理系院卒のネットワークなブログ

意外なところに「つながり」ってありますよね

趣味を語れる場としての2chの崩壊 - ポケモン対戦考察を例にして

「趣味についてじっくり話し合える場所がネットに欲しい」というツイートを目にしました。その方は「多少の罵り合いこそあるものの2chがそこそこ良い場所だろう」との趣旨の発言を続けていました。

 僕の趣味のひとつにポケモンの対人戦があります。ポケモン対戦考察に限った話では、2ちゃんねるでの議論はかつての勢いを完全に失い、建設的な意見はほどんど見られなくなってしまいました。

 共通の趣味についてネットで深く議論できる場所が備えるべき要素とは何なのかを考えてみます。

時代の流れ

 かつてポケモンの対戦考察は2chで活発に議論されていました。4、5年前です。2ch特有の口汚い罵倒や煽りも書かれていましたが、それを含めて僕はロム専として楽しんでいました。対人戦は情報がすべてですから、勝つためには情報を集めなければなりません。有益な情報を仕入れる情報源であると同時に、侃々諤々の議論が交わされる2chは最高のエンターテイメントでした。

 この楽園を壊す大きな要因になったのが、2chまとめサイトの襲来でした。ポケモン愛好家が激論を交わしたログの中から建設的だと思われる部分が抜き出され、まとめブログに転載されるようになりました。アフィリエイターたちは綺麗に作ったそのまとめブログにバナー広告を張り、ポケモンの攻略本などを紹介して儲けるようになりました。2chで転載禁止を謳っても無視され、アフィリエイトを嫌う人たちは2chに書き込むのを辞めました。

 現在ポケモンの議論が盛んに行われているのはTwitterでしょう。Twitterの限られた文字数だけでは足りないという人はブログで持論を展開しています。ニコ動での実況も盛んです。この2、3年の間に多くの人が情報収集の場を変えたのではないかなと思います。活発に交流が行われているのですが、Twitterの議論は後追いしづらいという欠点があります。有益な情報も川のように流れていってしまいます。

 一方で共通の趣味を持つ人のつながりを支援するサービスで一山当てようとする動きが昔からありました。mixiはてなスペース、Findというサービスもあります。今も一定数の人はいそうな様子ですが、ポケモンの議論のレベルは低いです。大多数を巻き込むプラットフォームにはなっていません。

何が求められているのか

 その匿名性により、2chの発言は特定の個人に結びついておらず、転載されても泣き寝入りする(せいぜい語尾にアフィと入れる)しかありませんでした。また匿名性は低レベルな意見や暴力的な発言の元にもなっています。これらを解決するには①記名方式(アカウント性)にすればいいのではないかとまずは考えます。

 しかし匿名をやめて解決するならとっくにしているはずです。アカウント制度であるはてなスペースはなぜあんなに過疎っているのでしょう。人が人を呼ぶので流行らなければしょうがないかとは思うのですが、名乗るなら名乗るで今度は権威のあるひとの発言でないとありがたられないのではないかと思います。個人個人に結びついたアカウントがあっても、それがまっさらだと説得力がなく議論が盛り上がりません。アカウントには②バックグラウンドが必要なのだと思います。

 バックグラウンドがあるアカウントってなによ?ってなると、結局SNSのアカウントでいいじゃんってなります。例えばTwitterなら積み重ねてきたつぶやきがありますし、特定の個人を指すアカウントとしての役割を十分に果たせます。だからTwitterでの議論はなかなか建設的になっているのではないでしょうか。しかし前述の通りTwitterは散発的です。自分の気が向いたときに見返すには不便です。だから見やすい③ログ残す機能が必要になります。togetterによるまとめは人力なので手間がかかりますし、恣意的な抽出になってしまう恐れもあります。

 上記の3要件を満たしたサービスを考えるなら、Twitterのアカウントで書き込む掲示板サービスということになります。どうでしょうか。極めて凡人な発想ですね。こんなものはとっくの昔に誰かが作っているのではないでしょうか。

匿名ならではのアツさ

 もしTwitterのアカウントで書き込む掲示板が出来たとしてそこに人が集まるかはわかりませんが、もし参加者が増えたとしても「内輪の慣れ合い」に陥る可能性が考えられます。2chは相手の姿が見えないからこそ、自分の意見を堂々と表明できました。しかし相手の顔が分かっている場合、遠慮がちな意見が多くなったり、わいわいやっている当人たちが楽しんでいるだけで、外から見ていて面白くなくなってしまうかもしれません。2chには匿名ならではのアツさがありました。

 ブログが浸透してきている現在、匿名で熱く語るのはもう時代遅れになってしまったと僕は考えます。心血を注いだ考察があるのなら、匿名で2chに書くよりもブログに書いてアクセスを稼ぎたいと思う人が多いのではないかと思うからです。ブログで小遣い稼ぎできるということを大勢の人が認識するようになりました。それはプロブロガーさんたちが道を切り拓いてくれた功績であり、罪でもあります。

 自分の趣味をお金稼ぎのダシにすると何かが壊れる気がします。本来趣味はお金を使う対象のものだったのに、お金を稼ぐ源泉だと考える人が増えたのではないでしょうか。2chには匿名ならではのアツさがあったと書きましたが、匿名での書き込みは見返りのない行為です。純粋なる議論です。承認欲求すら満足に満たされなくても、趣味について語り合うことが好きな人が盛り上げていた舞台だったのかもしれません。そしてそんな人はもうインターネットにはいないのかもしれません。

終わりに

 いろいろ考えてみたのですが、今存在しているものが現在最良の形であることは間違いないでしょう。2chには(ポケモン考察に限っては)問題点があったので廃れてしまいました。それだけのことです。頭の切れる人たちは、僕らが思いもよらない手法で僕らのニーズをくみ取り、技術の進展を上手くとりこんで、世の中を席巻する新サービスを作るのでしょう。それがなるべく早く登場してくれることを願います。

 

 

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