理系院卒のネットワークなブログ

意外なところに「つながり」ってありますよね

RAGEシャドバのギネス挑戦企画はesportsの参加者を誤解している

 2020年1月25日に行われたスマホゲームShadowverseのオフライン大会「RAGE Shadowverse 2020 Spring」にて、ギネス記録に挑戦しようという企画が行われました。「オンライントレーディングカードゲームを同時に同一会場でプレイした人数」の世界記録を狙いました。

 結果は6068人による同時プレイで見事ギネス記録を達成。僕も6068人の中の1人としてばっちりカウントされてきました。

https://rage-esports.jp/shadowverse/2020spring/pre/guinnessより

 

 無事に成功してめでたしめでたしなわけですが、これはあまり良い企画ではなかったということを書きたいと思います。Twitter検索で「RAGE ギネス」と検索すると参加者たちの不平不満が羅列されています。実際に自分が当事者となって感じた問題点は下記のようなものです。

①いままで午前と午後に分けていた予選をギネスのために午前に集中させた結果、スマホの電波障害が発生し、一部参加者が不戦敗になる

②11:00スタートで組まれていた予定が遅延し、12:00スタートになる。その間ずっと席で待ちぼうけ。

③ギネス登録人数が減らないように、1回戦が終わったあとは入退場口が封鎖される

④ギネス登録人数計測のため1回戦が終わったあとは席に着いたまま待たされ、ある時間が過ぎるとトイレも封鎖される

 今までとは違った運用になるためトラブルが発生してしまうのは仕方がないことです。厳正な人数カウントが求められるので拘束されるのも理屈はわかります。運営上の不手際に怒っているのではなく、そもそもこの企画が通ってしまったことに対して疑問を投げかけたいです。esportsが何かともてはやされる時代になりましたが、本質を取り違えたことをすると参加者が離れていってしまいますよという話です。

 もちろん、ひとりのシャドバファンとしては、現状に満足せず、いろいろなことに挑戦していってくれる姿勢は応援しています。

大会参加者は競技者である

 一人のシャドバプレイヤーとして、ここを一番取り違えてほしくないなと思っています。大会に参加する最大の目的は大会で勝つことです。圧倒的にそのプライオリティが高いのです。勝つために時間を費やして練習を重ねています。当日はわざわざ遠方から会場に来ている人も大勢います。ゲームといえども真剣なんです、我々は。

 当日のコンディションにはものすごく気をつかいます。集中力が大事です。そんな中で、競技者に一切インセンティブのない、場合によっては負担を強いるような企画は絶対に歓迎されません。「みんなでギネスに挑戦しているんだからちょっとぐらい協力しなよ」と言われても、「自分たち競技者はギネスに挑戦したいとはこれっぽっちも思ってないわ!」というのが本音なのです。

競技者と観戦者を分けて考える

 一般的なesportsイベントといえば、派手な演出とともにステージ上にあがった競技者が、大勢の観客の前でゲームをすることでしょう。あれがよくてギネスがダメなのはなぜ?と思うかもしれません。あれも競技者にとっては集中力を削ぐものです。

 舞台にあがれるのはほんの一握りの競技者のみです。あれは栄光の場です。ステージにあがることは競技者の憧れであり、選び抜かれた上位者であるというステータスです。

 煌びやかな舞台を客席から見ているそのときの自分は、当たり前ですがゲームをプレイしません。競技者ではなく観戦者です。ここでのモチベーションは、上手いプレイを見て勉強したいとか、応援している選手に勝ってほしいとかです。「自分が勝ちたい」はないのです。

 状況に応じて競技者と観戦者の立場を行き来しながら、我々はゲームを楽しんでいます。二つの立場は表裏一体であり、一瞬で切り替わります。自分たちからすると当たり前なのですが、もしかしたら外から見るとわかりにくいのかもしれません。

 ギネスの話に戻ると、競技者ではなく観戦者に向けた企画であれば歓迎されたかもしれません。誰に何を提供するのか、よく考えて企画を練ってほしいものだなと思います。

 

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