理系院卒のネットワークなブログ

意外なところに「つながり」ってありますよね

ラブプラスVRが本当のVR時代を切り拓く予感がしたTGS2017

東京ゲームショウ2017(以下TGS)のビジネスデーに行ってきました。今年一番の衝撃はコナミのブースのラブプラスeveryでした。ポケモンGOがARという技術を大衆化させたように、ラブプラスはVRを大衆化させるかもしれない、とさえ思った話をします。

ラブプラスeveryとは

ラブプラスは、もともとニンテンドーDSで発売された恋愛シミュレーションゲームのシリーズです。女の子を一人選び、その子と最初からずっと恋人同士で、その日常が続いていくという設定。女の子を「攻略していく」一般的な恋愛シミュレーションとは一風変わったシステムが話題を呼びました。

今回のTGSで展示されていたのでは、今年の冬にリリース予定のスマホアプリ版。最大の特徴はモバイルVRに対応している点です。普通のスマホアプリとしても遊べるのですが、一部モードではスマホをVRゴーグルに装着することで、お手軽にVR体験を楽しむことができます。

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TGSブースでの体験

TGSラブプラスブースでは、参加者は個室に通され、スマホ、VRゴーグル、ヘッドホンを用いてラブプラスeveryのVR部分を体験できます。個室には学校で使っているような一人用の机が置いてあります。高校生の恋人同士という設定のラブプラスを盛り上げるためのただの演出だと思ったらそれだけではありません。

VRゴーグルを装着した瞬間、自分は高校の教室にワープします。現実世界で自分が座っていたものと同じ机に、仮想世界の自分も座っている。たったこれだけの工夫で、一気にこの世界に引き込まれてしまいました。

また、ブース設計も一工夫されていて、どの個室においても机に座ると右側に出口があるように作られています。これもゲーム内での教室の配置と一緒。主人公は黒板の方を向いていて、向かって右手に教室の出入り口があり、女の子もそこから出入りするのです。

VRの操作に慣れるためのチュートリアルが少しだけあって、女の子が登場。「まるで現実世界と見間違うような」とまで言うと誇張になるのですが、音響効果も相まってそこに人がいるかのような臨場感は味わえました。女の子が顔をぐっと近づけてくるシーンでは本当に息遣いが感じられるかのようでドキドキしました

あっという間に体験時間が終わってしまったのは、体験版が短かったからか、それとも没入しすぎて名残惜しかったからか。最後では女の子が教室から出て行ってしまってシーン終了となるのですが、それが本当に残念に感じられてしまいました。その日一日しあわせな気分で過ごすことができたぐらい、衝撃の体験でした。

僕はゲームで酔いやすい人間なのですが、全く問題ありませんでした。景色が激しく動くものではないからなのかもしれないですね。

何がすごいのか

ここで僕が強調しておきたいのは、VRのクオリティではありません。(さっきまでさんざん女の子との触れ合いが楽しかった話を書いておきながらこんなことを言うと説得力がないかもしれませんが)この製品がすごいのは、VR体験の手軽さです。クオリティの面では当然プレイステーションVRには勝てません。あれはVR専用のゲーム機ですから。価格も雲泥の差です。

だれもが持っているスマートフォン、一枚の段ボールから組み立てられるゴーグル、量産可能なレンズ2枚、どこにでもあるヘッドホン(またはイヤホン)で、すべての男をにやけさせる体験が提供可能な時代になったのです。革命的だと思います。

TGSのブースでは、自分が使用したVRゴーグルはそのまま持って帰ることができます。無料プレゼント。多少コストはかかっていると思いますが、逆に言えばそのぐらいのコストしかかからないものであるということです。一般流通での大量展開が可能でしょうし、PRキャンペーンの無料配布だって可能です。VRを一般に普及させていく過程で一番ネックとなる専用デバイスの普及をどのように行うかという課題を、簡単にクリアできる。

そこに、いままでコナミが積み上げてきたスマホアプリゲーム運営のノウハウが加わります。公式発表の中に記載がないのでどうなるかわからないですが、基本プレイ無料にした方が稼げそうな感触を僕は持っています。多くの人にこのゲームを体験してもらい、お金を投入できる余裕と情熱がある人をターゲットにしていく。女の子にプレゼントできるものを課金アイテムとして売れば、貢いでしまう男性はきっといるはず。VRという点は特殊ですが、普通のスマホアプリとして運営できるでしょう。

そして何よりコンテンツがわかりやすい。彼女といちゃいちゃするだけ。こういうわかりやすさは黎明期には重要で、どんなに機械に疎いひとにもこのゲームでどんなことができるのかが理解できる。そしてVRがどのような技術なのかを身をもって知ることができるのです。

PSVRが発売された2016年がVR元年だと言われるようですが、個人的には大衆に普及した年をVR元年だとした方が良いと思いますし、今年の冬がそれにあたるかもしれないなと考えています。

課題と今後

さて、ここまでさんざんラブプラスによってVRが爆発的に普及するという話を書いてきたのですが、ラブプラスだけではこれを達成することができないと考える理由が1つあります。それは女性を取り込めないということです。ポケモンGOによってARが世間に認知されたのは、男性も女性もプレイしたからだと思うのです。

もちろん、ゲーム業界はその課題をきちんと認識していて、女性を取り込めるコンテンツの開発には余念がありません。TGSでも様々な女性向けVRコンテンツの展示がありました。欲を言えば、ラブプラスと同じタイミングで女性向けのゲームも同発させて、VRゴーグルをどちらにも使えるような形で売り出せると強いなと思います。単純掲載でターゲットが2倍ですから。

ゲーム業界は、次世代を切り開くコンテンツが1つ現れると、各社がそれを模倣して発展してきた歴史があります。パズドラが流行った後にパズルゲームが大量につくられたように、ラブライブがヒットしてから各社がアイドル音ゲーに参入してきたように。ラブプラスが、本当のVR時代を切り拓く存在になる。そんな予感を強く頂いた今年の東京ゲームショウでした。

理系院卒でゲーム関連企業に就職した身としては、このようなムーブメントは冥利に尽きますね。エンターテインメントが技術を発展させていくこともあるわけです。

 

 

その他、ゲームについて考えたこと。

  

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