勝賞金1億円をかけた世界大会への出場権をかけた大型大会です。競技プレイヤーはほぼ全員がこの大会で勝つことを念頭にシャドバをプレイしています。

 焦点になるのはスケジュールです。9/19(木)~9/25(水)の7日間がプレリリース期間、9/26(木)~10/4(金)の9日間がRAGEの準備期間で、10/5(土)がRAGEの本番です。プレリリース期間に新環境を体験できるということは、倍近い時間的アドバンテージがあります。

 カードゲームで遊んだことがある方はわかると思いますが、大会の準備はとても大変です。RAGEに出場するには自分が使うデッキを2種決める必要があります。

アーキタイプの比較検討・決定

②マッチアップごとの試合展開の理解度向上

③細かい枚数調整

④毎ターン最適解のプレイを行うための練習

 プレリリースという機能の概要を聞いたとき、「お金で時間を買う」という意味で競技者のためのシステムなのかなと思いました。ただ、0で書いたように満足にデッキが組めないので、③と④までは行えません。デッキの中にノイズがあると意味がないのです。

 カードが完全に揃うことが大事なので、友達と協力しようがアカウントを増やそうが無意味です。いや、正確に言うと確率の話ですので、何十万円とつぎ込めば、目当てのレジェンドレアカードが3枚揃うことがあるかもしれません。

 しかし、それをやるぐらいなら印刷した紙のカード(プロキシと呼ばれます)で試してみればよいだけの話です。お金も時間もかかりません。今もそのようにして新カードパック発売前にデッキを研究している人はたくさんいます。デジタルカードゲームならではのランダム要素はサイコロを転がせばよいだけの話です。

2.ベータテスト

 プレリリースの告知ツイートには、「ユーザにベータテストをやらせるのか」という趣旨のコメントがたくさんついています。

 進行が止まる、挙動がおかしいなどのプログラム的な不具合の発見には貢献すると思います。長い歴史の中で数枚はそのようなカードはありましたが、最近はあまりありません。シャドウバースのデバッグチームの仕事を馬鹿にしているようで、この考え方はあまり好きではありません。(無意味ではないと思っています)

 「強すぎるカードがあればリリース前に能力を調整する気だな」という意見もありますが、シャドバのカードの能力調整はランクマッチの勝率と使用率をもとに決めていて、ランクマッチが開かれないプレリリースというシステムでは基準がありません。基準が不明瞭な能力調整は運営の不信につながります。

 こちらでもいえることですが、40枚のデッキがしっかりと組みあがったときにどのような強さを発揮するかが大事なのであって、レジェンドレアカードがほとんど揃わないような環境でのバトルの勝敗に基づいてカードの能力を調整するなんてことをCygamesはしないと思っています。

3.カードゲームの原体験

 プレリリースの機能が最初に発表された生放送番組で、プロデューサーの木村さんが実装の意図を語っていました。「自分はアナログのカードゲームをプレイしていた。新カードパックの発売日に、購入したパックにたまたま封入されていた新カードを使って友達同士とわいわい楽しみながら対戦するのが好きだった。デジタルカードゲームではカードの生成という機能があり、初日からカードがすべて揃うのでそのような体験ができない。プレリリースによってそういう楽しみ方を提供したい(意訳)」というようなことを仰っていました。

 はじめこのお話を聞いたときは、「そんなの建前に決まっている。競技者のための機能だ」と思ったのですが、1で書いた通りデッキの調整のために最適化された機能ではないので、あながちウソでもないのかもと思い始めました。50パックに制限するとレジェンドがほとんど出ないので、100パックというのも妥当なのかなと。

 Cygamesが表立って使っているロジックなので、さすがに隙はないと思います。ここを攻撃するのは分が悪いですね。

4.2回のお祭りと課金施策

 アプリゲームという観点で見ると、シャドバが一番盛り上がるのが新カードパックの発売日です。アナログのカードゲームでも同じですが、開封式というのは何が当たるかドキドキワクワクして楽しいものです。Twitterには何が何枚当たったというツイートが溢れ、お祭りのような雰囲気になります。

 プレリリースはそのお祭りの先取りになります。Youtubeに動画を投稿する人、実況サイトで実況プレイ配信を行う人、競技プレイヤーは間違いなく課金をして、開封結果をネットに公開するでしょう。

 アプリゲームの課金率は1%-3%と言われています。実際はごく一部の人たちが課金して盛り上がっている状況でも、インフルエンサーの持つ影響力は大きいため、あたかも1回目の祭りがおこなわれているように錯覚してしまうのではないかと思います。それを見ている人たちも、この祭りに参加したい!という気分になって、課金したくなるかもしれません。

 新カードパックの発売日はCygamesにとってもお祭りです。というか、ここしか課金のタイミングがないので、祭りというほど楽しいものではなく、生死を書けた決闘の場とでも言った方が適切でしょうか。

 アプリに課金する人が月あたりいくら課金するかを意味するARPPU(Average Revenue Per Paid User)という指標があります。アプリゲームの場合は3000円ぐらいが標準と言われていますが、プレリリースのお祭りに参加するための課金額は2万円となります。初回となる今月のARPPUは跳ね上がること間違いなしなのではないでしょうか。

 そもそも、シャドウバースはゲーム中で資産をたくさん配ってくれる設計になっているため、毎日コツコツプレイしているほど課金が不要になります。ヘビーユーザーほど課金がいらなくなるというのは、運営側にとっては致命的です。通常はたくさん遊んでくれている人から少しずつお金をもらってアプリを運営していくのに、全くの真逆の状態です。

 プレリリースはヘビーユーザーからお金をがっつり取れる機能として期待されているものと思います。この機能を実装するには今までよりも早く新カードを作らないといけません。開発側も必死でしょう。どのような結果をもたらすのか、プレイヤーとしても、ゲーム開発者としても楽しみです。

 

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 そのほか、シャドバ関連のお話。

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アズールレーン クロスウェーブ感想 -ソシャゲからコンシューマーへの道筋-

全編ネタバレなしで書きます。 

総評

 アズールレーンクロスウェーブ(以後アズレンCW)は「アズールレーンコンシューマーゲーム」としては正解で、ちゃんとファンの求めているゲームを作ったなというのが僕の感想です。一人のファンとして楽しんでプレイできました。

 アプリ版アズレンを遊んでいる人のみをターゲットにしても、十分に元がとれるという判断をしたのだろうと思います。開発費も宣伝費も控えめにしている印象だったので、収支のバランスをきちんと意識したゲーム作りを行ったのだなという印象です。

 結果として、アプリ版のヘビーユーザーたちはこのゲームを楽しんでいます。仲間内でポジティブな口コミが駆け回り、ターゲット層の購買がブーストされています。

 以降ではファンの求めているものがどのように実現されているかを掘り下げます。そして、ソシャゲ発のコンシューマーゲームとしてその結果がどうだったのかについて書いてみます。

アズールレーン クロスウェーブ - PS4

アズールレーン クロスウェーブ - PS4

 

 

アズレンキャラゲー

 まず前提として、アプリ版アズレンは思い思いに好きなキャラを愛でるキャラゲーの側面が強いゲームということを念頭に置く必要があります。アプリ版には300人以上のキャラが実装されています。突出して強いキャラが少数いるものの、そもそも強キャラが必要になるような高難易度のステージがあまり実装されておらず、プレイヤーは好きなキャラを気ままに育てていけるゲームになっています。

バトル

 アズレンCWの一番のウリは、好きなキャラを自由に動かせるようになっている点でしょうか。

 アプリ版は横スクロール2Dシューティングで、プレイヤーはほぼキャラの移動のみを入力します。スマホに最適化された、単純なゲーム性です。

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 一方アズレンCWは3Dシューティングです。キャラを自由に動かし、自分の好きなタイミングでボタンを押して砲撃できるというだけで、アプリ版のファンとしてはたまらなく嬉しい体験になります。操作性は合格点をあげられる出来だと思ったので、触り心地という点でプレイヤーの心を掴めたのは大きかったと思います。

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 他のアクションゲームと比べてしまうと正直貧相です。ガンダムなどのロボット系のバトルゲームと見た目及び操作性は近しいですが、アズレンCWのバトルは上下方向の動きがないので次元が1つ落ちています。敵の種類は人型か船型の2パターンしかなく、またプレイヤー側の戦法も限られているので戦闘は単調に感じます。

 ただアプリ版のファンはシビアでやりごたえのあるアクションゲームを求めているわけではないので、これで良かったのだろうと思います。アプリ版からの飛距離だけを見ればかなり大きいので、ファンの体験としては上々のものになるだろうという判断のもと、このようなゲーム性にしたのかなと思いました。

 キャラの育成や装備品関係は極力アプリ版と同じ仕様になっているのも、ターゲット層を意識した結果かなと思います。

フォトモード

 このモードの存在が特徴的なところだなと思います。アズレンキャラゲーなので、キャラを愛でる機能が喜ばれるわけですね。

 キャラクターの3Dモデルは、お世辞にも素晴らしい出来とは言えません。ですが、せっかく自由に動かせるモデルがあるのだから、アングルを変えて写真を取りたくなるでしょう?というこの機能はファンに刺さります。

 PS4がネットワーク経由でそのまま各種SNSに繋がるのも追い風になっています。特に日本ではTwitterですね。ひとりで撮影を楽しむだけでなく、仲間にシェアして楽しめるのが現代的です。

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ソシャゲからコンシューマーへ

 ソシャゲ業界は「作れば売り上げが立つ」というバブル期が終わり、有力タイトルのみが売り上げを伸ばし、新規が入りにくい業界になってきました。ソシャゲ人口の拡大はおそらくひと段落していて、熾烈なパイの奪い合いが行われているものと思われます。既存タイトルは次の一手を模索しているはずです。

 そんななかでアズレンCWはそこそこの結果を残したと言えます。初週のソフト販売本数は1位でした(ファミ通参照)。有力な競合がいなかったこと、唯一のライバルのアストラルチェインはダウンロード版の購入比率が高かったことを加味すると手放しで称賛できる結果ではないですが、1位は1位です。立派です。

 コンシューマー版が売れると、アプリの外で売り上げを作ることができます。ゲームの認知度を向上しアプリへの還流を図ることも狙えます。事業拡大の一手としては悪くない結果なのではないかと思います。

 「アプリ版のプレイヤーにターゲットを絞る」「アプリ版からの飛距離を演出する」この2点が上手くいった秘訣でしょうか。高望みをしなかったのが良かったとも言えます。

 アズレンCWを買えばアプリ版で有利になる、という仕組みを導入することもできたはずですが、それをやると変にギスギスしてしまうので、あえてしなかったのかなと思いました。「このゲームをやりたいと思った人に買ってもらう」という当たり前の位置づけにちゃんと収まっているのは開発者にとってもプレイヤーにとってもWin-Winなことかなと思います。

 ゲーム自体はアズレンプレイヤー以外にはオススメできませんが、2019年のゲーム業界の動向を観察するうえでは、1つの面白い事例になっているのではないかと思います。

 

 

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ドラクエユアストーリーのラストが大嫌いだ

全編でネタバレします。

 

 あまりにも評判が悪いのでドラゴンクエスト ユア・ストーリーを見てきました。原作に忠実に作ることができずにファンに叩かれているのかなと見る前は思っていたのですが、ラストシーンの暴挙とも言える展開に、悪い意味で期待が裏切られ、心底仰天しました。

 本当に、本当にこのラストは大嫌いです。

 

ネタバレしますよ

 

 

 

 

 

ゲームはただのプログラム

 「ウィルス」を名乗る者が主人公の前に現れ、グラビティだとコリジョンだの言いだしたときの衝撃たるや、今でも嫌な気分になります。「ああ、だめだ、それ以上は言ってはいけない」と心の中で呻きました。そして「ゲームはしょせんただのプログラム(意訳)」的な発言で一線を越えてしまったなともう愕然としました。悪役とはいえ、ドラゴンクエストの映画でそんなセリフを言えますか普通?

 ドットのみで世界を表現していたころから多くの人を熱狂させ続けてきた伝統あるゲームシリーズは、技術の発展とともに表現が豊かになり、フルCGとフルボイス化によりまた一歩現実に近づいています。先人たちの血のにじむ努力の上に築き上げられたまさに巨塔です。そんな由緒あるゲームシリーズの公式映画で「しょせんただのプログラム」なんてどんな表現を使おうと口に出せたものではないでしょう。

 ゲーム業界の中で並行してうねる流れとして、ポケモンGOのように現実を上手く使ったゲームや、VR技術の発展によってゲームの体験そのものが現実に近づいているという現状があります。そんな今日において、「ゲームはただのプログラム」などという使い古されたテーマを今更掘り起こして、いったい誰に何を問おうとした結果がこれなのでしょうか。

 挙句の果てに「大人になれ」とは…?ゲームは子供のもので、成熟した大人はゲームなんてやらないというのは一体いつの時代の価値観なのでしょうか。時代錯誤も甚だしいではありませんか。

悪役を否定できていない

 「ゲームはただのプログラム」というのは悪役が勝手にのたまっていることで、映画としてそれを完全に否定できれいればまだ傷は浅かったでしょう。否定しきれていないのです。正確に言えば、「ゲームはただのプログラム」を否定するために物語が作られてないので、逆に悪目立ちして、印象に残る結果になってしまっています。

 そもそも、なぜあの主人公の前にウィルスは現れたのでしょうか。周りに同じゲームを遊んでいる人の姿は描かれていましたし、主人公が最初のプレイヤーであるわけでもありませんでした。ウィルスは理由なく主人公の前に現れました。倒すべき敵としての必然性を欠いています。

 同時に観客である僕らにとってもウィルスの登場は突然の出来事で、まるで脈絡がありませんでした。物語中で奴の存在は微塵も感じ取れませんでした。そもそも僕らはドラゴンクエストの映画を見に来たのであって、VRが発展した未来の時代のSF映画を見に来たわけではないのです。

 肝心のウィルスの討伐方法、つまり否定の仕方はどうだったでしょうか。アンチウィルスプログラムですよ?それでは「ゲームはただのプログラム」を否定するどころか、認めたことに他ならないじゃないですか。主人公はドラクエの思い出を一応語りますが、語るだけです。その思い出がカギになるわけではありません。仕込まれたウィルスに対して、アンチウィルスプログラムが発動しただけです。ビアンカたちが助けてくれるわけでもない。だって彼女らはしょせんプログラムなのだから。悪役が提示しているテーゼをこの結末は否定できていないのです。

 ウィルスを倒したあとのあのドラクエの世界を、我々は一体どういう気分で眺めればよかったのでしょうか。白々しいことこの上ないではありませんか。全部プログラムに従って、データ通り動いているだけなのですよ。「ミルドラースを倒したら喜ぶモーションを再生する」というプログラムが書かれているだけだと観客は全員知っているのですよ。

ドラクエに対する侮辱

 百万歩譲ってこういう物語を展開したかったとして、それはもうドラゴンクエストである必要が全くありません。かつて一世を風靡したゲームがあって、そのゲームをリアルに体感できるVR施設がオープンしたというお話なのでしょう。オリジナルのゲームでやればよいのです。もしそういう映画があったとして、それはレディ・プレイヤー1の二番煎じにして、問いかけている価値観は百週遅れですが。

 ドラゴンクエストVの物語をそのまま映画化したのでは面白くないと判断したらからあのラストを付け足したわけでしょう。それは明らかにドラクエVに対する侮辱です。原作通りに再現すれば、家族愛で泣かせて、コメディシーンで笑わせて、戦闘シーンで熱くさせて、過去に戻ってオーブをもらうという驚きの伏線だって貼れる。映画の原作として何の不自由も不足もないテーマだったはずです。

 原作の世界観を存分に表現した映画がヒットすれば、原作未プレイ層をゲーム購買へと還流することができます。ドラゴンクエストはまだまだ今後も新作を出し続ける一大タイトルなのでしょう?だったら、原作であるゲームのこともちゃんと考えて、ゲームタイトルにいかに貢献するかという目線も必要だったはずです。ところがこの映画だけ見れば、ドラクエに対する認識は「昔に流行ったゲームだったんだね」ということにしかなりません。もうこのコンテンツは畳むつもりなんですか?

主人公はそのへんのひと

 目線を少し変えて、このラストを表現するということはこの壮大なVRゲームをプレイしている人が主人公になるわけです。そしてその主人公は、本当にただのそのへんの人としか描いていません。ネクタイを締めていましたし、年代を考えてもサラリーマンの設定でしょうか。

 このサラリーマンはドラクエVの主人公ではありません。そのへんの人です。僕たちは一体何を見せられていたのでしょうか。そのへんの人がプレイするドラクエVVRゲームの映像を見ていただけということになりますよね。それって何が面白いのでしょうか。

 僕たちはドラクエVの主人公が、幼少期のつらい体験を経て大人になり、愛する人と一緒にこの世界を守り抜く一大スペクタクルが見たかったのです。当時のドット絵では表現しきれなかったことがたくさんあったはずです。スクエアエニックス監修のもと、フルCGでビジュアルを補った完全版ドラクエVが見られると思って劇場に足を運んだのです。

 しかもこの設定が腑に落ちないのが、サラリーマンは自身の記憶をもってこのVRゲームをプレイしていたのかよくわからないという点です。自分がゲマに石にされてから8年経ったと言われたところで、自身の記憶を持っていれば「ああ、そうだったね、そんな展開だったわ」ぐらいにしか思わないでしょう。めちゃくちゃ驚いていましたね。ゲームを始める前に自己暗示をかけていたわけですし、自分の記憶は持ち込めない世界なのでしょうか。

 もしドラクエの世界を実際に体験できるゲームができたとして、自分の記憶が持ち込めなかったらプレイする意味ありますか?あの中ではスライムすら人生で初めて見るってことでしょう?ゲームの中でさんざん倒してきたスライムを触ったり仲間にできたりするところにあのVRゲームの面白さがあるのではないでしょうか。根本の設定のところから僕は納得がいきません。

 だから「ユア・ストーリー」って一体何を指しているんだという話になります。あの物語に僕はいません。サラリーマンがサラリーマンだとわかるのはラスト10分の出来事です。長い映画の中で、誰に気持ちを寄り添わせることもできません。入り込む余地も共感する余地もまるでありません。そんな映画を作っておいて、「ユア・ストーリー」なんて副題をつける意味がわかりません。

脚本以外はよかった

 最後に付け足しのようになってしまって恐縮ですが、脚本以外の部分は本当に素晴らしかったと思います。

 人物のCG表現は本当に素晴らしかったです。主人公が成長していく様を描いていくのは実写ではなかなかできません。CGだからこそ、年を重ねていく変化を違和感なく描くことができていました。何より素晴らしかったのはフローラとビアンカの表現です。二人の相反する可愛らしさを完璧に表現できていました。おとぎ話の世界のヒロインは、やはり現実離れしたところがあるものですが、ディズニーとはまた違った角度で、地に足のついた人間を描くことに成功していました。

 モンスターのCG表現もよかったですね。スライムの半透明の表現、キラーパンサーの獣らしさを上手くCGで描けていましたし、メタルスライムキラーマシン、ゴーレムにはそれぞれの質感がちゃんとありました。

 背景も作り込まれていました。美しいファンタジーの世界が細かく再現されていて、酒場のシーンなどはもっといろいろな角度で見たかったなと思いました。雪の扱いは実写と見紛うほどでした。

 戦闘シーンのスピード感も素晴らしかった。最後の主人公vsゲマ戦はカメラワークも含めて、CGで見せるアクションシーンの最高峰だったのではないでしょうか。

 音楽も良かったですね。原作のBGMをたくさん利用して、それをそのまま使うのではないく場面にあった形に変えていました。ゲームの場面と違う音楽を使っていたところがありましたが、細かいところは見逃しても良いかなと思う出来栄えでした。

 声優さんの演技も良かったです。俳優さんが多かったですが心配無用でしたね。声の質も含めて何も文句はありませんでした。

最後に

 脚本を決定する人たちがどういうメンバーだったのかは知りませんが、僕はあなたたちが作ったあの脚本が大嫌いです。こういうものを作っておけば喜ぶだろうと舐められているような気がしてなりませんでした。映画を見て、怒りを覚えたのは久々でした。ありがとうございました。

 

 

 

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原作をやってください。

 

 

 

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ペルソナ5が今更ながら最高だった

 発売からだいぶ経ってしまって、続編(マイナーチェンジ版?)の発売が目前に迫ってきている中、今更ながらペルソナ5をプレイしていました。このシリーズは初めて触ったのですが、ゲームのあらゆる部分が最高で、寝食を忘れてどっぷりハマってしまいました。最近はスマホのゲームをやることが多かったので、こんなに貪るように1本のゲームをプレイしたのは久々でした。

 良いと思ったものは思い切り「良かった!」と書いておきたい主義なので、タイミングとか気にせず書きます。

ペルソナ5 新価格版 - PS4

ペルソナ5 新価格版 - PS4

 

 ストーリーとメッセージ

 ストーリーが素晴らしいと思いました。伝えたいメッセージがしっかりと設定されていて、それを伝えるためのストーリーがゲームの核になり、あらゆる要素を貫く1本の柱になっています。このストーリーがあるから、こういう登場人物がいて、彼らがこういう動きをしていく、という風に。そして彼らには信念があるから、語る言葉に心が宿ります。

 最後のパレスを攻略して幕引きにすることもできたと思います。腐った大人を打倒する物語として。ただ、ペルソナ5はそこにとどまりませんでした。いや、初めからそこをゴールにするつもりはなかったのかもしれません。

 なぜ、腐った大人が蔓延ってしまったのかという理由まで突き詰めて、真の敵をプレイヤーの前に示します。怪盗団は最初から最後まで、実はその敵と戦っていたのかもしれない、と途中で誰かが言っていましたが、まさにその通りだなあと感心してしまいました。

 あの瞬間、誰もが他人事ではなくなるんですよね。プレイヤーは怪盗団の一員であると同時に、怪盗団を見ている側にいる自分をも自覚することなります。大人だろうと子供だろうと関係なく。

 自分は普段、あっさりとしたストーリーのゲームをすることが多かったんだなということに気づきました。特に任天堂のゲームは意識的にあっさりと作っていますよね、マリオやゼルダポケモンも。世界中の人に同じゲームをプレイしてもらうことを考えると、どうしてもそういう方針にならざるを得ないと思います。だから、こんなにペルソナ5に感動しているのかもしれません。

 このゲームはプレイヤーが選択に迫られる場面がたくさんあります。それも相まって、あの世界に、あのストーリーに心が動かされたのかなと自分で分析しています。終盤思わず泣いてしまった場面がいくつかありましたが、自分が辿ってきた道のりが、いまここに収束しているんだなという想いが極まったからでした。単にストーリーが感動的だから泣いているわけではなかったはずです。それは、映画ではできないこと。ゲームだからこそ作れたこの感動を、思う存分味わえて幸せだなと思いました。

気持ちの良いゲームプレイ

 ユーザが望んだ通りのことが実現し、見た目も操作感も最高のゲームだと思いました。

 コマンドバトルやアクションシーンでの爽快感。ゲームを長くプレイすることも苦痛ではなかったですし、逆にダンジョンに居座りたくなってしまうほどでした。ユーザを助けるサポート機能も痒い所に手が届く仕様で、指示もわかりやすかったです。この日までは自由に行動できる、というルール設定も明確でした。

 最初はやれなかったことが徐々にやれるようになっていって、世界が広がっていくワクワク感も良かった。高校生活へのノスタルジーもあったのでしょうが、あのころを思い出させるゲーム体験でした。

 独特ながらも癖になるUIも素敵だなと思いました。はじめは「なんかもっさりしている?」と思ったりもしたのですが、いまとなってはこんなに気持ちの良いUIはないなと思うほどです。

 そして素敵なアートワークの数々。キャラクターデザインは、衣装も含めて徹底的にこだわっていて素晴らしかったです。テーマカラーの赤が随所に映えていました。ペルソナもそれぞれ個性的で飽きなかったですね。各ダンジョンの作り込みも見事でした。それぞれにテーマを設けてガラッと見た目を変えてきてくれたので、毎回どんなダンジョンなのか楽しみでした。

 BGMも最高でした。普通に歌詞が入った楽曲がバトルBGMなんて珍しいなと最初は驚いたのですが、ゲームの雰囲気に合っていてカッコよかったです。渋谷の街のBGMからラスボスのBGMまで、一切手を抜かず作り込んであるなあと感動しました。

 

 

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 次回作もとっても楽しみです。

ペルソナ5 ザ・ロイヤル - PS4

ペルソナ5 ザ・ロイヤル - PS4

 

 

Auto Chessをとりあえずやってほしいという話

 Auto Chessにハマってしまいました。最近現れた新手のジャンルなのですが、これはやっておくべきゲームだと思います。PCやスマホで似たようなゲームがどんどん出てきているので、自分がやりやすいものを選んでインストールしてみてください。僕は「Auto Chess:Origin」をプレイしています。

(そもそも何をもって”Auto Chess”と呼ぶのか?という定義の話もあるのですが、そこは面倒なので割愛してこの総称で呼ばせて頂きます)

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こんなような画面のゲームです。

スマホ向けPvPゲームの新発明

 「Auto Chessはどんなゲームなのですか?」と聞かれて、一言で返すのはとても難しいです。ゲームのシステムが複雑だというわけではなく、存在しているどのゲームにも似ていないからです。全く新しいジャンルが登場したのだと思ってほしいです。

 昨今は次から次へと新しいゲームが生み出されているわけですが、全く新しいシステムを流行らせるのは至難の業です。新しいゲームは説明が必要で、とっつきにくいのです。だからこそ、このビッグウェーブには価値があります。

 もともとはPCゲームとして生み出されたのですが、Auto Chessのシステムはスマホの操作性で全く遜色なく遊べます。これは大きな強みです。荒野行動などもスマホ向けのものが出ていますが、シューティングゲームはどうしてもスマホではやりにくいですよね。

パクリゲームを作りやすい

 Auto Chessが流行っていることを受けて、すでにたくさんの企業がパクリゲームをリリースしています。システムを構築することは難しくないので、今後もどんどんとこのジャンルのゲームが作られるでしょう。脱線しますがポケモンGOのパクリゲームは本質的には作れないのです。あのゲームの中に存在するポケストップIngressで貯め込んだ唯一無二のデータだからです。

 Auto Chessのシステムには拡張性があります。大枠は同じになるのですが、細かいところの味付けはいくらでも変えられます。名前とゲーム画面はチェスなのですが、少しプレイしてみると「これは全然チェスじゃないじゃん」と気づきます。本質的には碁盤状のボードを使う必要すらありません。今は見た目が似ているパクリゲームが多いですが、見た目を変えたゲームもそのうち出てくると思います。

 キャラクターがたくさん登場するゲームなのですが、今はアメリカ製のゲームが大半なので、キャラもアメリカ向けです。使っていると愛着が湧いてくるのですが、可愛くはありません。日本人好みのキャラを使ったゲームを作れば、日本で流行らせることはできる気がします。どの企業が一番最初にこのシステムのゲームを出すのか楽しみです。

コアゲーマーの間ではすでに「流行っている」

 ゲームを作るからには流行らせてたくさんの人にプレイしてもらう必要がありますが、Auto Chessの情報を集めているとゲームを流行らせることがどんどん難しくなっているように感じます。同じ世代の人がみんな同じゲームをプレイするというような時代にはもう戻れないのではと思っています。

 コアなゲームファンはすでにAuto Chessをプレイしています。特定の層だけを見ればこのゲームはすでに流行っていると言っても良いと思います。流行っているどころか、自分に合わないと思ったゲーマーはもうすでに飽きています。なので、世界中でたくさんの人がAuto Chessを一斉にプレイするという環境にはならないだろうなと思っています。

 PvPゲームはライトなゲーマーが入りにくい構造をしています。負けたら面白くないので、熱心にゲームをプレイしない人や上手になれなかった人は残ってくれないのです。そういう意味で、Auto Chessはすでにレッドオーシャンで、いまから作ったとしても激しい競争に晒される未来が見えます。

 Auto Chessをめぐる一連の動きは、この業界の変遷のスピードが一段と速まっていることを印象付けられる出来事です。確かなことは何もわかりません。一つ言えることは、面白いのでぜひプレイしてほしいということだけです。

 

 

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 そのほかゲームの話

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