理系院卒のネットワークなブログ

意外なところに「つながり」ってありますよね

エポスプラチナカードのインビテーションが来たけど年齢不相応かなと思った話

 エポスカードのプラチナカードへのインビテーションが来ました。いろいろ考えた結果今回は見送ろうかなと思っています。インビテーションが来るまでの使用歴と、そう考えるに至った理由を書きます。誰かの参考になるかなと思って。

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使用歴

2016年1月:ノーマルカード使用開始

2016年10月:ゴールドへのインビテーション

2017年12月:プラチナへのインビテーション

 

 エポスゴールドカードはなかなかお得なカードだと聞いていたので、インビテーションを目指して可能な限りすべての支払いをエポスカードで行っていました。毎月の使用金額は10万円~20万円。ゴールドへのインビテーションは10か月で累計100万円ぐらい使ったら来ました。

 ゴールドカードにランクアップしてからも同様の生活を続け、1年ほど経ってからプラチナへのインビテーションが来た形になります。

エポスプラチナカード

 インビテーションを受けて申し込むと、エポスプラチナカードの年会費は2万円になります。ちなみにゴールドカードはインビテーションを受けると年会費無料。

 エポスカードのWebサイトによると、プラチナカードの魅力は以下の4点だそうです。詳細なスペックは他のまとめサイト等をご覧ください。 

 

・全国の一流レストランでご優待

・グレードアップしたボーナスポイント

・お誕生月ポイント2倍

・上質な旅をサポート

断ろうと思う理由

 端的に言うと年齢不相応だと思ったからです。プラチナカードのサービスは素晴らしいものなのだと思いますが、僕はまだ25歳。素晴らしさを十分に享受できる立場にありません。40歳だったら結果は変わっていたかもしれません。

 

・全国の一流レストランでご優待

 頻繁に一流レストランで食事ができるほどお金の余裕はありません。今後しばらくは年に1回か2回、プライベートでの特別なイベントで使うぐらいになりそうです。会社での立場が高くなれば、接待利用もあるかもしれませんがそれもまだ先の話。あまり活用できないなと思いました。

 

・グレードアップしたボーナスポイント

年間ご利用金額

ボーナスポイント

100万円以上

20,000ポイント(2万円相当)

200万円以上

30,000ポイント(3万円相当)

300万円以上

40,000ポイント(4万円相当)

500万円以上

50,000ポイント(5万円相当)

700万円以上

60,000ポイント(6万円相当)

900万円以上

70,000ポイント(7万円相当)

1,100万円以上

80,000ポイント(8万円相当)

1,300万円以上

90,000ポイント(9万円相当)

1,500万円以上

100,000ポイント(10万円相当)

  上の表のようにポイントが加算されるとのことです。ちなみにゴールドカードであっても、年間100万円以上の利用で10000ポイントのボーナスがあります。

 現在は年会費無料のゴールドを使っていて、年間10000ポイントをゲットできています。年会費2万円のプラチナカードで同等のリターンを得るためには、年間200万円以上利用が必須になります。

 改めて自分のマネーフォワードの家計簿データを眺めてみて、今後しばらくはカードの支払いで年間200万円を超えることはなさそうだなと思いました。カード以外の支払いも含めて、年間300万円ぐらいしか出費していなかったので。

 これに関しても、年齢があがってくればそれだけ出費も増えてくるわけですから、年齢不相応だなと思わざるを得ません。年間で500万円ぐらいカードで払う生活をしていれば、プラチナに申し込んだ方がお得になるのに。残念です。

 

・お誕生月ポイント2倍

 大きな出費を控えていれば魅力的だったかもしれませんがそういった予定は立っていません。それに、これだけの理由でプラチナに切り替えるほどポイント2倍は引きが強くはないかなと。特定の月に一気に出費をする趣味があれば有効活用できそうですが、残念ながらそういった趣味もなく。

 

・上質な旅をサポート

 魅力的かどうかは置いておいて、これが1番プラチナカードっぽいなと思いました。

 目玉は空港のラウンジで利用できるプライオリティパスに無料で登録できること。通常は年会費が399ドルもかかるそうなので、これだけのために年会費2万円を払ってもペイできる代物です。

 その他にもVISAプラチナの多様な特典が利用できるようです。旅行保険、サポートデスク対応、ゴルフ場やレストランの優待券などなど。

 自分の場合、これらの特典の利用頻度は高くなりそうにないなと思いました。たまに海外出張はありますが、月に何往復もするほどではありません。ラウンジ利用はカッコいいですが、ゴールドカードでも入れるラウンジもありますし。また、ゴルフもしないし旅行にたくさん行くわけでもないのでそっち方面の恩恵も活用しづらいわけです。

というわけで

 つらつら書いてきましたがとにかく年齢に不相応ということに尽きます。サービス内容を否定しているわけではなく、今手に入れても活用できなさそうだなと思って断ろうかなと。

 年間の利用額だけを見て機械的にインビテーションを送っているのだと思いますが、そうやって発行数を増やすと逆に価値が毀損しそうな気がするのですがそういうものではないのかなあ。

 しかもインビテーションには有効期限があって、2か月以内に申し込むかどうか決めなくてはいけないという。焦らせるための期限設定だと思うのですが逆効果な気がします。2,3年後に生活のステージがガラッと変わって申し込みたくなるかもしれないのに。もったいないなと思いました。

 何度かインビテーションが来たという話も聞いたので、良きタイミングで再度インビテーションが来たら検討します。

 

更新情報はTwitterで。

 

 

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Shadowverseの優勝賞金1億円宣言はe-sports界にとって事件である

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画像:https://twitter.com/shadowverse_jp/status/944904542499385344より

 

 2018年12月に行われるShadowverse/シャドウバースの世界大会の優勝賞金が100万米ドル(1米ドル=110円換算で1億1000万円)であることを開発・運営元のCygamesが発表しました。まだあまり話題になっていない印象なのですが、とてつもないインパクトを秘めていると思います。一人のプレイヤーとして心が震えました。

 世界のe-sports界において大きく後れを取っているシャドウバース、および日本という国が、はるか先を行く先人たちにケンカを売れる最も単純で効果的な方法がこれなのです。超高額の優勝賞金を出すこと。Cygamesは本気でこの世界に殴り込んでいくことを高らかに宣言した形になりました。

 100万米ドル(1億円)がどのぐらいすごいか簡単に比較してみます。シャドウバースよりも2年先にリリースされ、世界中に多くのプレイヤーを抱えるハースストーン。賞金を獲得したプレイヤーの賞金額の累計ランキングが出ています。執筆時点の最終更新は2017年12月17日となっています。

Hearthstone: Heroes of WarCraft Prize Pools & Top Players - eSports Profile :: e-Sports Earnings

 1位はロシアのPavel選手で累計32万米ドル。ハースストーンは世界各地で様々な規模の大会が開かれていて、上のページによると賞金が出ている大会は656個もあるそうです。しかしそのハースストーンのナンバーワンプレイヤーの累計獲得賞金額を、シャドウバースはたった1つの大会で上回ってしまうことになります。事件だと思いませんか。

 アナログのカードゲームとも比較してみましょう。一番の老舗であるMagic The Gathering (MTG)の累計賞金獲得ランキングはこちら。2017年8月23日までのデータとなっています。

TOP 200 ALL-TIME MONEY LEADERS | MAGIC: THE GATHERING

 1位はブラジルのPaulo Vitor Damo da Rosa選手で累計44万米ドル。上のページによると1996年の大会からカウントしているということで、歴史の長さを思い知らされるわけですが、シャドウバースの100万米ドルはMTGのナンバーワンさえも凌駕してしまっています。このランキングで6位にランクインしている日本人のMTGプレイヤーである渡辺雄也選手もこんなツイートを出しています。

 

※もちろん、1個の大会で1億円以上の賞金が出るゲームはいくつかあります。特に本場米国のシューティングゲーム。シャドウバースが世界ナンバーワンになったと早とちりするのはダメです。

 

 1億円の大会が開かれるのは今からちょうど1年後です。賞金額を発表したことで、この1年でシャドウバースにどのようなメリットがもたらされるのか、そして解決すべき課題は何なのか、もう少し掘り下げていきたいと思います。

メリット

・大会の参加者が増える

 1億円がかかる世界大会に出場するためには、日本一決定戦で優勝か準優勝するなど、前哨戦となる大会で上位に入る必要があります。1億円につられたプレイヤーたちは、参加資格が手に入る大会にこぞって応募することになり、各大会の参加者数が増えます。

・大会のレベルが上がる

 他のゲームで好成績を残しているプレイヤーが賞金目当てに参戦してくることが予想されます。シャドウバースはスマホゲームとはいえ40枚のデッキを使って戦うカードゲームです。長い歴史を持つアナログのトレーディングカードプレイヤーも黙ってはいないでしょう。

・アプリのダウンロード数・売り上げが増える

 今までシャドウバースをプレイしてこなかった人が興味を持つということですから、アプリのダウンロード数と売り上げの増加が見込めます。アナログのカードゲームを新たに始める場合、カードを購入し対戦相手を見つけなくてはいけないというハードルがあるのですが、アプリゲームの場合はスマホ1台あれば気軽に始められます。2,3万円ほど課金すれば組みたいデッキは組めるようになるでしょう。希少価値の高いカードを探す手間もありません。

・日本のe-sports界にインパク

 「プロライセンスを持っているプレイヤーにしか賞金を渡せない」みたいなことを言って、いまだに制度作りの段階でもめている日本のe-sports業界。その団体に対して、「あなた方と足並みを揃える気はない」「あなた方とは描いている絵の大きさが違う」というCygamesからのメッセージになったのではないかと思います。プロライセンスを発行するゲームのなかにパズドラとモンストがあるのも背景が透けて見えそうな感じ。仲間割れをしてほしくはないのですが、大きなことをやれる企業が率先して道を拓いていってくれていると捉えれば、日本のe-sports界にとってはプラスとなるのではないでしょうか。

・世界のe-sports界における存在感の発揮

 世界中のゲームを見渡しても高額な賞金を出すゲームに突如名乗りをあげたシャドウバース。今までは世界における存在感はほぼゼロだったわけですが、これで一気に注目度が上がると思います。シャドウバースが今後どのような展開をしてくるのか、世界中のゲーム会社が多少は気にするようになるのではないかと思います。もしかしたら賞金金額をアップするゲームが出てくるかもしれません。そうなれば、世界のe-sportsの発展がより加速していきます。

解決すべき課題

・ゲームバランス

 シャドウバースが一番問題を抱えているのはここだと思います。ネットでここを指摘する声もよく見ます。「上手い人や練習を積んだ人がちゃんと勝てるゲームになっているか」「たまたま運が良かっただけの人が勝ちあがってしまうゲームになっていないか」ということです。

 一因となるのはカード1枚1枚の強さのバランスが悪いこと。強いカードが異常に強い場合、そのカードを引いたら勝ち、引けなかったら負けという単なるくじ引きのようなゲームになってしまいます。リリース初期はこの傾向が強く、多くのプレイヤーがシャドウバースを見限って去っていきました。最近はだいぶ改善されてきて大会も非常に盛り上がるのですが、更なる改善は必須であり、もし必要であればシステムの大幅見直しも視野に入れなくてはいけないと感じています。

 12月末に大型アップデートが予定されているため、そこでゲーム性が大規模に調整され、バランスが整えられるかもしれませんね。

・予選参加資格

 大会の予選に参加できるかどうかは、現在は完全ランダムの抽選方法になっています。強豪プレイヤーが抽選に落ちて、1試合もすることなく1億円への道を閉ざされる可能性が危惧されています。僕も3回応募したことがあるのですが1回は落ちました。

 ここを改善することで、1つ上で述べた問題の解決にもつながります。実力がある人だけが大会に参加できるようにすれば、負けた方も文句は言えません。ゲーム内で一定の成績を収めていることを条件にすれば、大会のレベルをあげることにもつながりますし、アプリそのものへのエンゲージメントも高まります。そのようにできない理由があるのかもしれませんが、検討の余地はあると考えています。

・競技性とソシャゲとしての側面のバランス

 ゲームバランスを改善して競技性を大幅に高めていくと、今度はソーシャルゲームとして取っつきにくくなってしまうという問題が表面化してしまいます。「弱い人は強い人に全く勝てなくなる」というのは競技の面では完全に正しいのですが、ソシャゲとしては必ずしも正しい運営方針ではありません。カードゲームに慣れていないユーザは壁にぶちあたってしまい、あるところから先に進めなくなる人が増えるはずです。

 基本プレイ無料のゲームは多くのユーザを抱えることで、数%の課金ユーザからお金をとるだけでアプリを運営しています。競技性を突き詰めすぎた結果、すそ野が狭まってしまう可能性があります。

・持続性

 2017年度のCygamesの純利益は133億円だったそうです。

参考:Cygamesは黒字133億円、AbemaTVは赤字191億円 サイバーエージェント子会社決算まとめ - ITmedia NEWS

 1個の大会の優勝賞金だけで1億円出すことになったわけですが、この金額は純利益の約1%を占める大金。おそらくどこかからスポンサードを受ける算段がついているのだと思いますが、それにしても高額な金額です。来年度以降も継続的に同規模の大会を開き続けることができるでしょうか。スポンサーに逃げられたらおしまい、という風にはなってほしくありません。この部分はCygamesの経営手腕と交渉力に期待するしかないのでがんばって欲しいところです。 

 

 

 まだ優勝賞金額が発表されただけなのですが、思わず盛り上がってブログを書いてしまいました。更なる続報に期待したいと思います。

更新情報はTwitterで。

 

e-sportsとしてのシャドウバースの現状については以前にも書いています。こちらもよかったらぜひ。


 

その他ゲームについて

ゲームを通じて承認欲求を得ようとするあまり義務感を覚えてしまう問題に関する一検討

 ゲーム会社で働いていると「興味をそそられるわけではないけどプレイしなくてはいけないゲーム」が目の前に現れることがあります。義務感を感じながらのゲームプレイは苦痛に変わりやすく、ゲーム自体の面白さによらず心が躍らないことが多いです。そのゲーム自体に罪はないので余計に悲しくなってしまいます。

 

さて、本題へ。

 

 ゲームをプレイしてくれているユーザをTwitterで観察しているとユーザが自ら義務感を背負い込みにいっているような光景を目にします。

 そのゲームにおいて有名になりたいという気持ちから、長時間プレイすることを自分に課している人たち。ゲーム専用のSNSアカウントを作ったり、ゲーム実況を配信したりしていて、ネット上で存在感を発揮するためにたくさんゲームをプレイしている。有名になるためにはとにかくプレイ時間を延ばさなければならない。ある種の悲壮感を感じせる人もたまに目にします。

 一方で、他人にプレイを強要するような発言をしている人を見かけることもあります。「ガチ勢を名乗るのであれば1日5時間以上のプレイは当たり前」「1か月2万円の課金は義務」そんな発言を見ると悲しくなります。そのゲームを熱心にプレイしてくれているのに、熱心になるがあまり周りに悪影響を及ぼしてしまっている。

 スマホゲームを中心に、ゲーム内で他人とつながり、影響を及ぼし合うシステムを採用するゲームが増えてきたことが、このような現象の発端にあるのではないかと思います。誰が悪くて、どうすれば解決するのでしょうか。そもそも、これは解決しなくてはいけない問題なのかもはっきりしません。僕が頭に描く状況を一旦図示してみます。

 

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 図の上の方ではユーザとゲーム会社の間でwin-winの関係が築けているのにも関わらず、最下段ではlose-loseの関係になってしまっています。というわけで、気になった点を、ユーザの目線とゲーム会社の目線で見ていきたいと思います。

①ゲームで承認欲求を満たそうとすること

 承認欲求に関して、ユーザ目線での議論です。

 SNSの普及によって、ゲームを通じて他人からの承認を得ようとする行為を目にすることが増えました。「自分はこのゲームでこれだけすごい成績を収めているからすごい」。そういう発言をしている人を見ると、誰かに認めてほしいのだなと感じることがあります。

 それに対して、ゲームやネットなどに頼らず、物理的に自分の手の届く範囲にいる人との関係性の中で承認欲求を満たすべきだという考えを持つ人がいます。もちろん理解はできます。できるのであればネットに頼らず、ありのままの自分を承認してもらった方が健全だと思います。

 一方で、現実に居場所がない、ゲーム以外に熱中できるものや自慢できるものがない等の理由から、ネットやゲームの世界に居場所を見出している方が大勢いるのも事実。僕もひとりのゲーマーであり、ネット上でこうして文章を書き散らしている酔狂な人間のひとり。こういった人たちが否定されることは自分の一側面が否定されることであり、あってはならないことだと思っています。「逃げ場所」「セーフティーネット」と書くとネガティブなニュアンスも含むわけですが、そういった役割を果たしていることを簡単に否定してほしくはありません。

 ポジティブな面に目を向けたときにも、ゲームをプレイすることで有名になりたいという気持ちを大いに肯定したいと思います。例えばゲーム実況はYoutuberが扱う一大ジャンルです。Youtuberの存在感は日に日に増していて、広告メディアとしてどの業界も無視できる存在ではなくなっています。彼らを承認欲求モンスターだと切り捨てるべきだとはもはや誰も言えないはず。

 また、E-sportsのプロプレイヤーはゲームをプレイすることでお金を稼いでいます。大きな大会で勝ちあがることで有名になった彼らに対して、承認欲求がどうのこうと言うのは見当違い。

 「ゲームで有名になって一体何があるんだ」という問いを突き詰めると、Youtuberやプロプレイヤーの存在すらを否定することになりかねません。もちろん話は複雑で、「認められたい」「有名になりたい」「視聴者数を増やしたい」「お金を稼ぎたい」「一番になりたい」といった欲求はそれぞれ異質のものであり、一緒くたにできるものではありません。しかしゲーム産業のこれからの発展を念頭に置いて、あえてこれらの感情をすべてひっくるめて肯定していく姿勢が必要なのではないかと考えています。

②プレイヤーによるコミュニティ

 コミュニティに対して、ユーザ目線の議論です。

 基本的には①と同じ議論です。ゲーム好きが集まってできたコミュニティは大切にすべきものです。

 ここで議論の的になるのは、他人にプレイを強要するようなプレイヤーの存在。「毎日ログインしていない人は強制退会」「ランキングで上位に入れなかったら罰ゲーム」。どんなゲームであってもこういう発言をする人を目につきます。血気盛んな若者に多いですが、大人だって例外ではないと思います。

 コミュニティの質を高めることで所属メンバーが得られるメリットを大きくしたいという目的があるのだと思います。情報共有という実利の面しかり、他のプレイヤーからの目線という承認欲求的な面しかり。しかしゲームはやってもやらなくてもいいものです。ゲームプレイに義務感を与えた瞬間、それは退屈なものに変貌する可能性を持ちます。楽しんでプレイすることが一番良いのは当たり前のことです。

 人にプレイを強要する人は、そういったことをきちんと理解しているのかもしれません。理解しているにせよ理解していないにせよ、彼らは選ばれた人間による特別な集団を形成したいと考えている。これはもはやゲームが云々という話ではなく、人間が集団をどのように形成し、どのように運営していくかという話になる気がします。ゲームから話題が逸れますのでこの議論はここで畳みます。人間の業は深い。

③ゲームを頑張りすぎること

 過度にゲームを頑張ってしまうことについて、ユーザ目線の議論です。

 ゲームが面白いからついつい長時間プレイしてしまう。これは全く悪いことではありません。幸せな状況です。どのようなモチベーションでプレイしているかが問題で、純粋にゲームを楽しんでいるのならばいいのですが、①②で議論したようなところに突き動かされてプレイすると良くない結果を招きがちだなと僕は思います。

 多くの人にとってゲームは趣味、楽しむものです。たまには、何故自分はこのゲームをプレイしているのだろうと振り返る瞬間があってもよいのかもしれません。ゲーム以外にも、この世界には面白いものが満ち溢れている。無理にゲームをする必要はどこにもありません。ゲームによって人生を破壊されるなんてことがあってはいけません。 

④ゲーム内コンテンツの量の管理

 ③と同じく過度にゲームを頑張ってしまうことついて、ゲーム会社目線の議論です。

 ユーザがゲームを頑張りすぎてしまうということは、たくさんプレイする余地があるということです。これは1人プレイで完結しているゲームに関しては全く議論する必要のない側面で、各々が自分のペースでプレイしてゴールを目指せばよいだけです。

 一方で、スマホゲームに限らず、昨今のゲームは他人と繋がる要素が至る所に入っています。自分のゲームの進み具合が他人に影響することが多いです。自分よりゲームが遅れている人からはメリットが得られないことが多く、進んでいる人たちからは邪険にされがち。対人対戦ゲームであれば、カモにされてしまうので早く強りたいと思うことでしょう。他人とつながるゲームをプレイするうえでは他人に遅れないことが重要になってきます。

 ゲーム内のコンテンツ量が多ければ多いほど、進んでいる人と遅れている人の差は大きくなってきます。従って悲しい想いをする人の数も増えます。しかしコンテンツの量を少なくしてしまうと、熱心にプレイしている人がコンテンツを消費しつくすタイミングが早くなり、満足度の低下・ゲームからの離脱・基本プレイ無料のゲームであれば売り上げの低下を招きます。(基本プレイ無料のゲームはユーザ全体のボリュームゾーンと課金ユーザのボリュームゾーンが異なるように設計されているため、そもそも構造上に無理があることは否めませんが...。)

 ゲーム会社にとってはコンテンツ量を多くすることに越したことはありません。ですが、多すぎると弊害をもたらす可能性があることを、頭の片隅に置いて開発・運営を進めるべきだと思います。たくさんのコンテンツを用意しておいて順次開放していくなどの工夫は必ず一度検討すべきでしょう。開発費用や開発期間の問題もあるので、必ずしも量を減らすことはデメリットではないはずです。

 対人対戦ゲームにおいてはマッチング機能の改良によって、上位と下位が対戦しないようにすれば基本的にはOKです。ユーザが少なければ上手くいかないこともありますが。

⑤課金やガチャに天井を設ける

 お金の面でユーザが疲弊してしまうことについてのゲーム会社目線の議論です。

 これは課金要素のあるゲーム限定の議論であり、かつ、非常に一般的でよく聞く話です。ユーザが頑張りすぎるあまりお金を投入しすぎて疲弊するという課題は、金額に上限を設けることで簡単に解決できます。スタミナ制を導入したスマホゲームであれば、時間の面も同様に解決可能です。

 もちろんゲーム会社から見れば、上限を設ければ売り上げが減ります。売り上げ減少という痛みをとってでも、ユーザが健全にプレイすること、そして社会からの批判的な目線をやわらげることを目指すのか、という単純なトレードオフの話です。ゲーム業界全体で、引き続き議論を重ねていくべき課題です。

終わりに

 抜けている目線もあるかもしれませんが、自分が感じたもやもやを整理してみました。ユーザ各々がゲームとのちょうどよい距離感を模索し続けること、そしてゲーム会社がユーザに健全に遊ばれるゲームの形を模索し続けること。両者の努力によってゲームという文化が発展していくことを願っています。

 

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その他、ゲームについて書いたこと。

【映画評】スターウォーズ 最後のジェダイ/3部作の2作目の難しさを感じさせない傑作

最初だけネタバレなしです。

 

 

 

 やっぱりスターウォーズはすごいなと思いました。3部作の2作目。ストーリー展開の面で難しい立ち位置だと思います。しかし見事に組み上げられた「面白い映画」を楽しませてもらいました。

 スターウォーズシリーズの本編を名乗るからには、様々な角度から高水準なものが求められているでしょう。1本の映画作品として面白いものになっているか、3部作の2作目として1作目と3作目をきちんと橋渡しできるか、そしてスターウォーズシリーズのエピソード8として今まで集めてきたファンたちを喜ばせることができるか。僕はすべてをクリアしていった傑作だと思いました。1個ずつ書いていきます。

 

 

 

以降はネタバレを含みます。

 

 

 

1本の映画として

 2時間半の上映時間はあっという間に過ぎ去っていきました。純粋に1本の映画として、この作品はとっても面白い作品であると僕は思いました。もし仮にエピソード7を見ずにこの作品を見たとしてもけっこう楽しめるのではないでしょうか。

 戦闘機のドッグファイトやアクションシーンなどハラハラドキドキするシーンが多めでした。どのシーンも見応え十分。そしてその合間に静かなシーンが入ってくるので、上手く緩急が付いています。途中で集中力が切れませんでした。

 映像の1コマ1コマが1つの絵として芸術的に仕上がっていました。人物と背景のバランスやカメラワークが素晴らしいことに加えて、今作は色の対比も鮮やかでした。宇宙の漆黒の黒、スノークの部屋の赤、鉱物の星を覆う白が特に心に残っています。レイとカイロ・レンが背中を預け合ったあのシーンは、ストーリーの展開的にも鳥肌ものでしたが、背景の赤とレイの白とカイロ・レンの黒の見事なバランスで網膜に焼き付いてしまっています。

 また、宇宙船の中の殺風景で実用的な空間と、ルークの住む惑星オク=トーの孤島の大自然、カジノの惑星カント・バイトのきらびやかさの対比も印象的で、場面が切り替わるごとに見た目が大きく変わり、見ていて全く飽きません。現代の映画の撮影技術の粋を集めて撮られた映画なのだなと思います。

 人物の描き方も素晴らしかったです。この1本の映画の中で、それぞれの人物像をきちんと描き出し、心境の変化や成長を丁寧に映し出していました。エピソード7ではフィンの成長が記憶に残っていますが、今作ではポーとホルドの対立がとても印象的でした。彼らが登場している時間は長くないのですが、両者の人柄がしっかりと伝わってきて思わず感情移入してしまいます。彼らのような勇敢な人たちが他にもたくさんいて、反乱軍は戦い続けているのでしょうね。

3部作の2作目として

 難しいポジションだと思います。1作目で広げた風呂敷を、さらに広げる部分もあれば、畳み始めないと3作目で説明しきれなくなる部分もあります。しかし全部畳んでしまうと、「次回作を早くみたい!」と思わせることができなくなってしまう。繊細なバランス感覚が求められる綱渡りを見事やってのけたと僕は思いました。

 昔を振り返っても2作目は共和国側がピンチに陥るというのがお決まりの展開です。今回に至っては、反乱軍は逃げるだけ。大筋を見ると非常に単調なのに、前述したように1本の映画として非常に面白いものに仕上がっているので、見ていて飽きません。

 それに加えて、この3部作の中心テーマであるレイとカイロ・レンの物語が急加速していきます。このシリーズではカイロ・レンが絶対的な悪役という存在ではないため、レイvsカイロ・レンがどのような決着を見るのか全く想像がつきません。そこが非常に面白いところ。

 反乱軍vsファーストオーダーの戦いについては、反乱軍が逆転勝利するというお約束が破られることは絶対にないでしょう。ハッピーエンドになることは保証されているので、安心してレイとカイロ・レンに集中することができる。彼らはストーリーの中心でありながら、どちらも謎多き人物。そもそも彼らは何者なのかという根本的なところが大きな謎となってエピソード7,8,9をドライブしていきます。

 今作で、なぜベン・ソロがカイロ・レンになってしまったのかという謎に対する答えの一端が示されました。一方でレイが何者なのかという謎はひっぱられ続けることになります。このさじ加減が見事なんですよね。片方がわかったのにもう片方がわからない。気になって仕方がない。なんとしてでも3作目を見に行くしかなくなってしまうわけです。

 謎自体がシンプルで、誰にでもわかりやすいのも上手く考えられているなと思いました。複雑さはありません。レイの両親は誰なのか、その1点にフォーカスされているので、議論の的にしやすいわけです。レイの両親を隠し続ける選択をしたことで、この作品は次回作への見事な橋渡しになっていると思いました。

 レイとカイロ・レンの奇妙で密接な繋がりを何度も見せられた僕らは、血のつながりがあるのかと考えてしまいます。レイがルークの子供なら、カイロ・レンとの関係は従妹にあたるので妥当なライン。しかしそれにしてはレイに対するルークの態度は冷たすぎるのではないか?でももう一度見に行けばヒントが隠れているのかも?そうやってこの作品は熱心なファンを何度も劇場へ呼び込むことになるはずです。

 それにしてもレイという人は強すぎやしませんかね。この作品ではカイロ・レンの弱さ、ルークの弱さ、レイアの弱さが浮き彫りになる。ですがレイは弱いところをほとんど見せません。フォースに対する恐れを見せる場面こそありますが、自分はそれをコントロールできると信じてルークに指導を乞う。常にまっすぐ自分の勝利を信じ、反乱軍を信頼し、カイロ・レンも取り戻せると信じている。心が強い。そして戦っても強い。老いたとはいえあのルークを打ち倒し、カイロ・レンとのフォース勝負にも勝ってしまう。カイロ・レンは怖くて仕方がないでしょうね。

 こんなにもレイは強い。そして今作でしきりに言及されたのはバランスという概念でした。光のあるところに闇がある。カイロ・レンは、血筋だけを見れば光の戦士です。ということは、レイの両親はシス側の人物なのかなというのが僕の予想です。だから両親が弱点になるとカイロ・レンは考えている。でもじゃあ一体誰なのかというと全然わかりませんが。

 あとは恋の行方も気になりました。エピソード7だけを見ればレイとフィンが最終的に結ばれるのかな、なんて単純に考えてしまうのに、今作ではローズという思わぬ伏兵が登場。フィンは優柔不断そうな男なので、取り合いになったら面白そうです。限られた尺の中で、こんなにも多様な要素を破たんなく組み込んでいてすごいなと思うばかりです。

スターウォーズエピソード8として

 スターウォーズシリーズファンに対するサービス精神が忘れずに盛り込まれていたのも素晴らしかったです。R2-D2がルークを説得しにかかる場面。あの発想はすごかったですね。あのホログラムがすべての始まりだったわけです。そして若いころのレイア姫を登場させることによって、彼女が歩んできた戦いの道のりの険しさを思い出すことになります。彼女はおばあちゃんになった今でもずっと戦っている。数多くの仲間が命を落としました。無謀な突撃作戦を強行したポーを激しく叱責する場面は、今までの経験が呼び起こした彼女らしい行動だなと思いました。

 細かいところにもサービスを詰め込んでくれているのがニクイ。レイがミレニアムファルコンのキャノンの操縦席に座って「私これ好きかも!」って叫んだ場面。ルークも同じ場所で同じようなこと言っていたような。そういうちょっとした心遣いが素敵でした。

 長くシリーズを続けているとベテランファンとの付き合い方が難しくなってくると思います。長年愛してくれている彼らが喜んでくれるもの提供したい、でも彼等に媚び過ぎてもダメで、新規のファンも獲りに行かなくてはいけない。その辺のバランスも決して見失っていないんですよね。

 ただ、フォースってこんなにすごいことができたっけ?というのはちょっと気になりました。今までの設定をなんとしてでも守れ!なんて言うつもりはなくて、新しいものを見せてくれるのは大歓迎なのですが、レイアの宇宙遊泳はちょっと消化不良かなと。レイアのフォースってそこまで強くなかったですよね。あれはレイアの力のように表現されていましたがカイロ・レンが手助けしていた説もあります?もしくはストーリーの都合上レイアがフォースの持ち主だということを強調する必要があったとか。

 レイとカイロ・レンの遠隔交信やルークの分身の術は似たようなことが以前にも起きていたので違和感はなかったですが、あの場面だけはちょっとひっかかりました。必要だったのかな、なんて。

終わりに

 気が早いですがもうエピソード9が楽しみで仕方がありません。いったいどんな結末を僕らのために用意してくれたでしょうか。こんなに面白いエンタテイメントを、たった1800円で楽しめるこの時代に本当に感謝です。

 

 

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過去のスターウォーズも感想を書いてます

 

 

 

スター・ウォーズ/最後のジェダイ  オリジナル・サウンドトラック

スター・ウォーズ/最後のジェダイ オリジナル・サウンドトラック

 

 

2017年をプレイしたゲームで振り返る

 2017年に自分がプレイしたゲームを時系列で振り返っていこうと思います。自分なりの今年の振り返りです。ゲームのネタバレはしません。

 ゲーム業界的にはNintendo Switchが発売され、任天堂の復活がクローズアップされる年となりました。秋から冬にかけてビッグタイトルが数多くリリースされ、プレイする時間がまったく追いついていません。嬉しい悲鳴をあげつつ、年越しを迎えることになりそうです。

 また、e-sportsに関する話題も多く耳に入ってきた1年でした。自分自身がシャドウバースの高額賞金のかかった大会に出場したこともあって、ひとりのプレイヤーとしてe-sportsの展開がとても楽しみです。

 アプリゲームも本当にたくさんの話題作が出ました。短い時間プレイしていたものを加えると収まり切らないので、よく遊んだものだけを載せます。

 来年もゲーマーにとって幸せな1年でありますように。

シャドウバース

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 2016年から引き続きプレイしていたスマホゲーム。

 ダントツで今年1番プレイ時間が長くなったタイトルです。カードゲームってやっぱり面白いですね。3か月ごとに追加される新カードパックと、1か月ごとに行われるゲームバランスの調整のおかげで、常に一定のペースで楽しく遊び続けることができました。今年の年末には使用できるカードの種類に制限を加えたリミテッドルールも追加されるということで、しばらくはやめるタイミングが見つからなさそうです。

 オフラインの大会に出場したのも良い体験になりました。賞金がかかっていることもあるのですが、純粋に目の前の相手に勝ちたいと頭を絞りつくすあのピリピリ感は他のものに替えがたいですね。大会に出てみた感想と日本のe-sportsに関してこちらに書いています。

 同じデジタルカードゲームのジャンルであるドラゴンクエストライバルズ(後述)が今年リリースされ、一時はそちらも並行してプレイしていましたが、結局シャドバを優先させることになりました。

Nintendo Switch

 2017年3月3日発売。

 発表された直後は賛否両論あったこのハードですが、もしかしたら歴史に名を残す名ハードになるのかもしれません。

 My Nintendo Storeで買うと配色のカスタマイズができるということで予約購入を狙っていたのですが、アクセス集中に阻まれて予約に失敗。同じミスをやらかした職場の同期と一緒に、開店前のヤマダ電機に並んで発売日当日にゲットしました。のちの価格高騰と、ゼルダの伝説のあまりの名作っぷりに、始発で出かけてタクシーで出社した発売日の判断は正解だったと同期で盛り上がりました。

 据え置きハードでありながら携帯もできるというのが売りのこのハード。一人で使うときはほとんど据え置き機として使っていますが、不慮の事故で入院した弟の見舞いに見せにいったり、同僚とディズニーランドの待ち時間にマリオカートをやったり、職場でスプラトゥーン2大会をしたりと、携帯モードもとても役に立ちました。任天堂の思惑にまんまとはまっている感じです。

 発売からもう9月も経ちましたが、今年の年末商戦の目玉級の注目を浴びています。スマホゲームの市場が完全に出来あがったこの時代にどこまで販売数を伸ばすのか気になるところですね。

ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド

  2017年3月3日発売。

 Switchのローンチタイトル。もちろん一緒に買いました。あんなにゲームに夢中になって没頭したのは久しぶりでした。数々のゲームの賞を総なめにしていますが、もちろん僕の中の2017年ゲーム大賞もこの作品です。

 もともとゼルダファンではなく、アクションゲームもあまりプレイしない僕。オープンワールドのゲームも初めてだったので、あの「なんでもしていいんだよ」感、「どんな方法であってもクリアすればいいんだよ」感は衝撃的でした。マップの作り方、ストーリーの見せ方も素晴らしかった。ゲーム史に残るであろうこの大作を、リアルタイムでプレイできて幸せでした。

スプラトゥーン2

  2017年7月21日発売。

 ゼルダをちょうどプレイし終わったタイミングで発売になりました。Switchの売り上げを加速させたアクションシューティングゲーム。このゲームも本当に面白いゲームでした。

 スプラトゥーン1も評価が高いのは知っていたのですが、WiiUを持っていなかったのでプレイできませんでした。Switchで発売されるのを一番楽しみにしていたゲームです。

 シューティングゲームでありながら、敵を撃つだけでは試合に勝利できない奥の深さが素晴らしい。1試合が短いので、隙間の時間にも思わずプレイしてしまいました。継続的なアップデートを行うことで対戦環境に常に変化を生み出し、売り切りタイトルでありながらユーザを飽きさせないサービス精神を感じます。

 オンラインで戦うのも楽しいのですが、人と集まってプレイするのはもっと楽しかったです。職場の同僚とSwitchを持ち寄って、仕事が終わったあとの会議室でプレイしたのは良い思い出です。

 スプラトゥーン1からプレイしておらず、シューティングゲームも初めてだったので、あるところまではランクが上がった後に壁にぶつかってしまいモチベーションが低下しました。向き不向きがありますもんね。でも、いつになるかはわかりませんが次回作が出たら間違いなく買うと思います。 

ドラゴンクエスト過ぎ去りし時を求めて

 2017年7月29日発売。僕が購入してプレイし始めたのは2017年10月頃です。

 スプラトゥーン2が自分の中で一段落してから始めました。PS4は持っていないので3DS版を購入。ドラクエのナンバリングタイトルをプレイするのは久々でした。

 やっぱりドラゴンクエストはすごい、RPGの王様だと思わされる作品でした。RPGというフォーマットは子供のころから長く親しんできたわけですが、いまさら驚かされることになるとは思いませんでした。

 ストーリー展開がまさに縦横無尽。1度プレイしたマップを2重にも3重にも新たな気持ちで冒険させるところは素晴らしかったですし、時系列的な展開もすごかった。同じムービーを全く違う心持ちで2回見させる荒業、神業。RPGはまだまだ開拓できるのだなと思わされました。

 そしてゲームの中のすべての要素が「過ぎ去りし時を求めて」というタイトルに収束していく気持ち良さ。ゼルダもすごかったのですが、1つの作品としての完成度という点では負けていないなと思いました。 

アズールレーン

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 日本では2017年9月14日から配信開始。僕がプレイし始めたのはドラクエ11を始めた時期と同じぐらいでした。

 実在した戦艦や空母を擬人化させたシューティングゲーム。中国の会社が開発し中国で展開していたものが輸入されている珍しさと、ガチャのSSR排出率が7%という破格の数字になっていることが話題になりました。こちらに自分なりの分析を書いてみました。

  日本語の翻訳がたまに引っかかる以外は本当に丁寧に作られているゲームで、ストレスなくプレイすることができ、なんとなく毎日プレイしてしまっています。ただ、ゲームの攻略が一段落してきたため、大型アップデートがなければそろそろモチベーションが低下してきそうな予感がしています。

ドラゴンクエストライバルズ

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 2017年11月2日から配信開始。ドラゴンクエストのデジタルカードゲームです。

 シャドウバースにハマっている僕からするとこのゲームのリリースは大きな事件でした。シャドバよりも楽しかったら移籍することを考えていたぐらいです。ただ今のところ僕の中の優先度ではシャドバを超えられてはいません。

 ドラクエ11を直近でプレイしていたとはいえ、昔のナンバリングタイトルをあまりプレイしていない自分としては、ドラクエ要素で熱くなることがありませんでした。加えて、シャドバと比べると1試合がとても長いので、時間をとられてしまうところもあまり積極的にプレイできていない原因かなと考えています。今年はやりたいゲームがたくさんあったのも逆風でした。PC版を開発中とのことで、それがリリースされたら少し変わるかもしれません。シャドバはPCでできるのも良いところです。

どうぶつタワーバトル

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 2017年の秋頃からにわかに話題になり始めた対戦ゲームです。ある意味今年を代表するゲームだったのかもしれません。

 SNSの口コミを通じてこのゲームが流行っていく様子をリアルタイムで見ることができたのがすごく印象に残っています。シャドバをプレイするような対人対戦好きのゲーマーを中心に火がついていきました。

 余計な機能が一切ないため始めたらすぐにゲームに移行する点、SNS映えする面白い絵が撮れるところが時代に合っていたのではないかと思います。ゲーム自体も単純がゆえに面白く、同じような展開には2度と巡り合いません。

 個人開発のゲームがインストールランキング1位をとってしまうなんて夢のある話だなとも思いました。お金をかけなくても、有名IPを使わなくても流行るゲームは作れるということですね。

ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン

ポケットモンスター ウルトラサン

ポケットモンスター ウルトラサン

 

  2017年11月17日発売。つい最近ドラクエ11が終わったので購入しました。

 僕ら世代からしたら新作が出たら買うのは当たり前となっているシリーズ。まだ全然プレイできておらず今の段階で特筆すべきところはないのですが、ドラクエとは一味違ったわくわく感があって、どんなに形が変わってもポケモンポケモンだなと感じながらプレイしています。 

 

  今年もゲームでたくさん楽しませてもらったなあと思う割にはタイトル数はそんなに多くなかったです。1作1作が粒ぞろいの傑作ばかりだったので、濃密なゲーム体験になっていたと思います。

 年末商戦が落ち着いたところで各社の来年のラインナップが徐々に見えてくると思います。来年もSwitchの勢いは維持されるでしょうか。動きの早いソシャゲ業界に何か大きなムーブメントは起きるでしょうか。e-sportsの普及に向けて着実に歩を進めることができる1年となるでしょうか。

 また来年、同じように振り返りたいと思います。

 

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その他、ゲームについて

【映画評】実写版鋼の錬金術師 アルの表現に気を取られて雑さが目立った

しばらくネタバレなしです。

 

 

 

 

 原作ファンが涙を流すほど酷いという口コミさえ見かけたこの作品。そこまで言わしめた作品が、いかほどのものなのか気になったので観てきました。実写版鋼の錬金術師

 アルフォンスの鎧の表現に気を取られて粗雑な部分が目立った、というのが僕の抱いた感想です。アルフォンスのCG表現に目途がついたので実写化に踏み切ったという趣旨の発言を、監督さんが何度かしているのを見ました。仰る通り、動く鎧の表現は見事としか言いようがなく、場面場面に違和感なく溶け込み、そこにあるかのように他の物体と触れ合っていました。CG技術の発展は凄まじいなと思いました。

 でも、アルフォンスだけが上手くいっても、映画として素晴らしいものになるわけではありません。それ以外の部分が、どうしても粗末に見えてしまいました。とても残念です。

 興行成績はずば抜けたものにはならないでしょう。結果が出ないと多くの関係者は損をするはずです。原作者の荒川先生はこの実写化に満足しておられるのは救いです。

 僕は原作ファンとして悔しい。あんなに素晴らしい漫画作品の良さが、いまいち引き出せていないと思ったからです。あの素晴らしさをもっと多くの人に伝えられるきっかけとなるべき実写映画が、「あんまりおもしろくなかった」という評価に沈んでしまうのは、あまりにも悔しいのです。

 失敗してもいいから数を撃て。それは企業の戦略としてとても正しいものではあるのですが、やはりこの映画を観ると「安易な漫画実写化はNO」という姿勢を僕はとらざるをえないなと思いました。

 

 

 

 

 

ここからネタバレを含みます。

 

 

 

西洋が舞台の映画を日本人俳優だけで実写化するな

 まずは定番どころから。やっぱりどう考えても無理があるのです。鋼の錬金術師はヨーロッパをイメージした舞台で繰り広げられる作品です。主人公をはじめとした多くの人物が、西洋人をモデルに描かれています。それを日本人の俳優さんだけで実写化するのは厳しい。テルマエ・ロマエ阿部寛さんだからできたのです。ハリウッドでさえホワイトウォッシュでずっと揺れている。銀魂は日本の話だからうまくいったのです。

 何が問題かって、主人公のエドに一番違和感があることです。山田涼介さんを批判しているのではありません。彼の演技は悪くないと思いました。日本人の顔に、後ろ結びの金髪が自然にマッチするわけがないのです。コスプレ感が一番際立ってしまっていました。

 もう1つ、冒頭のエドとアルの幼少期の姿もかなり厳しかった。その辺にいる日本人の小学生が、金髪のカツラを被ってお遊戯しているようにしか見えない。僕はこれで出鼻を完全にくじかれました。

 ラスト、エンヴィー、グラトニーの特殊メイクはクオリティが高かったと思います。ヒューズ中佐もなかなかキマっていました。ロス少尉は個人的にはハマリ役だったと思います。主人公の脇を固めるキャラクターは比較的違和感が少な目だったので、余計に主人公が悪目立ちをしてしまっていました。当然エドが写っているシーンが一番長いので、これは厳しかった。

 主人公にネームバリューのない俳優さんは使えない。それはよくわかります。だからこそこの実写化は慎重に検討してほしかった。いま、旬の俳優さんでエドにハマる人がいるのかと。何度もいいますが山田涼介さん自身は悪くなくて、キャスティングにそもそも無理があったと言いたい。

2時間映画でやれるストーリーではない

 僕がハガレンという漫画が大好きな理由の1つに、1巻の頭から最終巻の終りまでがすべて一本の線で結ばれていることがあります。どのエピソードも最後の結末への布石であり、無駄な出来事は1つも起きません。連載を伸ばすために脇道にそれません。それでいて27巻というボリュームになっているので、1巻1巻が非常に濃密になっている。

 だから、2時間という尺で原作に沿った映画脚本を作ろうとすると、どうしても無理が出ます。すべてのエピソードが繋がっているので安易なところで切れませんし、黒幕を明かそうとすると最後の方の話まで展開せざるを得なくなる。「◯◯編」のように話が切れている漫画でないと、実写化には向いていないと思います。

 それでいて今回鼻についたのが、原作をなるべく再現しようとしているところ。あのシーンもこのシーンもいれたい!という熱い想いが痛いほど伝わってきて、余計に切なくなります。気持ちはとてもわかるのです。「勘の良いガキ」のくだりとか、原作を読んでいなくても知っている人がとても多いシーンです。今の時代、入れたら絶対に話題になると思ってしまったのでしょう。切ないです。

 果たして、映画として面白い脚本になっていたでしょうか。2時間で起承転結をきちんと作り、観客を飽きさせず興奮させるストーリーになっていたでしょうか。原作でいうところの2つ3つぐらいの山を1つの映画にまとめているのです。原作の起承転結をそのまま再現していて映画としての起伏がうまく作れていません。

 銀魂の実写映画をこの前見に行ってきましたが、あの作品の場合エピソードがぶつ切りなので、ハチャメチャながらも最後はきちんと締めることができていました。ハガレンの実写化を企画したとき、そもそも映画として面白いものになるかどうかという観点で検討は重ねられたでしょうか。アルフォンスがいけそうだから気持ちが急いてしまった。そう見えてしまいました。とにかく映像化したいという気持ちだけでヒットする映画は作れないと思います。

キャラを魅力的に描くことができていない

 ハガレンが大好きな理由の1つ目はストーリーにあると言いました。2つ目はキャラの描き方にあります。原作を念頭に置かずとも、映画の中のキャラたちは魅力的な人物として描かれていたでしょうか?脚本と相まって、ここが上手くいっていなかったので引き込まれる映画作品になっていないと思いました。

 まずはひとりひとりのキャラの立体感。

 例えば、この映画で描かれるウィンリィは、ただただ元気で明るく可愛い女の子で、ピンチのときには主人公に守ってもらうだけのか弱いヒロインに見えてしまいます。それは1つの側面ではあるのですが、彼女は機械鎧オートメイル)の技術にかけてはゆずれない誇りを持っており、エドの立派なサポーターとして対等かそれ以上の立場からエドを見守る強い女性です。機械オタクである設定を出せていないことは時間の都合上しょうがなかったかもしれませんが、そういうキャラの立体感が失われ、一面性ののっぺりとした個性で塗られてしまっていたのがとても残念でした。

 マスタング大佐も、この映画だけ見ると単なる冷静で優秀な切れ者にしか見えない。お茶目な一面を持ちながらも、上に昇り詰めるという強い覚悟、そしてそのために非情な人間になろうと必死に努力し、ときに弱さを見せてしまう自分を自覚している。そういう立体感があるからこそ、ロス少尉の変装を見破るエピソードが活きますし、彼がヒューズ中佐のためにブチ切れるのにはぐっときます。

 もう1つキャラの描き方で気になったのは、キャラ同士の関係性。

 エドとアルとウィンリィは幼馴染で、いつも一緒の3人トリオ。そんな描き方がされているように感じましたが、僕が原作ですごいなと思うのが、エドとアル、エドウィンリィ、アルとウィンリィにはそれぞれのドラマがあるところ。決して一緒くたにはできない感情の動きがあり、個別のペアについて丁寧に描き出しているところです。

 別の例で言えばホークアイ中尉とマスタング大佐。ホークアイはツンツンとしていて周りにあまり気を許さないクールなキャラ。マスタング大佐に対してはいつも厳しめにあたる人。だけどマスタング大佐のことを誰よりも理解し、大切に思っているので、マスタング大佐のピンチにみせる表情は魅力的になる。しかしこの映画のホークアイはただのお付きの人にしか見えない。ほんの少しセリフや立ち振る舞いを工夫するだけで、良くなったと思うのに。

 そういう、この二人だからこういう表情や行動になるよね、というところがどうも雑に扱われているようで悲しかったです。

 俳優さんたちは、そのシーンにおける最高の演技をしていたと思います。ですが、このキャラはこの場面では実はこういうことを考えていて、それがちょっとだけ表情に出てしまう、といった立体感のある指示は入っていなかったのではないかと思います。神は細部に宿る。こういう細かいところが気になってしまう作品でした。

終わりに

 要素要素はいい線に到達しているものの、全体的に雑さが目立ってしまい、僕の中でのトータルの評価は低い作品でした。映画を観て少しでも原作に興味を持って頂いたのであれば、最初の1巻だけでもいいから目を通してみてください。映画にはなかったコミカルな部分など、漫画ならではの良さがたくさんあります。

 

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鋼の錬金術師(1) (ガンガンコミックス)

鋼の錬金術師(1) (ガンガンコミックス)

 

 

その他、映画の感想。

 

アズールレーンはライトユーザをイライラさせないから流行っていると思った

 今更ながらアズールレーンにハマってしまいました。話題になっていたのでちょっと眺めてみようと思いダウンロードしたがきっかけなのですが、こんなに夢中になるとは。クラッシュロワイヤル、シャドウバース、ドラクエライバルズ、スプラトゥーン2などの対戦ゲームを最近ずっとプレイしていたので自分自身とても驚きました。

 中国の会社が開発していることもあって、アズールレーンゲームデザインは既存の国産ソーシャルゲームと比べて少し独特な作りになっています。自分の勉強も兼ねて、なぜこのゲームが流行ったのだろうかというお題で文章を書いていきたいと思います。

 ガチャのSSR排出率が7%と高い設定になっていることがこちらのインタビュー記事で話題になっていましたが、それが流行っている直接の原因ではないと思います。ガチャを当たりやすくするだけで人気が出るほどアプリゲームは甘くないはずです。「ゲーム全体を通してライトユーザをイライラさせないように徹底していることがヒットの秘訣」というのが僕の仮説です。以下の6つの観点から根拠を書いていきます。①SSRキャラ ②装備 ③ランキング ④スタミナ ⑤シューティング ⑥周回プレイ

 自分がハマっているゲームのことを書くのでこのゲームの素晴らしさばかりを書いていくのですが、あくまでライトユーザにとって親切な作りになっていますよという趣旨の話をします。ヘビーユーザから見たゲーム性はまた別の話です。

 この仮説を抱くようになったきっかけの1つにアズールレーン公式 (@azurlane_staff) | Twitterに寄せられるリプライの質があります。一般的にソーシャルゲームの公式アカウントには罵詈雑言ばかりが飛んでくるのですが、この公式Twitterには感謝や労いのコメントばかりが寄せられています。面白いですよね。

⓪前提:アズールレーンとは

 概要を簡単に。アズールレーンは中国の会社が開発・運営を行っているソーシャルゲームです。中国国内の運営を担っているのはビリビリ動画という中国版ニコニコ動画のようなサービスを作っている会社。Yostar, Inc.という日本の会社が日本でのローカライズと運営権利を認められ、日本版が遊べるようになっています。

 ゲームは横スクロールのシューティングゲーム第二次世界大戦のときに実際に戦った戦艦や空母を擬人化させ、史実を下敷きにしながらもゲーム独自の世界観で物語を構築しています。

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SSRキャラの扱いについて

 冒頭でも書きましたが、ガチャの中で一番レアリティが高いクラスであるSSRの排出率が7%に設定されていることが話題になりました。他のゲームのガチャにおいて、SSRに相当するアイテムの排出率は0.1%以下のオーダーであることが多いです。7%は破格の数字です。実際自分が遊んでいても、よく当たるなあという印象は持ちます。

 念のため補足しておきますと、SSRの中でもキャラが10体ほどいるので、1種類のSSRキャラに狙いを絞れば単純計算で確率は10分の1程度になります。それでも十分高い方ですが。

 ただ、アズールレーンのガチャ設計が他のゲームと違うのは確率だけではありません。トータルの設計が独特で、かつ全体として調和のとれたものになっています。

 SSRキャラは当然他のキャラに比べて非常に強いです。しかし、始めたばかりのライトユーザが序盤で「SSRキャラが欲しくて欲しくてたまらない状態」には陥らない難易度設計になっています。キャラの個性よりもパラメータの高さが重要な設計になっているので、そこそこのキャラを手に入れたらあとはこつこつレベルを上げて数値を高くしていけば、序盤は苦労せずに進める設計になっています。「このキャラがいないと勝てない」というステージは基本的にはなくて、勝てないステージにぶつかったらレベルを上げるというのが基本のゲームサイクルになります。

 逆にSSRキャラを使用するとスタミナ消費が大きいので、スタミナの保有量や入手量が少ない序盤ではデメリットになるぐらいです。面白い設計だなと思います。

 もう1つのポイントとして、ガチャチケットが通常プレイで手に入るというのも注目すべきところです。こまめに遊んでいれば1日でガチャを1, 2回引けるぐらいのチケットがコンスタントに集まるようになっています。

 ライトユーザのゲーム体験として、そこそこのレアリティのキャラを使って序盤を攻略しているうちに、高いSSR排出率と豊富に手に入るガチャチケットによって徐々に資産が集まってくることになります。序盤を抜けるとSSRキャラが欲しくなってくるのですが、欲しくなってきたときにほどよくキャラが手元に揃っている感じになります。

 「このキャラがいないと勝てないステージがある」「もっと強くなるためにはSSRキャラが絶対に必要」というような難易度設計のゲームでは、SSRを引けなかったときにユーザは非常にストレスを感じてしまいます。これを排した結果、アズールレーンではガチャがライトユーザの不満の対象になりにくくなっています。

 上記の理由からリセマラが必要ないゲームと評されることが多いです。普通にゲームを始めてコツコツ毎日プレイしている方がマシで、リセマラする時間はもったいないという言い方がよくされます。

②キャラではなく装備がエンドコンテンツになっている

 SSRキャラが簡単に手に入ってしまうと、すべてのプレイヤーが持っている資産が均質化してしまい、ライトユーザに対してヘビーユーザの優位性が出ません。アズールレーンでは、主砲や副砲、魚雷や爆撃機などの装備をキャラに装着して戦います。その装備がヘビーユーザのためのエンドコンテンツになっています。

 装備にもそれぞれレアリティがあり、最もレアリティの高い装備は手に入れるのはかなり大変です。同じステージを百周以上しないと手に入らないものもあります。その分リアリティが高いほど装備は非常に強力になります。キャラのレベルは比較的簡単にカンストするので、その後はいかに強い武器を作るかの勝負に移行していきます。

 キャラは1体手に入れば最低限OKなのですが、装備は装着したいキャラの分だけ作る必要があるので、ものによっては複数必要になります。欲しいキャラの大半を手に入れたヘビーユーザが最後に求めるエンドコンテンツは、このゲームの場合装備になっています。

 しかしライトユーザには装備の重要さをあえて意識させないようになっています。序盤はとにかくキャラが欲しくなりますし、上に書いたようにSSRキャラも入手しやすいのでその欲求は叶えられやすいのです。キャラは可愛い女の子ですが装備はかなり味気ない見た目なのでライトユーザが欲しがるのは間違いなくキャラの方。キャラで釣られて、装備で沼にハマる。そんなサイクルになっています。

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③ランキングはあるが限定アイテムがない

 ランキング機能はほとんどのソーシャルゲームに搭載されているでしょう。ランキング上位に入ると特別な報酬をプレゼントすることでユーザ間の競争を煽り、課金収入に繋げていく重要な機能です。

 アズールレーンにもランキング機能はあり、上位入賞者にはプレゼントがあるのですが、もらえるアイテムは限定品ではありません。ヘビーユーザであっても上位入賞を目指さない人がいますし、もちろんライトユーザも上位入賞しなくてはならないという義務感をほとんど感じません。「ランキングに頑張って挑戦しよう」というふうに煽られることもないです。始めたばかりのライトユーザはランキングの上位に入れないことぐらい百も承知なのですが、限定アイテムがもらえないとなると蚊帳の外にいるような感覚を味わいストレスを感じるもの。このゲームではそれがありません。

 ランキングに挑戦するときはスタミナを使用せず、一定時間で回復する全ユーザ平等のチケットを使うのも面白いところ。ランキング上位に入るためにスタミナに課金することができず、純粋に自分の艦隊を強くしていくしかありません。中級者が頑張って課金して上級者に勝つということがシステム上起きないので、ユーザが疲弊しません。

④スタミナシステムは普通だがバッファがある

 スタミナの上限、回復量、消費量あたりは特筆すべきことはないと思います。上限に対して消費量が少ないかなと思うことはありますが、世の中にはたくさんゲームがあるので比較が難しいところです。

 面白いなと思ったのは、時間で回復するスタミナについては貯蔵プールが別にあって、一時保管のバッファとして機能するところです。(他のゲームにもあるのかもしれませんが僕は初めてみました)スタミナがマンタンになっていると、早く消費しなければと焦りを感じるものですが、貯蔵庫が別にあるのでそのような焦燥感を感じる状況に追い込まれにくくなっています。イライラを減らす良い機能だと思います。

 スタミナに相当する「燃料」というリソースは、ほぼステージに挑戦するためだけに使われます。その他の要素と用途が被っているゲームもありますが、きちんと分けられています。

⑤パラメータで戦うシューティングゲーム

 世の中には、敵弾に1回でも当たればゲームオーバーになってしまう厳しいルールのシューティングゲームもありますが、アズールレーンはそうではありません。弾に当たっても大丈夫。集中力は要求されません。電車の中でも気軽にできます。

 重要なところは、プレイヤースキルを要求されているように見えにくいところです。勝てないステージに当たったときは、パラメータを高くすれば勝てます。逆に数値が足りなければどんなにシューティングがうまくても勝てないようになっています。それがライトユーザにも直観的に分かるので、「負けたのは自分が下手だったから」と感じにくくなっていて、負けたとしてもストレスがたまりません。「レベル上げを頑張ろう」と思えます。

 パラメータが十分高ければ、敵の弾幕に突っ込んでいってこちらの砲撃で真っ向からねじ伏せることもできます。既存のシューティングゲームではあまり味わえない爽快なゲーム体験だなと思いました。

 オートモードも実装されているため、余裕で勝てるステージでわざわざ操作しなくてはいけないというストレスもありません。

 かといってゲームシステムが単純すぎるというわけではなく、キャラ、装備、編成によって操作感はけっこう異なってくるので、自分好みの艦隊を作り上げるはなかなか楽しいです。

⑥番外:お金ではなく時間をささげる周回プレイ

 ライトユーザのことだけ書くと冒頭で宣言しましたが、ここに触れないのは本質を分かっていないと思われそうなので最後に。ある程度ゲームを進めたユーザが取り組むことになる周回プレイについてです。

 SSRキャラの中にはガチャでは入手できず、ステージをクリアしたときに低確率で手に入るキャラがいくつか用意されています(加賀と赤城が代表格)。手に入れるためには同じステージを延々と「周回」しなければなりません。

 SSRキャラだけでなく、前述のレアリティの高い装備、イベント用の特別ステージも周回を余儀なくされる設定になることが多いです。周回には時間とスタミナが必要です。エンドコンテンツなのでこういう要素がないとそもそもやることがなくなってしまうのですが、スタミナには課金ができるため、ガチャでお金を取らない分こちらでお金を取りに来ているという見方もできます。時間も同時に使うことになるため、お金だけ使うガチャの方がまだマシだという人もいます。 

 一般的に基本プレイ無料のゲームの課金ユーザの割合は数%のオーダーです。ヘビーユーザからしかお金は獲れません。彼らにどうやって課金してもらうかを考えたときに、アズールレーンでは周回がターゲットになっている。そちらの方が全体として最適になると判断されたのでしょう。

 ライトユーザのうちは無課金で十分楽しむことができるゲームです。そこから先の扉を開けるかどうかはユーザに委ねられています。

終わりに

 現在の結果だけを見れば、アズールレーンゲームデザインは成功しているといえます。口コミで広がった高評価によりユーザ数は伸び続け、一部のプレイヤーは嬉々として課金をしています。ですが、このモデルが数年間にわたって売り上げを高い水準で保ち続けるかどうかは誰にもわかりません。日本版はサービスを開始して間もないですから。ゲーム会社の人間として、そしてひとりのユーザとしても、今後がとても楽しみです。

 

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その他、ゲームについて考えたこと。