理系院卒のネットワークなブログ

意外なところに「つながり」ってありますよね

Shadowverseのプレリリース機能がもたらす影響について

 2019年9月7日にシャドウバースが発表した新カードパックの「プレリリース」というシステムがとても面白くて、Cygamesは課金関係に本当に強い会社だなと思ったので書いてみます。 

 

目次

0.プレリリースでどんなことが起こるか(スキップ可)

1.競技者に与える影響

2.ベータテスト

3.カードゲームの原体験

4.2回のお祭りと課金施策

 

0.プレリリースでどんなことが起こるか(スキップ可)

 シャドウバースを普段プレイしている方には当たり前のことを書きますので飛ばしてください。

 シャドウバースでは3か月に一度、新カードパックがリリースされます。対戦のメインルールは「直近で発売された5つのカードパックに封入されているカードを使う」というものなので、1年前に発売されたカードが引退し、それと同時に新規カードが登場することで、新環境への移行が行われます。

 プレリリースでは新環境が早めに体験できる機能です。 

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https://twitter.com/shadowverse_jp/status/1170292341174718464より

 

 課金をすることで最大100パック分の新カードパックを先んじて手に入れることができ、フレンドとのルームマッチと、CPU対戦のみに使用できます。「100パック」というのがプレリリースというシステムの一番の肝です。ここを詳しく説明していきます。

 新カードパックには97枚の新カードが封入されます。1パックは8枚入りなので、課金することで800枚の新カードを購入することができます。

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注1:1パック8枚のうち1枚はシルバー以上確定枠なので、実際はシルバーの期待値はもう少し高くブロンズの期待値は低いですが、シルバーとブロンズは間違いなく全部揃うので無視できます。

注2:スキン付きレジェンドレアカードが2枚封入されるのですが、新カードではなく、封入率も低いので無視できます。

 表を見てわかる通り、18種あるレジェンドレアカードは12枚ぐらいしか手に入らないので、各1枚が手に入るか入らない程度の期待値しかありません。シャドバにおけるレジェンドは、「デッキに1枚入れておけば試合をひっくり返してくれる切り札的カード」ではなく、「試合中に必ず1枚は引きたいメインシステムカード」であることが多いです。最大枚数(3枚)積み込まれることがほとんどです。

 何が言いたいかというと、プレリリース期間は組みたいデッキが完璧には組めないシステムなのです。これを前提に続けていきます。

1.競技者に与える影響

 シャドバの競技シーンの中心的存在は3か月に1度開かれているRAGEという大会です。優勝賞金400万円+優勝賞金1億円をかけた世界大会への出場権をかけた大型大会です。競技プレイヤーはほぼ全員がこの大会で勝つことを念頭にシャドバをプレイしています。

 焦点になるのはスケジュールです。9/19(木)~9/25(水)の7日間がプレリリース期間、9/26(木)~10/4(金)の9日間がRAGEの準備期間で、10/5(土)がRAGEの本番です。プレリリース期間に新環境を体験できるということは、倍近い時間的アドバンテージがあります。

 カードゲームで遊んだことがある方はわかると思いますが、大会の準備はとても大変です。RAGEに出場するには自分が使うデッキを2種決める必要があります。

アーキタイプの比較検討・決定

②マッチアップごとの試合展開の理解度向上

③細かい枚数調整

④毎ターン最適解のプレイを行うための練習

 プレリリースという機能の概要を聞いたとき、「お金で時間を買う」という意味で競技者のためのシステムなのかなと思いました。ただ、0で書いたように満足にデッキが組めないので、③と④までは行えません。デッキの中にノイズがあると意味がないのです。

 カードが完全に揃うことが大事なので、友達と協力しようがアカウントを増やそうが無意味です。いや、正確に言うと確率の話ですので、何十万円とつぎ込めば、目当てのレジェンドレアカードが3枚揃うことがあるかもしれません。

 しかし、それをやるぐらいなら印刷した紙のカード(プロキシと呼ばれます)で試してみればよいだけの話です。お金も時間もかかりません。今もそのようにして新カードパック発売前にデッキを研究している人はたくさんいます。デジタルカードゲームならではのランダム要素はサイコロを転がせばよいだけの話です。

2.ベータテスト

 プレリリースの告知ツイートには、「ユーザにベータテストをやらせるのか」という趣旨のコメントがたくさんついています。

 進行が止まる、挙動がおかしいなどのプログラム的な不具合の発見には貢献すると思います。長い歴史の中で数枚はそのようなカードはありましたが、最近はあまりありません。シャドウバースのデバッグチームの仕事を馬鹿にしているようで、この考え方はあまり好きではありません。(無意味ではないと思っています)

 「強すぎるカードがあればリリース前に能力を調整する気だな」という意見もありますが、シャドバのカードの能力調整はランクマッチの勝率と使用率をもとに決めていて、ランクマッチが開かれないプレリリースというシステムでは基準がありません。基準が不明瞭な能力調整は運営の不信につながります。

 こちらでもいえることですが、40枚のデッキがしっかりと組みあがったときにどのような強さを発揮するかが大事なのであって、レジェンドレアカードがほとんど揃わないような環境でのバトルの勝敗に基づいてカードの能力を調整するなんてことをCygamesはしないと思っています。

3.カードゲームの原体験

 プレリリースの機能が最初に発表された生放送番組で、プロデューサーの木村さんが実装の意図を語っていました。「自分はアナログのカードゲームをプレイしていた。新カードパックの発売日に、購入したパックにたまたま封入されていた新カードを使って友達同士とわいわい楽しみながら対戦するのが好きだった。デジタルカードゲームではカードの生成という機能があり、初日からカードがすべて揃うのでそのような体験ができない。プレリリースによってそういう楽しみ方を提供したい(意訳)」というようなことを仰っていました。

 はじめこのお話を聞いたときは、「そんなの建前に決まっている。競技者のための機能だ」と思ったのですが、1で書いた通りデッキの調整のために最適化された機能ではないので、あながちウソでもないのかもと思い始めました。50パックに制限するとレジェンドがほとんど出ないので、100パックというのも妥当なのかなと。

 Cygamesが表立って使っているロジックなので、さすがに隙はないと思います。ここを攻撃するのは分が悪いですね。

4.2回のお祭りと課金施策

 アプリゲームという観点で見ると、シャドバが一番盛り上がるのが新カードパックの発売日です。アナログのカードゲームでも同じですが、開封式というのは何が当たるかドキドキワクワクして楽しいものです。Twitterには何が何枚当たったというツイートが溢れ、お祭りのような雰囲気になります。

 プレリリースはそのお祭りの先取りになります。Youtubeに動画を投稿する人、実況サイトで実況プレイ配信を行う人、競技プレイヤーは間違いなく課金をして、開封結果をネットに公開するでしょう。

 アプリゲームの課金率は1%-3%と言われています。実際はごく一部の人たちが課金して盛り上がっている状況でも、インフルエンサーの持つ影響力は大きいため、あたかも1回目の祭りがおこなわれているように錯覚してしまうのではないかと思います。それを見ている人たちも、この祭りに参加したい!という気分になって、課金したくなるかもしれません。

 新カードパックの発売日はCygamesにとってもお祭りです。というか、ここしか課金のタイミングがないので、祭りというほど楽しいものではなく、生死を書けた決闘の場とでも言った方が適切でしょうか。

 アプリに課金する人が月あたりいくら課金するかを意味するARPPU(Average Revenue Per Paid User)という指標があります。アプリゲームの場合は3000円ぐらいが標準と言われていますが、プレリリースのお祭りに参加するための課金額は2万円となります。初回となる今月のARPPUは跳ね上がること間違いなしなのではないでしょうか。

 そもそも、シャドウバースはゲーム中で資産をたくさん配ってくれる設計になっているため、毎日コツコツプレイしているほど課金が不要になります。ヘビーユーザーほど課金がいらなくなるというのは、運営側にとっては致命的です。通常はたくさん遊んでくれている人から少しずつお金をもらってアプリを運営していくのに、全くの真逆の状態です。

 プレリリースはヘビーユーザーからお金をがっつり取れる機能として期待されているものと思います。この機能を実装するには今までよりも早く新カードを作らないといけません。開発側も必死でしょう。どのような結果をもたらすのか、プレイヤーとしても、ゲーム開発者としても楽しみです。

 

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 そのほか、シャドバ関連のお話。

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アズールレーン クロスウェーブ感想 -ソシャゲからコンシューマーへの道筋-

全編ネタバレなしで書きます。 

総評

 アズールレーンクロスウェーブ(以後アズレンCW)は「アズールレーンコンシューマーゲーム」としては正解で、ちゃんとファンの求めているゲームを作ったなというのが僕の感想です。一人のファンとして楽しんでプレイできました。

 アプリ版アズレンを遊んでいる人のみをターゲットにしても、十分に元がとれるという判断をしたのだろうと思います。開発費も宣伝費も控えめにしている印象だったので、収支のバランスをきちんと意識したゲーム作りを行ったのだなという印象です。

 結果として、アプリ版のヘビーユーザーたちはこのゲームを楽しんでいます。仲間内でポジティブな口コミが駆け回り、ターゲット層の購買がブーストされています。

 以降ではファンの求めているものがどのように実現されているかを掘り下げます。そして、ソシャゲ発のコンシューマーゲームとしてその結果がどうだったのかについて書いてみます。

アズールレーン クロスウェーブ - PS4

アズールレーン クロスウェーブ - PS4

 

 

アズレンキャラゲー

 まず前提として、アプリ版アズレンは思い思いに好きなキャラを愛でるキャラゲーの側面が強いゲームということを念頭に置く必要があります。アプリ版には300人以上のキャラが実装されています。突出して強いキャラが少数いるものの、そもそも強キャラが必要になるような高難易度のステージがあまり実装されておらず、プレイヤーは好きなキャラを気ままに育てていけるゲームになっています。

バトル

 アズレンCWの一番のウリは、好きなキャラを自由に動かせるようになっている点でしょうか。

 アプリ版は横スクロール2Dシューティングで、プレイヤーはほぼキャラの移動のみを入力します。スマホに最適化された、単純なゲーム性です。

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 一方アズレンCWは3Dシューティングです。キャラを自由に動かし、自分の好きなタイミングでボタンを押して砲撃できるというだけで、アプリ版のファンとしてはたまらなく嬉しい体験になります。操作性は合格点をあげられる出来だと思ったので、触り心地という点でプレイヤーの心を掴めたのは大きかったと思います。

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 他のアクションゲームと比べてしまうと正直貧相です。ガンダムなどのロボット系のバトルゲームと見た目及び操作性は近しいですが、アズレンCWのバトルは上下方向の動きがないので次元が1つ落ちています。敵の種類は人型か船型の2パターンしかなく、またプレイヤー側の戦法も限られているので戦闘は単調に感じます。

 ただアプリ版のファンはシビアでやりごたえのあるアクションゲームを求めているわけではないので、これで良かったのだろうと思います。アプリ版からの飛距離だけを見ればかなり大きいので、ファンの体験としては上々のものになるだろうという判断のもと、このようなゲーム性にしたのかなと思いました。

 キャラの育成や装備品関係は極力アプリ版と同じ仕様になっているのも、ターゲット層を意識した結果かなと思います。

フォトモード

 このモードの存在が特徴的なところだなと思います。アズレンキャラゲーなので、キャラを愛でる機能が喜ばれるわけですね。

 キャラクターの3Dモデルは、お世辞にも素晴らしい出来とは言えません。ですが、せっかく自由に動かせるモデルがあるのだから、アングルを変えて写真を取りたくなるでしょう?というこの機能はファンに刺さります。

 PS4がネットワーク経由でそのまま各種SNSに繋がるのも追い風になっています。特に日本ではTwitterですね。ひとりで撮影を楽しむだけでなく、仲間にシェアして楽しめるのが現代的です。

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ソシャゲからコンシューマーへ

 ソシャゲ業界は「作れば売り上げが立つ」というバブル期が終わり、有力タイトルのみが売り上げを伸ばし、新規が入りにくい業界になってきました。ソシャゲ人口の拡大はおそらくひと段落していて、熾烈なパイの奪い合いが行われているものと思われます。既存タイトルは次の一手を模索しているはずです。

 そんななかでアズレンCWはそこそこの結果を残したと言えます。初週のソフト販売本数は1位でした(ファミ通参照)。有力な競合がいなかったこと、唯一のライバルのアストラルチェインはダウンロード版の購入比率が高かったことを加味すると手放しで称賛できる結果ではないですが、1位は1位です。立派です。

 コンシューマー版が売れると、アプリの外で売り上げを作ることができます。ゲームの認知度を向上しアプリへの還流を図ることも狙えます。事業拡大の一手としては悪くない結果なのではないかと思います。

 「アプリ版のプレイヤーにターゲットを絞る」「アプリ版からの飛距離を演出する」この2点が上手くいった秘訣でしょうか。高望みをしなかったのが良かったとも言えます。

 アズレンCWを買えばアプリ版で有利になる、という仕組みを導入することもできたはずですが、それをやると変にギスギスしてしまうので、あえてしなかったのかなと思いました。「このゲームをやりたいと思った人に買ってもらう」という当たり前の位置づけにちゃんと収まっているのは開発者にとってもプレイヤーにとってもWin-Winなことかなと思います。

 ゲーム自体はアズレンプレイヤー以外にはオススメできませんが、2019年のゲーム業界の動向を観察するうえでは、1つの面白い事例になっているのではないかと思います。

 

 

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ドラクエユアストーリーのラストが大嫌いだ

全編でネタバレします。

 

 あまりにも評判が悪いのでドラゴンクエスト ユア・ストーリーを見てきました。原作に忠実に作ることができずにファンに叩かれているのかなと見る前は思っていたのですが、ラストシーンの暴挙とも言える展開に、悪い意味で期待が裏切られ、心底仰天しました。

 本当に、本当にこのラストは大嫌いです。

 

ネタバレしますよ

 

 

 

 

 

ゲームはただのプログラム

 「ウィルス」を名乗る者が主人公の前に現れ、グラビティだとコリジョンだの言いだしたときの衝撃たるや、今でも嫌な気分になります。「ああ、だめだ、それ以上は言ってはいけない」と心の中で呻きました。そして「ゲームはしょせんただのプログラム(意訳)」的な発言で一線を越えてしまったなともう愕然としました。悪役とはいえ、ドラゴンクエストの映画でそんなセリフを言えますか普通?

 ドットのみで世界を表現していたころから多くの人を熱狂させ続けてきた伝統あるゲームシリーズは、技術の発展とともに表現が豊かになり、フルCGとフルボイス化によりまた一歩現実に近づいています。先人たちの血のにじむ努力の上に築き上げられたまさに巨塔です。そんな由緒あるゲームシリーズの公式映画で「しょせんただのプログラム」なんてどんな表現を使おうと口に出せたものではないでしょう。

 ゲーム業界の中で並行してうねる流れとして、ポケモンGOのように現実を上手く使ったゲームや、VR技術の発展によってゲームの体験そのものが現実に近づいているという現状があります。そんな今日において、「ゲームはただのプログラム」などという使い古されたテーマを今更掘り起こして、いったい誰に何を問おうとした結果がこれなのでしょうか。

 挙句の果てに「大人になれ」とは…?ゲームは子供のもので、成熟した大人はゲームなんてやらないというのは一体いつの時代の価値観なのでしょうか。時代錯誤も甚だしいではありませんか。

悪役を否定できていない

 「ゲームはただのプログラム」というのは悪役が勝手にのたまっていることで、映画としてそれを完全に否定できれいればまだ傷は浅かったでしょう。否定しきれていないのです。正確に言えば、「ゲームはただのプログラム」を否定するために物語が作られてないので、逆に悪目立ちして、印象に残る結果になってしまっています。

 そもそも、なぜあの主人公の前にウィルスは現れたのでしょうか。周りに同じゲームを遊んでいる人の姿は描かれていましたし、主人公が最初のプレイヤーであるわけでもありませんでした。ウィルスは理由なく主人公の前に現れました。倒すべき敵としての必然性を欠いています。

 同時に観客である僕らにとってもウィルスの登場は突然の出来事で、まるで脈絡がありませんでした。物語中で奴の存在は微塵も感じ取れませんでした。そもそも僕らはドラゴンクエストの映画を見に来たのであって、VRが発展した未来の時代のSF映画を見に来たわけではないのです。

 肝心のウィルスの討伐方法、つまり否定の仕方はどうだったでしょうか。アンチウィルスプログラムですよ?それでは「ゲームはただのプログラム」を否定するどころか、認めたことに他ならないじゃないですか。主人公はドラクエの思い出を一応語りますが、語るだけです。その思い出がカギになるわけではありません。仕込まれたウィルスに対して、アンチウィルスプログラムが発動しただけです。ビアンカたちが助けてくれるわけでもない。だって彼女らはしょせんプログラムなのだから。悪役が提示しているテーゼをこの結末は否定できていないのです。

 ウィルスを倒したあとのあのドラクエの世界を、我々は一体どういう気分で眺めればよかったのでしょうか。白々しいことこの上ないではありませんか。全部プログラムに従って、データ通り動いているだけなのですよ。「ミルドラースを倒したら喜ぶモーションを再生する」というプログラムが書かれているだけだと観客は全員知っているのですよ。

ドラクエに対する侮辱

 百万歩譲ってこういう物語を展開したかったとして、それはもうドラゴンクエストである必要が全くありません。かつて一世を風靡したゲームがあって、そのゲームをリアルに体感できるVR施設がオープンしたというお話なのでしょう。オリジナルのゲームでやればよいのです。もしそういう映画があったとして、それはレディ・プレイヤー1の二番煎じにして、問いかけている価値観は百週遅れですが。

 ドラゴンクエストVの物語をそのまま映画化したのでは面白くないと判断したらからあのラストを付け足したわけでしょう。それは明らかにドラクエVに対する侮辱です。原作通りに再現すれば、家族愛で泣かせて、コメディシーンで笑わせて、戦闘シーンで熱くさせて、過去に戻ってオーブをもらうという驚きの伏線だって貼れる。映画の原作として何の不自由も不足もないテーマだったはずです。

 原作の世界観を存分に表現した映画がヒットすれば、原作未プレイ層をゲーム購買へと還流することができます。ドラゴンクエストはまだまだ今後も新作を出し続ける一大タイトルなのでしょう?だったら、原作であるゲームのこともちゃんと考えて、ゲームタイトルにいかに貢献するかという目線も必要だったはずです。ところがこの映画だけ見れば、ドラクエに対する認識は「昔に流行ったゲームだったんだね」ということにしかなりません。もうこのコンテンツは畳むつもりなんですか?

主人公はそのへんのひと

 目線を少し変えて、このラストを表現するということはこの壮大なVRゲームをプレイしている人が主人公になるわけです。そしてその主人公は、本当にただのそのへんの人としか描いていません。ネクタイを締めていましたし、年代を考えてもサラリーマンの設定でしょうか。

 このサラリーマンはドラクエVの主人公ではありません。そのへんの人です。僕たちは一体何を見せられていたのでしょうか。そのへんの人がプレイするドラクエVVRゲームの映像を見ていただけということになりますよね。それって何が面白いのでしょうか。

 僕たちはドラクエVの主人公が、幼少期のつらい体験を経て大人になり、愛する人と一緒にこの世界を守り抜く一大スペクタクルが見たかったのです。当時のドット絵では表現しきれなかったことがたくさんあったはずです。スクエアエニックス監修のもと、フルCGでビジュアルを補った完全版ドラクエVが見られると思って劇場に足を運んだのです。

 しかもこの設定が腑に落ちないのが、サラリーマンは自身の記憶をもってこのVRゲームをプレイしていたのかよくわからないという点です。自分がゲマに石にされてから8年経ったと言われたところで、自身の記憶を持っていれば「ああ、そうだったね、そんな展開だったわ」ぐらいにしか思わないでしょう。めちゃくちゃ驚いていましたね。ゲームを始める前に自己暗示をかけていたわけですし、自分の記憶は持ち込めない世界なのでしょうか。

 もしドラクエの世界を実際に体験できるゲームができたとして、自分の記憶が持ち込めなかったらプレイする意味ありますか?あの中ではスライムすら人生で初めて見るってことでしょう?ゲームの中でさんざん倒してきたスライムを触ったり仲間にできたりするところにあのVRゲームの面白さがあるのではないでしょうか。根本の設定のところから僕は納得がいきません。

 だから「ユア・ストーリー」って一体何を指しているんだという話になります。あの物語に僕はいません。サラリーマンがサラリーマンだとわかるのはラスト10分の出来事です。長い映画の中で、誰に気持ちを寄り添わせることもできません。入り込む余地も共感する余地もまるでありません。そんな映画を作っておいて、「ユア・ストーリー」なんて副題をつける意味がわかりません。

脚本以外はよかった

 最後に付け足しのようになってしまって恐縮ですが、脚本以外の部分は本当に素晴らしかったと思います。

 人物のCG表現は本当に素晴らしかったです。主人公が成長していく様を描いていくのは実写ではなかなかできません。CGだからこそ、年を重ねていく変化を違和感なく描くことができていました。何より素晴らしかったのはフローラとビアンカの表現です。二人の相反する可愛らしさを完璧に表現できていました。おとぎ話の世界のヒロインは、やはり現実離れしたところがあるものですが、ディズニーとはまた違った角度で、地に足のついた人間を描くことに成功していました。

 モンスターのCG表現もよかったですね。スライムの半透明の表現、キラーパンサーの獣らしさを上手くCGで描けていましたし、メタルスライムキラーマシン、ゴーレムにはそれぞれの質感がちゃんとありました。

 背景も作り込まれていました。美しいファンタジーの世界が細かく再現されていて、酒場のシーンなどはもっといろいろな角度で見たかったなと思いました。雪の扱いは実写と見紛うほどでした。

 戦闘シーンのスピード感も素晴らしかった。最後の主人公vsゲマ戦はカメラワークも含めて、CGで見せるアクションシーンの最高峰だったのではないでしょうか。

 音楽も良かったですね。原作のBGMをたくさん利用して、それをそのまま使うのではないく場面にあった形に変えていました。ゲームの場面と違う音楽を使っていたところがありましたが、細かいところは見逃しても良いかなと思う出来栄えでした。

 声優さんの演技も良かったです。俳優さんが多かったですが心配無用でしたね。声の質も含めて何も文句はありませんでした。

最後に

 脚本を決定する人たちがどういうメンバーだったのかは知りませんが、僕はあなたたちが作ったあの脚本が大嫌いです。こういうものを作っておけば喜ぶだろうと舐められているような気がしてなりませんでした。映画を見て、怒りを覚えたのは久々でした。ありがとうございました。

 

 

 

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原作をやってください。

 

 

 

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ペルソナ5が今更ながら最高だった

 発売からだいぶ経ってしまって、続編(マイナーチェンジ版?)の発売が目前に迫ってきている中、今更ながらペルソナ5をプレイしていました。このシリーズは初めて触ったのですが、ゲームのあらゆる部分が最高で、寝食を忘れてどっぷりハマってしまいました。最近はスマホのゲームをやることが多かったので、こんなに貪るように1本のゲームをプレイしたのは久々でした。

 良いと思ったものは思い切り「良かった!」と書いておきたい主義なので、タイミングとか気にせず書きます。

ペルソナ5 新価格版 - PS4

ペルソナ5 新価格版 - PS4

 

 ストーリーとメッセージ

 ストーリーが素晴らしいと思いました。伝えたいメッセージがしっかりと設定されていて、それを伝えるためのストーリーがゲームの核になり、あらゆる要素を貫く1本の柱になっています。このストーリーがあるから、こういう登場人物がいて、彼らがこういう動きをしていく、という風に。そして彼らには信念があるから、語る言葉に心が宿ります。

 最後のパレスを攻略して幕引きにすることもできたと思います。腐った大人を打倒する物語として。ただ、ペルソナ5はそこにとどまりませんでした。いや、初めからそこをゴールにするつもりはなかったのかもしれません。

 なぜ、腐った大人が蔓延ってしまったのかという理由まで突き詰めて、真の敵をプレイヤーの前に示します。怪盗団は最初から最後まで、実はその敵と戦っていたのかもしれない、と途中で誰かが言っていましたが、まさにその通りだなあと感心してしまいました。

 あの瞬間、誰もが他人事ではなくなるんですよね。プレイヤーは怪盗団の一員であると同時に、怪盗団を見ている側にいる自分をも自覚することなります。大人だろうと子供だろうと関係なく。

 自分は普段、あっさりとしたストーリーのゲームをすることが多かったんだなということに気づきました。特に任天堂のゲームは意識的にあっさりと作っていますよね、マリオやゼルダポケモンも。世界中の人に同じゲームをプレイしてもらうことを考えると、どうしてもそういう方針にならざるを得ないと思います。だから、こんなにペルソナ5に感動しているのかもしれません。

 このゲームはプレイヤーが選択に迫られる場面がたくさんあります。それも相まって、あの世界に、あのストーリーに心が動かされたのかなと自分で分析しています。終盤思わず泣いてしまった場面がいくつかありましたが、自分が辿ってきた道のりが、いまここに収束しているんだなという想いが極まったからでした。単にストーリーが感動的だから泣いているわけではなかったはずです。それは、映画ではできないこと。ゲームだからこそ作れたこの感動を、思う存分味わえて幸せだなと思いました。

気持ちの良いゲームプレイ

 ユーザが望んだ通りのことが実現し、見た目も操作感も最高のゲームだと思いました。

 コマンドバトルやアクションシーンでの爽快感。ゲームを長くプレイすることも苦痛ではなかったですし、逆にダンジョンに居座りたくなってしまうほどでした。ユーザを助けるサポート機能も痒い所に手が届く仕様で、指示もわかりやすかったです。この日までは自由に行動できる、というルール設定も明確でした。

 最初はやれなかったことが徐々にやれるようになっていって、世界が広がっていくワクワク感も良かった。高校生活へのノスタルジーもあったのでしょうが、あのころを思い出させるゲーム体験でした。

 独特ながらも癖になるUIも素敵だなと思いました。はじめは「なんかもっさりしている?」と思ったりもしたのですが、いまとなってはこんなに気持ちの良いUIはないなと思うほどです。

 そして素敵なアートワークの数々。キャラクターデザインは、衣装も含めて徹底的にこだわっていて素晴らしかったです。テーマカラーの赤が随所に映えていました。ペルソナもそれぞれ個性的で飽きなかったですね。各ダンジョンの作り込みも見事でした。それぞれにテーマを設けてガラッと見た目を変えてきてくれたので、毎回どんなダンジョンなのか楽しみでした。

 BGMも最高でした。普通に歌詞が入った楽曲がバトルBGMなんて珍しいなと最初は驚いたのですが、ゲームの雰囲気に合っていてカッコよかったです。渋谷の街のBGMからラスボスのBGMまで、一切手を抜かず作り込んであるなあと感動しました。

 

 

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 次回作もとっても楽しみです。

ペルソナ5 ザ・ロイヤル - PS4

ペルソナ5 ザ・ロイヤル - PS4

 

 

Auto Chessをとりあえずやってほしいという話

 Auto Chessにハマってしまいました。最近現れた新手のジャンルなのですが、これはやっておくべきゲームだと思います。PCやスマホで似たようなゲームがどんどん出てきているので、自分がやりやすいものを選んでインストールしてみてください。僕は「Auto Chess:Origin」をプレイしています。

(そもそも何をもって”Auto Chess”と呼ぶのか?という定義の話もあるのですが、そこは面倒なので割愛してこの総称で呼ばせて頂きます)

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こんなような画面のゲームです。

スマホ向けPvPゲームの新発明

 「Auto Chessはどんなゲームなのですか?」と聞かれて、一言で返すのはとても難しいです。ゲームのシステムが複雑だというわけではなく、存在しているどのゲームにも似ていないからです。全く新しいジャンルが登場したのだと思ってほしいです。

 昨今は次から次へと新しいゲームが生み出されているわけですが、全く新しいシステムを流行らせるのは至難の業です。新しいゲームは説明が必要で、とっつきにくいのです。だからこそ、このビッグウェーブには価値があります。

 もともとはPCゲームとして生み出されたのですが、Auto Chessのシステムはスマホの操作性で全く遜色なく遊べます。これは大きな強みです。荒野行動などもスマホ向けのものが出ていますが、シューティングゲームはどうしてもスマホではやりにくいですよね。

パクリゲームを作りやすい

 Auto Chessが流行っていることを受けて、すでにたくさんの企業がパクリゲームをリリースしています。システムを構築することは難しくないので、今後もどんどんとこのジャンルのゲームが作られるでしょう。脱線しますがポケモンGOのパクリゲームは本質的には作れないのです。あのゲームの中に存在するポケストップIngressで貯め込んだ唯一無二のデータだからです。

 Auto Chessのシステムには拡張性があります。大枠は同じになるのですが、細かいところの味付けはいくらでも変えられます。名前とゲーム画面はチェスなのですが、少しプレイしてみると「これは全然チェスじゃないじゃん」と気づきます。本質的には碁盤状のボードを使う必要すらありません。今は見た目が似ているパクリゲームが多いですが、見た目を変えたゲームもそのうち出てくると思います。

 キャラクターがたくさん登場するゲームなのですが、今はアメリカ製のゲームが大半なので、キャラもアメリカ向けです。使っていると愛着が湧いてくるのですが、可愛くはありません。日本人好みのキャラを使ったゲームを作れば、日本で流行らせることはできる気がします。どの企業が一番最初にこのシステムのゲームを出すのか楽しみです。

コアゲーマーの間ではすでに「流行っている」

 ゲームを作るからには流行らせてたくさんの人にプレイしてもらう必要がありますが、Auto Chessの情報を集めているとゲームを流行らせることがどんどん難しくなっているように感じます。同じ世代の人がみんな同じゲームをプレイするというような時代にはもう戻れないのではと思っています。

 コアなゲームファンはすでにAuto Chessをプレイしています。特定の層だけを見ればこのゲームはすでに流行っていると言っても良いと思います。流行っているどころか、自分に合わないと思ったゲーマーはもうすでに飽きています。なので、世界中でたくさんの人がAuto Chessを一斉にプレイするという環境にはならないだろうなと思っています。

 PvPゲームはライトなゲーマーが入りにくい構造をしています。負けたら面白くないので、熱心にゲームをプレイしない人や上手になれなかった人は残ってくれないのです。そういう意味で、Auto Chessはすでにレッドオーシャンで、いまから作ったとしても激しい競争に晒される未来が見えます。

 Auto Chessをめぐる一連の動きは、この業界の変遷のスピードが一段と速まっていることを印象付けられる出来事です。確かなことは何もわかりません。一つ言えることは、面白いのでぜひプレイしてほしいということだけです。

 

 

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 そのほかゲームの話

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Best strategies to win every match in Dota Auto Chess

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ドラクエビルダーズ2が予想以上に面白かった

 ネタバレなしで書きます。面白そうだと思ったらぜひプレイしてみてください。Switch版とPS4判が発売されています。

 

 会社の偉い人が、「予想外に面白かった」と評していたのでプレイしてみることにしたのですが、僕も予想外にハマってしまったので感想を書こうと思います。とてもよくできたゲームでした。

 マインクラフトをプレイしたことがなかったので、ゲーム会社の人間として一度はこのシステムを体験しておかねばならないなと思っていました。ドラクエに強い思い入れはなく、ナンバリングタイトルや派生タイトルをぽつぽつとクリアしている程度でしたが、とても楽しめました。

ストーリーが良かった

 まずは何といってもストーリーが予想外に面白かったです。ゲームシステムが独特で、ドラクエ本体のRPGでもなく、普通のアクションゲームでもないという特殊な立ち位置なので、ストーリーには力が入っていないのではないかと高を括っていました。

 チュートリアルが終わってすぐに、「んん?これはどういうことだ?」と気になる展開が出てきて、その謎を上手く引っ張っていき、最後の最後で綺麗に風呂敷をたたむことに成功しています。突拍子もない展開があるというわけではないのですが、とにかく見せ方が上手でした。

 作ることと壊すことという二項対立をすべての基軸に置き、主人公と相棒の”バディもの”のストーリーにまとめあげています。わかりやすいのですが単純ではなく、感情にも訴えかけやすい物語でした。

子供プレイヤーへの目線

 マインクラフトは小中学生にかなり受けていると聞きます。ドラクエビルダーズもメインターゲットは子供なのかなとプレイしながら考えていました。

 上で書いたストーリーは、膝をかがめて子供に目線を合わせて語るがごとく、よくかみ砕かれた表現で展開されていきます。「君たちお子様を置いてけぼりにはしないよ」という雰囲気が感じられました。

 チュートリアルや誘導がとても丁寧で、しつこいぐらいに次に行うことの確認を出してきます。小学生ぐらいでも迷わずにプレイできるはずです。最近のゲームは昔よりも丁寧になりましたよね。誘導がしつこすぎて不快になることすらあるのですが、このゲームは不思議と不快には思いませんでした。その辺の塩梅は、ゲーム開発職人の絶妙の匙加減なのでしょうね。

ビルダーズならではの冒険

 マインクラフトがベースなので、ベース部分はこのゲームではなくマインクラフトの開発者をほめるべきなのでしょう。初めてプレイしたので感動しました。このサンドボックスというゲームシステムは天才的ですね。建造物をゼロから作り出す快感は他に例えようがありません。

 このシステムを、ドラゴンクエストの剣と魔法と冒険の世界に上手く落とし込めているのが素晴らしいと感じました。襲い来る魔物を倒しながら、未知なる大地を冒険するというドラクエの根源にある体験を、このシステムの上で再構築しています。

 オープンワールドと言ってもよいのでしょうか。ゼルダの伝説BoWと同じように、山があったら登りたくなるゲームでした。しかも、めんどくさくなったら山を破壊しても良いというのが、実はBoWを超える自由度なのかもしれません。

ドラクエの世界観への愛

 ドラクエの過去作の要素がたっぷりと詰まっていて、開発者のドラクエへの愛を感じられるゲームでした。当時世代だった人にはたまらないのではないでしょうか。

 ドラクエの正史とつながりを持たせつつ、齟齬が出ないような世界観を構築するというなかなか難しいことを上手くやっているのだなという風に見えました。詳しい人はいろいろと深読みしながらストーリーを楽しめるのではないかと思います。もちろん、ドラクエをやったことがない人も、起きている事象をありのままに見つめて進めば、十分に感動する結末が待っているはずです。

 宿屋を作ったり、酒場を作ったりと、ドラクエの世界のものを作っていくのは楽しい体験でした。BGMもほとんどすべて過去作のものを使っていて、名曲のオンパレードです。魔物に対する目線など、とにかくいろいろなところからドラクエへの愛が伝わってくるゲームでした。

 

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そのほか、ゲームのこと。 

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「新しいことをやれ!」は何も言っていないに等しい

 新しい店舗の立ち上げに関する仕事を担当することになりました。新店舗の責任者は、「今までとは全く違った店舗にしたい」「新しいことに挑戦するための店舗にしたい」と息を巻いています。

 「y.tera君も、今までの企画とは一味違った企画を考えてくれ」と責任者に言われて、このゴールデンウィーク中にあーでもないこーでもないと考えています。

 

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 でもちょっと待ってほしい。企画はいつでも新しいのです。前と同じ企画を提出するなんて、企画者のプライドが許すはずもありません。我々からすると、「今までとは違った企画を出してくれ」というのは、何も言っていないことに等しいのです。

 何を変えたいのかを示してほしい。ターゲットなのか、売り方なのか、もっと他のことなのか。もしくは、その”新しい企画”の目指すべきゴールは何なのかを示してほしい。SNSでバズが起きることを目指すとか、売上が必要あるのかないのかとか。

 「新しい店舗だから新しいことをやりたい」というのは、極めて内向きな理由で、その責任者のエゴでしかありません。新しいかどうかの判断を最終的に下すのは責任者ではなくお客様です。

 お客様に何を感じてほしいのか、どんな体験をしてほしいのかから考えるべきで、その結果として、お客様が「これは新しい!」と感じてくれれば、それは「新しい企画」になるわけです。

 「新しいことをやる店舗」というのはコンセプトになりません。どんな新しいことをやるのかを決めて、それを軸にすべてのことを考えていくものです。

 「新しいことをやる」が大目標になるのは間違っています。KPIになりません。新しいか新しくないかで評価をするなら当然新しいので100点満点ですよね?でも絶対にそんな評価しないでしょう。評価のしようがないのです。

 

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 こういう雑なお題を出す人は、大抵自分の中で具体的なイメージを持っていません。だから「新しいことをやるのだ!」というふわっとした目標に逃げます。その人にヒアリングをしたとしても、その場しのぎの返答しか出てきません。ヒアリングを重ねれば重ねるほど、本人の口から変なキーワードが出てきて、それを叶えようとすることが制約になり、企画が面白くなくなっていきます。探りを入れても無駄なのです。

 最低限のキーワードだけをもらって、そのキーワードから考えられる限りの面白い企画をぶつけるしかないのかなと僕は思っています。相手は明確な答えを持っていないので、「あなたの求めていたものはこれです!」と渾身の企画を力強くたたきつけます。強い言葉をわざと使って、相手の精神を揺さぶります。

 ミュージカル映画がよく使う手法な気がしますが、まず冒頭で観客の心を揺さぶり、一気にこちらのペースに引き込むのが大事です。グレイテストショーマンを見たのですが、冒頭でいきなり大音量大迫力のミュージカルを流し、観客の心を掴みにいっていたなと思いました。途中で失速しても、冷静に考えたときにストーリーが繋がっていなくても大丈夫です。プレゼンの冒頭でぶちかます。これです。

 僕のゴールデンウィークが無駄にならないことを祈ります。せっかくの長期休暇を潰された愚痴も兼ねて書きました。

 

 

 

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