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理系院卒のネットワークなブログ

意外なところに「つながり」ってありますよね

働かない働き蟻に意義があるように、酒癖の悪い後輩にも意義がある

読書

 唐突ですが、大学生のサークルとアリの社会性の話をしようと思います。

サークル合宿にて

 先日、サークルの合宿に行ってきました。最近は研究と就活に追われているのですが、なんとか都合をつけることができました。誘ってくれた後輩に感謝です。春の合宿はこれで4回目になりました。何度行っても楽しいです。良い気分転換になりました。

 ただ、100%楽しい要素だけで合宿が構成されていたわけではなくて、なんだかなぁとうんざりすることもありました。その一つが宴会の乱れ具合です。「乱れ」というのは当然男女の間のことでありまして、人前でベタベタベタベタする後輩たちにげんなりしました。彼女持ちの男を誘惑する女の子を遠目に見ながら、酔いつぶれて意識も定かでない女の子にキスを迫る男を蹴飛ばしながら、先輩がいたころはこんなことなかったのになぁなんて考えていました。とは言いつつ基本的には楽しく飲んでいたのですが。

働かない働き蟻の話

 次の日。ふと、最近読んだ本を思い出しました。社会性を持つ昆虫の研究をしている著者が、アリやハチの社会を切り口に生物の進化にアプローチする内容です。

働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)

働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)

 

 本書で触れられていることなのですが、動物の本能の中枢には自己の遺伝子を最大限後世に伝えるという大目標があると考えられています。だから、宴会で異性を追い求める彼らの行動はきちんと理にかなっている行為と言えます。むしろそれを足蹴にする僕の方が動物として間違っているんじゃないか。そんな自嘲的な考えも思い浮かぶぐらいです。しかし、この本の内容をもっと深読みできるかもしれないなと考え始めました。

 タイトルの「働かないアリに意義がある」とは、「働き蟻の7割は働いていない」という有名な事実を示したものです。なぜサボるアリがいるのか。どのアリも全力で働いた方が良いに決まっています。しかし著者はある仮説を立てて、それを実証しようとしました。

 詳しくは本書を読んで頂きたいのですが、著者は次の2パターンをシミュレーションで比べました。1つは、7割がサボる場合。もう一つは、働き蟻がみんな働き者だとして、まったく同じペースでバリバリ働く場合。当然、みんながバリバリ働くほうが効率が良いと思いますよね。しかし、長期的なスパンで、巣全体として効率を見てみると、7割がサボっている方が結果が良かったのです。

 そもそも働いていない働き蟻は働きたくないわけではなく、刺激に対する反応の閾値が低いのだそうです。つまり働かない働き蟻は、閾値を上回る仕事量が降ってきた時にだけ動き出すアリ、と言い換えることができます。彼らが巣にいることによって、やるべきことが増えた時にも巣全体として対応できるようにしているわけです。全員が同じペースで働いてしまうと同じタイミングで疲労してしまいますから、卵の世話ができなくなるなど、巣が致命的なダメージを負ってしまうことがあるのです。

 個々の昆虫の小さな脳では実現できない柔軟な働き方を、群れ単位でシステム化しているのです。ここで鍵となっているのは「サボっている」ということではなく、「個性を活かしている」ということですね。いろんな蟻がいるからこそ、様々な環境を生き抜いて、巣が次世代へと受け継がれていくわけです。

サークルにいる意味

 アリの群れを僕のサークルに置き換えてみました。アリ達の究極目標は巣の存続です。僕達にとっても、サークルの存続はやらなければならないことのひとつです。サークルが滅亡するときがどんな時かと考えると、新入生が集まらなくなるときです。次の代へとバトンを受け継ぐことができなかったときです。新入生が「このサークルに入りたい」と思ってくれるかどうかが重要なわけですが、そのきっかけとして、先輩の人間的魅力というのは重要なファクターだと思います。

 そこで今回の合宿を思い返してみると、酔っ払って大声で叫びまくってるヤツ、早々に潰れて寝てる人、全く飲まずに隅っこでお話している人もいたわけです。イチャイチャしている奴らがやたらと印象に残ってしまったわけですが、注目すべきはそこではなくて、いろんな人がこのサークルにはいるんだなという点だったのかもしれません。働かない働き蟻が存在する理由は、アリが個性を持つことで集団としての柔軟性を実現しているということでした。その考え方を適用してみるわけです。

 働かない働き蟻が巣の危機を救うように、酔ってイチャイチャする人間、酔って暴れまわる人間に魅力を感じてサークルに入ってきてくれる新入生もきっといるだろうと考えたら、なんだか後輩がみんな愛おしく思えてきました。お前らがいろんな魅力を持っているから、この先もこのサークルは大丈夫だ、というわけです。画一的に真面目なやつらしかいなかったら、組織はスムーズに回るかもしれませんが、長期的に見ると危ういのではないかと思うのです。

 同時に、僕がこのサークルにいる意味も見いだせます。一歩引いて飲みの席を見てしまう自分と同じタイプの新入生が来てくれた時、僕はその子と仲良くしたいと思います。酔っぱらいを介抱しながら、襲われている女の子を助けつつ、「うるさいけど、楽しい奴らだよ」なんて言いながら。

 

そのほかサークルの話。

ytera22.hatenablog.com

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