理系院卒のネットワークなブログ

意外なところに「つながり」ってありますよね

ベトナムのぬいぐるみ工場を視察してきました

 僕は現在ゲーム会社でグッズ制作の仕事をしています。自分の企画した商品を作ってもらっているぬいぐるみ工場を視察することになり、ハノイホーチミンに出張に行ってきました。

 印象に残っているのは工場のラインで働く工員さんたちの姿です。劣悪な環境で単純労働をさせられている悲惨な姿を見ることになるのかもしれないと不安だったのですが、全くそんなことはなく、むしろ僕よりも幸福度の高い生活を送っているのではないかと感じてとてもびっくりしました。

 

 東京からハノイ空港に飛びました。日本からは6時間ほど。東南アジアに行くのは初めてだったのですが、意外と時間がかかるものですね。ハノイ空港はなかなか近代的な空港でした。

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 工場へ向かう

 この日はそのままホテルに直行し、翌朝工場へ向かいます。

 噂では聞いていたのですが、バイクの多さには本当に驚きました。バイクの川の中を車が泳いでいるような感覚でした。運転の難易度がとても高く、車はつねにクラクションを鳴らして、バイクに自分の位置を教えてあげていました。やはり事故はかなり多いようで、滞在中に事故現場に遭遇することもありました。

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 バイクに乗っている人が全員車に乗り換えたら、渋滞どころの騒ぎではないでしょう。バイクは効率的なんだなと思いました。

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 中学生ぐらいの若者。おそらく通学中なのだと思います。遠くから通っているのでしょうね。

 

 工場はハノイ市街から2時間ほど車で移動した田舎にあります。

 田園の中を車で突き進んでいきます。ハノイ市街には韓国系の企業が多く進出していて、日本の都市でみるのと変わらない光景が広がっていました。しかし、田舎に入ってくるとどんどん様子が変わっていきます。

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 高層ビルなど1つもなく、道路沿には屋台のような商店が立ち並びます。日本の田舎とは全然違う、別世界の風景。車から降りなかったのできちんと写真が撮れなかったのが残念なのですが、まるで映画やアニメの世界に迷い込んだような感覚でした。車の中からシャッターを切りまくっていました。生活で必要なものをお互いが融通しあうことで回っている経済。資本主義にはまだ侵略されていない姿でした。

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 スコールの直後の街。大量の荷物をバイクで運ぶ姿が本当にたくましい。

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工場を見学する

 工場に到着し、実際に稼働中のラインを見学させてもらいました。企業秘密なので写真はなしです。

 製造業の現場はIT化やロボット化が進み、かつてのようにたくさんの工員が働く現場ではなくなっていると聞きます。しかし、ぬいぐるみはオートメーションに向いていません。縫う箇所が商品によって全然違っており、1種につき多くても数万個の単位しか量産しないからです。

 なのでぬいぐるみ工場のメインの部分は、何百台というミシンに向き合う何百人もの工員さんが、手作業でぬいぐるみを作っているところです。生地から型紙通りに部品を抜き出し、その布を縫い合わせ、綿を詰めていきます。

 話には聞いていましたが、実際に自分の目で見るのは初めてでした。自分が普段仕事のなかで、「こんなぬいぐるみを作りたい」をメーカーに依頼をかけたものは、こうやって1つ1つ手作業で作られているのだと。

 遠い異国の地で、このキャラクターが何者なのか知らないであろう工員さんたちが、僕の企画した商品を作っている。ぬいぐるみ生産において、もっとも気を付けねばならないのは折れたミシン針の混入です。工員さんたちは細心の注意を払いつつ、効率的にぬいぐるみを仕上げていました。工場とはそのようなものであるとはいえ、畏敬の念を抱かざるを得ませんでした。

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 2000名の工員さんがみんな原付バイクで出勤するので、駐車スペースが圧巻の見応えでした。

 ベトナム発展途上国にカテゴライズされるのかは知りませんが、東南アジアの工場の現場と聞くと、劣悪な環境で働かされている人々というイメージがどうしてもついて回りました。しかし実際に工場の様子を見てみると、そのイメージは払しょくされました。

 工場のなかはいたって清潔。工員さんたちは完璧にマニュアル化された業務を淡々とこなしていました。休憩時間もしっかりきまっており、お昼ご飯を食べるとお昼寝タイムがありました。残業がないように製造スケジュールが管理されているので、夕方には家路につきます。

 欧米の企業を中心に、CSRの一環として工場の労働環境の改善を図る動きが盛んになっています。ぬいぐるみ業界においても、D社という絶対的なトップ企業がありますから、D社の仕事を受けている工場は徹底されている印象でした。

 もちろん、僕が見に行った工場が恵まれているだけで、ひどい工場はいくらでもあるのかもしれません。少なくとも、視察した工場の工員さんたちは、割と楽しそうに働いていたのが印象的でした。

 ど田舎なので、工場の周りには民家しかありません。工員さんたちは陽が昇るとともに起き出して原付バイクで工場に出勤し、陽が沈む前に家に帰るのです。街頭があまりないので、夜は真っ暗。家でゆっくり過ごすのでしょう。上で書いたように自給自足に近い経済のサイクルですので、ご近所さんと協力しながら日々生活をしているのだと思います。

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水路でものを運搬する人々。

 

 それに比べて僕の暮らしはどうでしょうか。朝から満員電車に詰め込まれ、深夜まで働き詰め。仕事は人間関係のトラブルやお偉いさんに気を使いっぱなしのストレスフルなもの。ベトナムの工員さんたちの方がよっぽど人間的な暮らしをしているのではないかと思いました。

 もちろん、工員さんたちは経済的に貧しいです。先進国ほど文明の利器も活用することなく、あの村から出ることなく一生を終える人も多いのだと思います。日本は経済的に豊かな国です。僕が仕事の一環として飛行機でベトナムに行かせてもらえるぐらいです。しかし、この経済的豊かさが、1人1人の幸福につながっているのかは疑問だなと思いました。

 「世界一周旅行を経て価値観が変わった」「旅行程度で価値観が変わるなんてダサい」みたいな議論をたびたびネットで見ますが、ぬいぐるみ工場は自分の仕事にダイレクトで繋がっている分、考えさせられることが多かったです。いまの自分の働き方を今後40年も続けるつもりなのか、考えねばいけないなと思いました。

ご飯とか

 ここからは余談ですが、ベトナムは料理が日本人の好みに近くて良かったです。アメリカ出張では食べきれないほど大きなステーキが出てくるので。

 フォーです。優しい味わいで、麺もつるっとして本当に美味しかったです。出張中何度か食べましたがハズレがないですね。

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 生春巻きと揚げ春巻き。生の方はパクチーたっぷりなので、パクチーが苦手な方は苦労するかもです。いろいろな料理にパクチーが入っているので、好きな方にはたまらないでしょうね。

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 バインセオというお好み焼きのような食べ物。屋台の料理だそうです。右下のライスペーパーに巻いて食べます。こちらも癖のない味わいでした。

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 こちらは視察も兼ねて訪れたHoàng Thành Saigon Squareというマーケット。大量の偽ブランド品が所狭しと売られていました。昔は中国でこのような偽ブランドの取引が盛んでしたが、取り締まりが厳しくなってきたので、いまはベトナムの方が盛んなのではと現地の人は言っていました。

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余談終わり。楽しくて考えさせられる旅でした。

 

 

 海外の旅行記を書いたのは久しぶりでした。出張でアメリカに行っても書くことがないので。。。